窓の外で叫び声がきこえる。料理を食べる間ずっと。低い声だ。思わず唾を呑む。

食べながら窓に近づいた。そっと手をかざしただけで、硝子と皮膚がびりびり震えた。徐に、掛金に手をかける。

「ご辛抱ください」

給仕が窓に鍵をした。

でも聞こえた。あれは叫んでない。抑揚ない話し言葉だ。内容は――


生唾を呑む。肉の脂が胃に溜まる。

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