幼馴染ラバーズ
浅井誠
プロローグ1
俺には幼馴染がいる。
付き合いで言えば、10年以上。
同じ小学校に入学し、同じ中学校に進学し、挙げ句の果てには高校まで同じと来た。
幼馴染は、外見が良い。校則ギリギリの、少し明るめの髪は、毛先に少しウェーブが掛かっており、ぱっちりとした目に、シュッとした鼻筋は、誰がどう見ても美人だと答えるだろう。
しかし、幼馴染は漫画などに出てくる清楚なイメージとは程遠いレベルのズボラな性格で、俺の部屋に入り浸っては勝手に漫画を読むわ、靴下なんかをそこら辺に脱ぎ散らかすわで、その度に注意をしている。
「……もっとちゃんとしたら、彼氏の一人や二人出来ると思うんだけどなぁ……」
今日とて俺のベットに我が物顔で寝転がり、これでもかと言うくらいだらしのない格好で漫画を読んでいる幼馴染に対し、呆れながらそう言う。
俺のベッドなのに、幼馴染が占有して、俺が椅子の方に追いやられると言う理不尽ぶりだ。
「はあ?今更なに?余計なお世話だっての」
ベッドで寝転がりながら頬杖をつき、女性とは思えない様な口調で幼馴染はそう返す。外見が美人なのは良いが、これでは台無しだ。
幼馴染は、学校で人気がある。本人には遠慮して聞いた事が無いが、何度か告白もされていると、噂で聞いた。
この外見に騙されて寄ってくる男が居ると思うと、涙を禁じ得ない。
付き合ったら、この生活能力皆無の、置物の介護をしなければならないのだ。
「そんな事より喉渇いた。お茶持ってきてー」
この様に、人を顎で扱う事も躊躇わない人間。それが俺の幼馴染だ。
「自分で持って来い。こっちは宿題やってんだ」
このままでは幼馴染は生活能力皆無なダメ人間に育ってしまう。そう思ってこのズボラさを治そうとして何年が経っただろうか?
思い返してみれば、なんなら昔の方がちゃんとして居たまである。
「えー?いいじゃん、ケチ。もってきてよー」
すると、幼馴染は寝っ転がった体勢で手を伸ばし、俺の袖を引っ張る。
シャツがズレてへそが見え、挙げ句の果てには白いパンツも見えている有り様だ。
警戒心のかけらも無い。
「自分で行けって」
「むーりー。私、こっから動けない」
幼馴染は本当にここから一歩も動きたく無いと言った感じで、宿題をしている俺など知ったことかと言う態度だ。
「……はぁ……分かった。持って来てやるから、宿題の邪魔はするな」
「へへっ、やーりぃー!」
これでは宿題の邪魔をされると思った俺は、非常に面倒臭いが席を立ち、一階の冷蔵庫まで麦茶を取りに行く事にする。
ズボラな上にこの面倒臭さ。正に第一線級の地雷女と言って差し支えないだろう。
こんな女性の何処に魅力を感じるのか。
これが俺の幼馴染、
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