かくれんぼ



幻惑の森に 逃げ隠れたか

いたずら好きの いとしい妖精

軽やかに歩く 後ろ姿は

私のまなこに しかと焼きついた


どんなにうまく 逃げたつもりでも

花の香りが 教えてくれる

色づく香りが 風に吹かれて

君の行方を 追いかけるから


茂みの袂に 隠れているのか

葉のざわめきは 君の衣擦れか

樹の枝の台に 座っているのか

鳥の鳴き声は 君の歌なのか


はしゃぐ小川に ひそんでいるのか

はねる水音は 君の戯れか

ヴィーナスの貝に 扮しているのか

かがやく真珠は 君のひとみか


いたぞ見つけたぞ いとしい妖精

私ははるばる やって来たのだ

ところで誰だい 君が睦んだり

キスしたりする そこの男は?


長いさすらいと あこがれの後で

君がくれたのは 一瞥だけだ

その眼差しが 私を咎めた

呼ばれもしないで 何をしに来たの?


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