第21話 女の子の涙
次に意識を取り戻した時は、僕の胸の中で、亜香里ちゃんが泣いていた。
僕の中には、死神の存在を感じる。
「酷いな、君は」
死神が内なる世界から、僕に語りかける。
「どうしたんだ?」
僕には、今の状態が、どうなっているのか、分からなかった。
「君と僕が入れ替わった翌朝、亜香里ちゃんも元の肉体と命を取り戻した。何があったのかを説明すると、突然泣き出した。女の子の涙にどう対応するのか、君の記憶を探ったが、何の情報も無かった。仕方なく、亜香里ちゃんの頭に手を置くと、彼女が、君の身体に抱きついて、もっと泣き出した。涙がこの身体にこぼれて、触れたとき、死神の僕がバラバラに崩壊しそうになったので、慌てて君の中に逃げ込んだ。代わりに君の意識が、復活して、元の状態に戻ったというわけさ」
何故、死神が崩壊しそうになったのだろう?
「分かった。亜香里ちゃんを家に帰した後、また入れ替わればいいのか?」
「無理だ。その子の姿をよく見て見ろ」
僕は、胸の中で、泣いている彼女を引き離し、姿を見て驚いた。
姿が以前とは、違っているのだ。
以前の彼女は、笑うと目がなくなるような可愛い顔とどちらかというと小柄な女の子だった。
今の彼女は、黒目がちの大きな目が印象的な、はっきりした顔だちのとんでもない美形で、身長だって、僕と変わらない。
年齢も二十歳は、越えている様に見える。
大人の女性らしい身体のラインは、眩しいくらいだ。まだ復活して間が無かったのだろう。その魅力的な身体には、何も付けていなかった。
あわてて、僕の上着をかける。
「天使め、肉体の種にいたずらしやがった」
その時部屋の中が光だし、極楽門の天使が現れた。
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