第20話 約束を果たす時
華菜は、しっかり極楽門へ送り届け、天使と共に、極楽へ入っていった。
極楽まで送り届ける事が出来た最初の客が、自殺者だとは、少し皮肉か。
しかし、そのおかげで、天使に依頼していた肉体の種を手に入れる事が出来た。
今、僕の部屋には、ベッドが二つ並んでいる。
僕の中の死神の指示で、片方のベッドに、隠し持っていた亜香里ちゃんの魂と心臓をそっと置き、その上に一粒、肉体の種を置いた。
「では、死神。後の事はよろしく頼む」
「分かっていたのか?」
「死神が、亜香里ちゃんのために、持っている命は、ひとつ。しかし、君自身が、人間になるためには、もうひとつの命がいる。どう考えても僕の分しかないからね」
「最終的には、君という人間と、私が入れ替わる事になる。亜香里ちゃんの事は、心配ない。私が、命を吹き込めば、明日の朝には、完全な健康体の身体を取り戻すだろう」
死神の腕が、僕の身体から伸びて、光を彼女の魂に滑り込ませた。
やはり命は、光なのかと思った。
光の糸が、亜香里ちゃんの魂から、無数に伸びて、ゆっくりと肉体の再生を始めた。
約束通り、僕はベッドに横たわり、意識を失っていった。
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