私立清淑女学院 「移り香の契り」
時任 花歩
第1話
そして今日、寮への引越しの為に再び学院へ来た。門の横の受付で名前を聞かれて②と書かれたネックストラップを、首から下げていてください、と言われて渡された。真新しいクリーム色のセーラーに金色のスカーフが風に揺れてくすぐったい。着ていると言うよりは着られている感じがするのは私だけなのだろうか。みんな大きなキャリーバックとボストンバッグを持って、さらに学院指定のバックを持っている。すると列の前方に立っていた先輩がこう言った。
「こんにちは、新入生のみなさん。今から①と書かれたカードをお持ちの方から寮へ移動となります。私達の後ろについてきてください。」私の右側にいた生徒達がからからとスーツケースを引きながら歩いて行った。美しく舗装されたクリーム色のまっすぐな道を、クリーム色のセーラー服にクリーム色とブラウンのチェックのスカートを纏った生徒が埋めていく。白のコンクリートよりもクリーム色のコンクリートの方が暖かみと柔らかさがあるんだなと思った。そんな風にぼんやりしていたら後ろに並んでいた子に話しかけられた。
「ねぇ、この②ってクラスなのかしらね?」そう言ってふんわりと微笑んだ。太陽の光に透けた白い肌と、胸までかかる亜麻色の髪を持ち、長いまつ毛に囲われたペリドットの様な落ち着いた色の瞳の少女は、まさしくお嬢様といった雰囲気だった。
「たぶんそうだと思う。③までしかないみたいだし…私達3クラスだよね?」こんなお人形さんみたいな人と話すのは誰だって緊張するはずだ。
「じゃあ私達きっと同じクラスね。嬉しいわ。私は
「うん。私は
からからからから音を鳴らしながらまっすぐな校舎への道を歩いて行った。そして校舎前で右に曲がり、少し細い道に入ってたら今度は左に曲がって、校舎を左側に見ながら森の中を抜けるとなんと、噴水があった。みんなうわぁとかすごいとか言っていた。そこにはさっき見た校舎とあまり変わらないくらいの大きさの宿舎があった。宿舎の玄関に着くと下駄箱が何列も並んでいて、名前を呼ばれた順に外靴をしまった。そしてスーツケースのキャスターを置いてあった
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