私たちはすべからく館の中にいる


この館の一番奥の間には

小さな象牙の塔が建てられている


だが私たちがそこまでたどり着くためには

長い長い道程を経なければならない


まず館のいたるところで見かけるのは

最も単純な前提の絨毯


それらを踏まずにこの館の中に立つことはできない


前提と結論をつないでいるのは

見かけ倒しの論理の階段


各々の段差には眼をつぶって上らなければならない


廊下の両脇には

術語の書かれた扉が無数に並んでいる


その中に実際何があるのかは誰にも分からない


館が建っている地面の下には

反証されるべき

都合の悪い緒事例が埋められている


それらの叫び声は黙殺され

二度と掘り返されることはない


この館の灯火は

後ろを照らすことはできても

決して前方を明るくしてはくれない


そして入り口には門

門にはこう記されている

「真実」と


それは何度も書き直されている


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