風のリグレット

バラバラな薔薇

第1話  風と山

「ねえお母さん。あの遠くに見える山に遊びに行ってはいけないの?」



「あら。前に話したこと無かったかしら?」



「ん~食事の準備が忙しいから、私よりもお婆ちゃんに聞いてごらんなさい」



「はぁ~い」



お母さんはお料理で忙しいみたいだから、お婆ちゃんに聞いてみよっと。



とことこと足早に母から離れ、家の外で椅子に座りながらお茶を飲んでいるお婆ちゃんに話しかけた。



「おや、どうしたんだい?クレア」



「あのね、あの遠くに見える山があるでしょ?」



「あぁ、風の山だね」



「風の山?あの山って丸裸で雨も風も吹かないんじゃないの?」



「そうだね、吹かないって言われてるわね」 



「なぁに 特に名前に意味はないさ。誰かが言い出して皆そう呼んでるだけだよ」



「ふ~ん。じゃあその風の山になんで近付いちゃいけないの?」



「あそこは不気味でしょ?近くにいくとなぜかひんやりするし、地面が荒れてるから危ないからねぇ」



「怪我をするかもしれないし、何があるかわからないからみんな近付かないようにしているんだよ」



「お婆ちゃんは行ったことないの?」



「どうだったかしら?風の山に行く用事もないしね。」



「ふ~ん ねえねえ、遊びに行ってもいい?」



「......」



「ねえ!いいでしょ?暗くなる前に帰ってくるからぁ」



「...まぁ気になるなら行ってみなさい」



「わぁ~い!!」



「でも心配するからお母さんには内緒にしなさいね」  



「うん」



「それとね...1つだけ約束できるかい?」



「うん?」



「風の山にあるものには触れないようにしなさいね。なにがあるかわからないからね...」



「うん わかった」



そう言うとクレアは風の山の方を見た



だんだん風が強くなっきて、空には黒い雲が徐々に広がってきた



でも風の山の上空だけは円を描くようにぽっかりと雲に穴があいていた



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