第214話
「そう言えば、婚約破棄が正式に決まる前に、家族が珍しく俺にマリーとの事を聞いてきた事があった。色々と変な事を聞いてきたが、マリーとの思い出を一時間ほど語ったら納得して、その後は何も言う事はなかった。今にして思えば、あれは彼らの婚約破棄の情報を掴んでいたからだったんだろうな」
「俺も突然家族から色々と聞かれたな。今にして思うと、彼らの婚約破棄に関連して心配されただけだと分かるが、あの時は何が何やら訳が分からなかったな」
「マリー嬢やソレーヌ嬢も?」
俺がマリー嬢やソレーヌ嬢に聞いてみると、二人とも同時に頷いて肯定を示す。
「私の家族も、心配そうにジャンとの関係が良好か聞いてきましたね」
「私も同じく心配そうに聞かれました。ですので、最近のマークとの思い出の数々を語りました。家族は私の思い出話に安心してくれたみたいで、その後は何も聞いてくる事はありませんでした」
「ははは、そうでしたか。(そりゃあ長時間にも及ぶ
マリー嬢もソレーヌ嬢も少し照れ臭そうにして、そんな二人の肩にジャンとマークがそれぞれ腕を回して、イチャイチャとし始める。
それにしても、側近たちの婚約破棄の情報はかなり前から知られていたんだな。恐らくだが、彼女たちのご実家が率先して色々と情報を流し、側近たちに責がある形での婚約破棄にするために色々と動いていた様だからな。特に側近たちにとって致命的だったのは、ナタリーとの関係を巡る決闘に、自分たちの意思で参加して戦ったという事だ。
彼女たちが言っていた様に、この決闘の一件は色々な方面にかなりの影響を及ぼした事もあり、側近たちのイメージが負の方向へと大きく傾いた。その事もあって、側近たちを表立って
(しかし、本当に各家はこの後始末をどうつけるんだろうな)
一般的な感性をもっている女性なら、側近たちの正妻候補に名乗り出る者はいないだろうし、名乗り出る者がいたとしてもロクな女性はいないだろうしな。権力目当てやお金目当て、それ以外にも様々な思惑でもって正妻になりたがる女性たちが、側近たちの傍に群がっていく。中には、政略結婚の方がまだましだと思える女性もいるだろうから、今後の婚約に関しては相当苦労するだろう。ナタリーが素敵な女性である事は間違いないが、ナタリーに負けず劣らず素敵な女性たちが婚約者だったのだ。彼女たちの事を心から愛し大切にしていれば、側近たちは男としても父親としても、順風満帆な人生を送れただろうに。
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