普通に普通な佐藤君
@renren_220
第1話 そして決意
ピピッピピッ」
騒々しい音で目が覚めた。昨日の夜設定しておいた携帯のアラームだ。
AM7:00
本来ならもう一度夢の世界へレッツラゴーというところだが、何故か今日は違う、妙に目が冴えている。なぜだ、ザメハでもかけられたのか。いや違う、答えは簡単。
今日は4月8日、そう、高校の入学式なのだ。
この高校生活は俺にとって激しい戦いになるだろう。
エッ?何?なぜかって?
フフフッ
俺は今日、高校デビューをするからダァ‼︎
一つ訂正しておこう。この高校デビューは世間一般の高校一年生達のいう『普通』の高校デビューとは一味違うのだ。
『普通』の高校デビューの場合
「女子にモテたい」や「陽キャの仲間入りしたい」とか動機はバラバラだがどれも不純で浅ましくて身の程知らずだ、しかし、かく言う俺の場合、動機はかなり明確でもっともらしいものである。
「ただ、この普通で何の色もない人生に終止符を打ち、新しい俺に生まれ変わりたい」
それだけなのだ!
佐藤優15歳どこにでもいるごく普通の少年である。しかし、彼にとって『普通』この二文字はとてつもないコンプレックスである。たしかに、彼の普通さは異常である。身長169センチ、体重60キロと高校1年生の平均通りだ。それだけじゃない。テストを受ければ毎回平均点を取り、スポーツでさえ平均的な能力値である。もし彼を五角形のパラメーターで表すのなら、間違いなく綺麗な正五角形になるだろう。
そんな超絶普通の彼だがなぜか彼の周りにはユーモア溢れる者がよく現れる。そのことも相まって彼は『普通』の自分により一層嫌悪感を抱いているのだ。
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「まだいたの、」
四隅が少し黒く焦げた食パンを朝食がわりにかじっていると、後方から眠そうな声が聞こえてきた。
声の主は分かりきっている
なので振り返らずに答えた
「あたりまえだ、第一ここは俺の家でもあるんだぞ。朝からツン率高めな妹だなぁ〜」
「普通にキモい」
そう言い放つとリビングのソファーへと向かいそのまままた眠ってしまった。
妹の名は佐藤朱莉 毒舌で少し気難しい性格である。まあ、簡単に言うとツンデレだ。
というか、、
「普通に、は余計だ!」
ぼそりと独り言を呟きながら食パンが置いてあった皿を片付け始めた。そして、準備のために自室に向かった。
入学式に行く準備を整えた。つい何日か前に買ったばかりの真新しい制服はちょうどいいサイズ。学ランの袖に腕を通し、最後のボタンをつけ終える前に鏡を見てみる、そこにはまだ見慣れない自分がいて少々気恥ずかしかった。だがそれと同時に今なら何でもできる、何にでもなれる。そんな気がしていた。
「やってやる」
そう強く決意した。
靴を履くため玄関で腰を下ろす。
緊張と期待でごちゃごちゃの胸に手を当て、そっと深呼吸し、そして、勢いよく家を飛び出した。
いつも見ているはずの風景が新鮮なものに見えてきて面白く思えてくる。
そして佐藤優はまたもや強く決意した。
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