第45話 復活


 ダンジョンに戻った俺は、さっそくイストワーリアからダンジョンマスターの権限を返してもらった。


「よし……じゃあいくぞ! 変身!」


 そして、俺は自分の身体――ユノン・ユズリィーハの身体に変身する。


「ぐは……!」


 死にそうになるが、魔王にダンジョンメニューを操作して、回復してもらう……。

 そして……。


「ふぅ……」


 俺はようやく、自分自身の身体を取り戻すことができたのだ。

 まあ実際はメタモルスライムによる複製品ではあるが……。

 メタモルスライムは元の生き物を完全に写し取る。

 俺がスライムの身体に戻らなければ、これはもう完全復活といっていいだろう。


「すごい……俺の身体だ……!」


 俺は手をぐーぱーしながら、生を噛みしめる。

 俺は、生きている……!


「やったねユノンくん……!」


 まっさきに、アンジェが俺にとびついてくる。

 アンジェの大きな胸を、俺の身体全身で受け止める。


「ああ、今までありあがとう! アンジェ!」


 俺は初めて、アンジェをこうして抱きしめることができる……!

 いや、子供の頃にもアンジェを抱きしめたことはあるが……。

 それは意味合いが違うものだったし。


「私、ずうううっと我慢してたんだから! ユノンくんと、こうやって抱きしめあいたかったよおお!」


 アンジェは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、俺に抱き着いてくる。

 俺はそれを、精一杯の力で抱きしめる。

 もう、二度と放さない……!


「ユノンくん、私、まだまだユノンくんとしてないこといっぱいある。これから、いっぱいいろんなことをしようね?」

「ああ、もちろんだ」


 アンジェを放した瞬間。

 こんどはイストワーリアが俺に抱き着いてきた。


「マスター! これがマスターの真のお姿なのですね! あいたかったですうう!」

「はは……イストワーリア。お前も、いつもありがとうな」


 俺はイストワーリアも同じように抱きしめる。

 こいつがいなければ、復讐も、復活もできなかっただろう。


「マスター! 私、これからもずっとついて行きます!」

「ああ、ありがとう」


 そして、イストワーリアを放した瞬間。

 今度は待っていたとばかりに、魔王ラヴィエナがやって来た。

 こいつも抱き着いてくるのかと思いきや……。


「婿殿よ……いくぞ……!」

「は……!?」


 ラヴィエナは俺の腕を強引に引っ張った。

 なんのつもりだ……!?


「お、おい……! どこに連れていく……!?」

「決まっておるだろう! 身体を取り戻して、することは一つに決まっている!」


 などとラヴィエナ自信たっぷりに言った。

 いや……そんなことを言われても、さっぱりわからない。


「婿殿、まだわからんのか!」

「いや……わからんが……」


 ラヴィエナの顔を見ると、彼女はとても顔を赤くして、俺を睨んでいた。

 あ、そういうこと……?


「さあ、ほら。いくぞ……!」


 ラヴィエナは俺の腕を引っ張り、寝室へと連れ込もうとする。

 だが……。


「お、おいちょっと……!」


 俺としては、どうするべきなのかわからない……。

 そんな俺の迷いを断ち切るかのように、ラヴィエナは言った。

 アンジェとイストワーリアの方を向いて――。


「ほら、おぬしらも一緒だ! 今宵は楽しもうじゃないか……!」

「は、はい……! 魔王さま!」

「わ、私も……ユノンくんと……!」


 俺はどうやら、拒否権などないようだ。

 美女三人に連れられて、俺は運ばれていった。

 やはり……こうなるんだな……。

 まあ、今までいろいろあったから、ご褒美にはちょうどいい。


「ユノンくん! もう絶対に、どこにも行かせないからね!」

「マスター! 私はずっとマスターに尽くします!」

「婿殿! 私と最強の魔王軍をつくるぞ!」


 どうやら、俺は今夜眠れないらしい――。







――――――――――――――――――


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