鶴一哭



鶴一哭いっこく 雪原の空に きはまりぬ



【注釈】

訳「鶴がひと啼きした声が雪原の空高くまで鳴り響いた」

季語:雪原(冬)


「一哭」とはひとたび鳴くことを意味する。

「際まる」という言葉は存在しない。「際」には「もう少しで別の物になる、その物のすぐそば。すれすれのところ」という意味があり、それを動詞のように「際まる」とすることで「境界まで達していく」というような表現としている。

「空に際まりぬ」というのは、空高く達していき、空から宇宙(成層圏)に変わる境界のところまで届いたという情景を表すものである。

「際まる」を「極まる」とすると、このような物理的な移り変わりを表現することができない。

「一哭」「際まりぬ」という言葉遣いが、そこはかとない物悲しさを演出している。

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