縫う
手芸部員だったYは丈夫な子だった。
風邪ひとつひかないし、滑り台から落ちても平気、予防接種だって怖がらなかった。
ある時、Yはミシンで指を布に縫い付けてしまった。糸が何度もYの細い指を貫いており、見ているだけで痛々しい。
だが先生を呼ぼうとした私を制し、Yは針を持ち上げて、無表情に糸をハサミで切っていく。
ジョキジョキジョキン。
ひ、とYが初めて悲鳴を漏らした。皮膚ごと糸をハサミで切ったのだ。
刺し傷だらけの皮膚からは、白い綿があふれた。
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