第6話 目に映ったのは、、
2人ははアランに宿を紹介してもらった。
「とりあえず、ここで休んでくれ。客用の立派な家だ。」
「おーー、ありがとう。」
綺麗な木造建築のその宿は2人で泊まるにはあまりにも大きい。
「じゃあ、ここを好きに使ってくれ」
と告げてアランは帰ろうとした際、思い出したかのように慌てて続けた。
「あ、あと君たち二人に呼び出しがかかってるから。じゃあ、夜の月が一番上に来た時、またにここに迎えに来るから。」
そう告げて帰ろうとするアランを翔平が慌てて止める。
「おい!、、、呼び出しってなんだよ?」
「それはまたあとでね。」
かわいい風にそう言い残すとアランは走り去って行ってしまった。
宿に入るとまた2人きりになった。
いろんなことがありすぎて追いつかなかった頭が、急に落ち着きを取り戻したようで、鉛のような重さの疲れが体を襲った。
「なあ晴人、疲れただろ?体大丈夫か?」
「流石に疲れたな。」
笑いながら言ったものの、心臓の悪い晴人の体は限界を迎えていた。
「まあ、ゆっくり休めよ。」
翔平の言葉に安心した晴人は深い眠りの中へと吸い込まれていった。
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目を覚ました頃には、真っ青だった空はオレンジ色に染まっていた。
「やっぱり夢じゃないのか、、」
目覚めた時、起きたことの全てが夢じゃないのかと真剣に思ったが、窓の外から見える景色がすぐにそれを否定した。
「おーい翔平、しょうへーい!」
宿を全て探しても翔平は見つからない。寝る前は確かに横にいたはずなのに。
翔平のやつ、どこに行ったんだよ。
晴人は、この広い宿に1人置いて行かれたようだ。
俺を置いて行ったのも翔平の気遣いだろう。
しかし、広い空間に1人でいると、ここから帰りたい願いとか、母親の顔だとかいろんなことを考えてしまう。
「はぁ、なんでこんなことになったんだよ。」
ため息をつくと同時に、宿の裏側の窓から外を眺めた。
そのとき、見覚えのあるものが目に入った。
「あ、あれは、、、」
それは、あの時見たものだった。
井戸に入る前に見た、2人がが井戸に入ってしまう原因とも言えるものだ。
そう、そこには「カフェはこちら」と書かれた看板が立っていた。
あの時見たものと全く同じものだった。
あの看板には、何か帰れる手がかりがあるかもしれない、、そう感じた晴人は、宿を飛び出した。
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