第8話 複雑な蔵森

戸村の調べによると、蔵森さんの出身中学校は戸村とは別の地元中学校で学年に15人ほどこの高校にきておりニヤ男は梅田と言ってやはり彼女と同中出身であった。梅田は陸上の短距離選手で中学の時は県で1位になった程だが、最近はケガに負われ高校から陸上を始めた伊藤とあまりタイムが変わらない事から荒れ気味だとか。伊藤は同クラスの7組に2人目の彼女がいるとか。


「伊藤は蔵ちゃん達とは別の中学出身なんだよね。うちの妹が言うには同じピアノの先生に習っているんじゃないかって。相性とかで組むって言うし。」


「あー相性良さそうだったね。」


それは本当に。


「妬くなタケちゃん。蔵ちゃんと伊藤と梅田が三角関係だったとしても、今は伊藤の彼女は別なんだから。梅田と蔵ちゃんが付き合ってるって話はないんだし。それに、タケちゃんと蔵ちゃんの文集の仕事も息ピッタリだったっから、相性良かったんでしょ?」


蔵ちゃん、三角関係…。

戸村とは部活でこの手の話をしていた。科学部は研究テーマ毎に部屋が分かれているし、活動日や時間も様々で、毎日バス時間迄と活動時間を決めている俺と同じテーマの戸村とは二人だけの事が多いからだ。戸村はどうやら蔵森さんと同中出身の柔道部の女子のファンって事になっており(彼女は柔道部にしては可愛いいとのことでその強さと可愛いさから隠れファンクラブが存在する。戸村が本当にファンかは謎)そこから情報を得ているらしい。何せ、蔵森さんはその柔道部女子、名前を山口綾さんというのだけど山口さんの彼女と公表されているからだ。いや、その要するに女子同士のカップルという訳ではなくファンたちに迫られると 


「綾は蔵ちゃんのものだから、ごめんね」


と断るらしく、そのせいでファンからは一目おかれているらしい。あー蔵森さんって凄く複雑な人だ。

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