なめゆり。〜真夏の暑い日、汗を舐め合う〜
金魚屋萌萌(紫音 萌)
第1話 あせだく。
「あづぃ〜」クーラーボックスを持って私が戻ると親友のころは縁側でぐでりん、と溶けていた。だらしなくあおむけに寝っ転がっている。右手に持っているうちわもぱた、ぱたとゆっくりで暑さにやられている。
親友の服装はだらしなく、着ている黒のキャミソールの肩紐が両方共外れ、胸の半分が露出していた。色は真珠のように白く相変わらずでかい。私の三倍はあるんじゃないだろうか。
今日は真夏日。気温は30℃を超え、外に出たら暑さで溶け、たぶんアスファルトでBBQできる気がする……やらないけど。でもよりによってそんな日に。
「ごめんて。エアコンが急に壊れるなんて思わんかったから。ほら、チューペット」私はその無防備な谷間に半分に折った棒状の氷菓を差し込む。
「ひにゃん!? 冷たっ」びっくりしたころは体を軽く跳ねさせて飛び起きる。ぽろりん、とキャミソールがさらにずり落ちて、胸の全部がまろびだす。
「あ、くっついた」乱れた服を治そうともせずころはチューペットを引っ張っていた。
「ありゃま、ごめん。ひっぱると痛いからくっつけて溶かすといいよ」私は彼女の肩紐をかけ直す。どうもキャミのサイズが少し小さいようで、片方しかかからなかった。おっぱい隠れたしまあいいか。
「どれどれ」左右から胸を押し、チューペットを挟み込む。「あっこれ、まるでぱいず」
「それ以上はいけない」私はころの口をふさぐ。二人でいると彼女はすぐ下ネタをぶちかましてくるのだ。いつもなら自由に言わせるけれど、今回は健全な百合……のつもりなんだから適度に止めさせないと。
「む〜」と少し不満そうに私をじっと見つめてくる。
「む〜」と私もじっと見つめ返してやる。どっちかが照れるまでにらめっこだ。
昔からよくやっていた。喧嘩とかしたときはこれでどっちかが照れて目をそらしたら負けだ。
ころの目はとてもキラキラしていて、吸い込まれそうだ。くわっ、とみけんにシワをよせて見つめてくるとそれはもう一目惚れしてしまいそうになる。
「……くっ」私は照れて目をそらす。なんでそんなに可愛いんだもう。
「はいまけ〜! いぇーい!」ところは両腕をころんびあさせながらとても喜ぶ。
その拍子にくっついていたチューペットが熱でぽろりとおち、そのままキャミの中に入り、お腹の上で止まる。
「あっ、生え……いてっ」言い切る前にデコピンしてやる。
「今日はしもねた禁止〜」
「なんでよ」ころは頬をぷくりんぽ、と膨らませる。
「なんでってそりゃあ……まあなんとなく」理由は思いついてなかった。
「なんとなくかぁ……そっかぁ」となぜか納得する。
それから、二人でチューペットをちゅう、ちゅうと吸っていた。同じ味だったからお互いのモノを舐め合う……なんてえっちな展開にはならない。
もちろん、こんな真夏日にチューペット半分ずつじゃ冷えるわけもない。クーラーボックスの中にたくさん氷やらアイスを入れていたのでお互いに好きなものを取り出し食べていた。
私は棒状のいちごアイスを咥え、ぼーっとしていた。すると、いつの間にか寝転がっていたはずの彼女が真横に来ていた。ぴと。お互い露出している肩が触れ合う。
「ん〜?」と私は彼女の方を見る。じぃぃぃ。ころは私の顔をまじまじと見つめていた。
「どったの?」私はたずねてみる。いつも彼女は理由なく、私の顔をみつめてることが多い。だから返ってくる答えは「なんとなくー」とか「見つめてるだけ」とか「美人だなぁって」なんて返ってくることが多い。
けれど、今日の答えは違った。
「……なめたいなぁ」ぽそりと、そうころはつぶやいた。
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