はなしにならないはなし

アパートの裏に歯が生えた。

少し黄ばんだ奥歯が、1本、2本……。きのこみたく地面に輪ができていた。

引っ張ると、もりょ、ともげ――ぐらり。地面が揺れて尻餅をついた。

見る見るうちに輪の中から赤い太い舌が伸びてきた。もげた歯の辺りを舌先でまさぐっている。丸かった輪は泣きそうに歪んでいた。

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