殺撃天使ノエルちゃん

仲仁へび(旧:離久)

第1話




 雲の上に存在する天界。


 大勢の天使達がすむその場所のあるところに、天使の女の子がいました。


 その天使はそれはそれは可愛い女の子です。


「こんちくしょー」


 と叫ぶ血気盛んな女の子の名前は、ノエルちゃん。


 ちょっと言葉使いは荒いですが、見た目は可愛いのでオッケーです。


 そんなノエルちゃんは、他の天使たちに毎日イジメられていたのですが、持ち前の精神力があったので、あまり深刻に考えていませんでした。


 靴を隠されたり、ハンカチを引き裂かれたりしましたが、やられた分だけ同じことをしたので無問題です。


 そんなノエルちゃんには、うるわしいお兄様と弱々しいお兄様がいたのですが、二人は虐められていません。


 それどことか、他の天使たちに一目おかれるようなすごい存在でした。


 頭の良い切れ者のお兄様と、多くの人から好かれ人徳のあるお兄様。


 ノエルちゃんは、そんなお兄様達と比較されるたびに、思います。


「もっと、強い天使になってやらぁ」


 虐めの仕返しのために、武術の師匠に弟子入りしていたノエルちゃんは、もっともっと修行に精を出すことにしました。


 すると、そんなノエルちゃんを気に入ったのか、神様が特別な力を分け与えました。


 ノエルちゃんは「よっしゃー」と言いながら、その力を使いこなす訓練をはじめます。


 どすどすどす。


 訓練用の藁人形が、ボロボロになるまで練習に明け暮れる日々が続きます。


 訓練を重ねに重ねた、ノエルちゃん。その拳は真っ赤に燃え上がる紅蓮の炎をまとうようになりました。殺撃の加護です。


 その必殺パンチを繰り出せば、どんな生物もすべてイチコロ。


 ノエルちゃんは、殺撃の天使と呼ばれるようになりました。


 やがて、ノエルちゃんの殺撃力に恐れをなしたのか、ちょっかいをかけてくる子達はいなくなりました。


 それからもどんどん強くなったノエルちゃんは、上のお兄様達二人に並ぶ有名人として、天使界の間で名をはせるようになりました。


 ケンカのあるところに、殺撃の名あり。


 ノエルちゃんは今日も天界のどこかで、真っ赤な拳をふるっているでしょう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

殺撃天使ノエルちゃん 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ