4、クラスメートに嫉妬

なんでこんな事になったんだろう……。

後悔の念。

私は達裄の事になるとどうも嫉妬心が強い。

可愛いって100人の男に言い寄られるより、おはようって達裄に言われる方が喜ぶ安い女なのだ。


「た、達裄君。チョコ安かったやつだけどあげる」

「あ、ありがとう飛鳥」


クラスでツンツンしている金髪でツインテールの山寺飛鳥ヤマデラアスカちゃん。

いや、安いって嘘でしょ……。

すごくしっかりしてる梱包してるよ?

素直になれないのはずっと相変わらずみたいです。


「達裄君、本当は彼女作ったし悪いんだろうけど……」

「義理チョコって名の本命チョコだけど」

「ありがとうな望に桜」


達裄と似た趣味をしていてコアな話題で盛り上がれるオタク気質な竹内望タケウチノゾミちゃん。

私には付いていけないけど達裄は付いていけてるのが悔しい。

数ヶ月前に転校してきた羨ましいくらい巨乳の春風桜ハルカゼサクラちゃん。

胸の小さな私にも少しはわけて欲しいくらい目を引く胸である。

あの2人も私に遠慮してるなら渡すの辞めてよ……。

でもバレンタインってそういう日だからな。

望ちゃんもススキさんも飛鳥ちゃんも桜ちゃんも未練があるのは私としてもわかる。

私だってもしかしたら失恋していたとしたら本日のどっかでもチョコを渡していただろうし……。

ほんの数日で好きな気持ちを風化させて忘れるなんてできっこない。

目は瞑れる。

でも切ない……。


「あ、揚羽……」

「……」


席に座っている私と達裄で目が合う。

どういう表情すればいいんだろう……?

私が恋愛で勝ったのに負けたみたいな気分……。


「その……、ごめん」

「せめてさ……、チョコしまってから謝ってくれないかな?」

「あ……」


見せつけてる意図なんてないのはわかる。

達裄もいそいそとカバンにチョコをしまっている。


「もういい、知らない!」


付き合う前ですら嫉妬が大きいと自覚していたのに付き合ってからは輪に掛けて激しくなる。

七つの罪源の象徴の嫉妬の大きい私は性格の悪い女なんだ。

容姿なんか褒められても性格を褒められた事なんて1度もない浅ましい女なんだ。


「揚羽……」


もっと楽しいバレンタインを期待してたんだけどな……。

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