第3話 恋物語
目覚ましの音が部屋に鳴り響く。
その音で僕は目を覚ました。
『早く起きろよ』
そんな声は響かない。
なぜなら一人暮らしだからだ。
お母さんが交通事故で亡くなり、
お父さんは去年、病気で亡くなった。
姉も亡くなってしまった。
初めは不安で仕方が無かったが、
1週間も経ってみれば、1人も悪くない。
朝ごはんは卵焼きと
目玉焼きのローテンション。
少し飽きてきたが仕方なかった。
僕は料理が苦手だった。
料理ができる彼女が欲しいなー。
最近、ずっと思っている。
制服に着替えて、鍵を閉めて学校に向かう。
教室では女子たちが
昨日のテレビの話で盛り上がっていた。
僕はずっと1人の子だけを見ていた。
彼女の名前は美桜。
僕はずっと彼女の事が好きだった。
想いを伝えたい。付き合いたい。
そう思い、筆箱から"シャープ鉛筆"を出して
ラブレターを書くことにした。
あなたを見ると胸がドキドキします。
あなたはまるで
"シンデレラ"のように輝いています。
僕はずっとあなたの事が好きでした。
付き合ってください。
体育の準備でみんながいなくなるのを見て、
その手紙を彼女の机の中に入れ、
教室を後にした。
体育が終わり、
帰ってきて英語の授業が始まった。
授業中、手紙が回ってきた。
すいません。あなたが誰か分からない以上
付き合う事は出来ません
ノートに涙がこぼれ落ちた。
ふられることはわかっていた。
もう無理だとわかっていた。
僕には彼女が一生できない。
昼休憩、僕は屋上で
1人でご飯を食べていると、
黒い男の人が現れた。
身長は高かった。
「誰だよ!」
「君の願いを叶えてあげるよ」
「嘘だろ?」
「嘘じゃないよ。ほら見て」
黒い人は突然、タブレットを見せてきた。
そこには見たことの
ある女の人が誰かと写っていた。
『君の願いを叶えてあげるよ』
『どっち?』
『2人とも叶えてあげるよ』
『なんでもいいの?本当に叶うの?』
『うん。もちろん』
『じゃあシンデレラになりたい』
『私はみーちゃんが
シンデレラになれるように』
『分かった。いくよ。1.2.3……』
そして、劇は成功した。
そんな映像が流れた。
「これ、君のお姉ちゃんでしょ?」
男の人はショートカットの
女の人を指さした。
僕のお姉ちゃん?
お姉ちゃんはいると聞いた事があったけど、
詳しくは知らなかった。
「何で……。
僕のお姉ちゃんは何で死んだの?」
「友達と一緒に海に溺れて死んだ」
あまりにも
衝撃すぎて言葉が入ってこなかった。
「それより願い事は何だ?」
「僕は願い事は良いや。
彼女は欲しいけど、
他人に頼っても意味がないと思う」
「そうか。なら良いや。
祐希、お前はきっと長生きするよ」
男の人は一瞬で消えていった。
地面には何かが落ちていた。
それは2枚の新聞だった。
1枚目には大きく
『飲酒運転で電柱にぶつかり死亡』
と見出しがあった。
2枚目には大きく
『海で溺れて小学生2人が死亡』
と書かれていた。
飲酒運転?いったい誰のことなのか。
まあいいや。
僕は自分で彼女を見つけて結婚するから。
僕はその2枚の新聞を手に持って、
もう一度で彼女に口で告白しに行った。
「好きです。付き合ってください」
「そんなに好きなの?私のことが」
「うん」
「良いよ」
そして、2人は幸せな時間を過ごしていった。
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