第28話 レイラメタ


 ギルティアへの対策はこれで十分としてだ、次はレイラをメタろう。

 レイラは《神調教師》の職を手にしているから、きっとすごい数のモンスターを連れてくるに違いない。


「そういう場合はこのモンスターだな……」


 俺が選んだモンスターは……サキュバスだ。



――――――――――――――――――

サキュバス 1400DP

――――――――――――――――――



 サキュバスと聞くと、どうしてもえっちなお姉さんのイメージがあるが……。

 いったいどんな存在なのだろうか。

 冒険者としても、戦ったことがないので未知数だ。


「えいっ!」


 ――ボン!


 俺がサキュバス×1を購入すると、目の前に裸の女が現れた。


「あなたがマスターですか?」

「そ、そうだが……」


 これは驚いた。

 どうやら人型の高位のモンスターは、【上位種進化アセンション】をしなくても会話が可能なようだな。


「とりあえず服を着てくれ」

「それは、できかねます……」


「ど、どうしてだ!?」

「服をきてしまうと、催淫効果が薄れますので……」


「ま、マジか……。それなら仕方がない……な」

「あ、サキュバス用のえっちな服でしたら、問題なく用意できますけど」

「それを先に言え……」


 ということで、サキュバスにはさっそく服を着てもらった。

 そうじゃないと、目のやり場に困るからな……。

 しかし、これでは着ていてもあまり変わりはないが……。

 サキュバスの服は、黒いひもみたいな服だった。


「お前に名をあたえよう。そうだな……サキでいいか?」

「ありがたく頂戴いたしますわ、マスター」

「うむ」


 とりあえずサキを【上位種進化アセンション】させてみる。

 勇者パーティーがあいてだからな【上位種進化アセンション】をケチってなどいられない。


「よし、じゃあお前の役割を説明するぞ」


 サキに与えた命令はこうだ。

 勇者パーティーが現れたとき、隙を見てレイラのモンスターを誘惑すること。

 スキル《誘惑》に成功したら、その相手は一時的にだが仲間になる。

 誘惑の成功率は、相手がいくら強いテイマーでも関係ないから、これで少しは戦闘が楽になる。


「了解ですマスター。夜の方はどうされますか……?」

「夜のほう……?」


 どういう意味だろうか……。

 まさか、俺を催淫しようとでもいうのか。


「ご命令さえいただければ、夜に見る夢を、ちょっとだけえっちなものに変えて、リフレッシュさせることが可能ですが……」

「む……ちょ、ちょっとだけだぞ……」

「かしこまりました」


 あまりにえっちな夢だと困ってしまうが……ちょとだけというのであればいいだろう。

 まあ、ただでさえアンジェとイストワーリアに挟まれて寝ている訳だが……。

 それでも、最近疲れがたまってるからな。

 疲れもリフレッシュできるのであればお願いしよう。


「次は……トラップのほうだな」


 俺はサキをダンジョン内に潜ませたあと、トラップのメニューを開く。



――――――――――――――

混乱トラップ 700DP

――――――――――――――



「よし……! これを第一階層の天井に設置だ」


 天井に設置しておけば、バレにくいから破壊されにくい。

 このトラップは一度壊されたらおしまいだからな。

 だがそのぶん強力だ。


 混乱トラップは、モンスターが混乱するような超音波を発してくれるテイマー対策用のトラップだ。

 とても強力な反面、混乱を与えるのに時間がかかるというデメリットがある。

 だが、第一階層の毒沼エリアなら、十分にその時間が稼げるだろう。

 俺って頭いい!


「さあ、これでレイラのモンスターはすべて封じれるはずだ」


 まだなにか対策を打ちたいところだが、とりあえずはこんなもんだな。

 思いつき次第、追加していこう。


 翌朝、サキュバスのサキがこんなことを聞いてきた。


「マスター、よく寝られましたか?」


 俺はそれに、少し顔を赤らめ、口をにやっと歪めてこう答えた。


「最高」


 どんな夢の内容であったかは、ご想像にお任せしたい。

 とにかく俺はサキュバスのおかげで、毎日快眠することができるようになった。

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