第14話 人間になりたい
「
その男は、やけに、ヒョロヒョロした、しかし身長は、高い男だった。
僕も痩せっぽっちだが、彼に比べればまだ肉が付いている。顔色も悪い。
身長は、僕より頭ひとつ高い。190は超えているだろう。
「突然すみませんね。私、死神です。この度、ご縁があって、あなたの大事な人を迎えに来ました」
僕は、身構えた。
死神なんて、とても信じられないが、彼を倒せば、亜香里ちゃんを連れて行かせはしないという思いが勝った。
「無駄ですよ。人間では、死神に触れる事すら出来ません。それより相談です」
死神が持ちかけた話は、彼自身が、人間になりたいという事だった。
ずいぶん長く死神をしている彼は、仕事に飽きていたのだ。
「当然でしょ。死神は、人間が来世に渡るための案内という、重要で、感謝されるに足る仕事をしています」
しかし、実際には、人間たちに、忌み嫌われている。
最初は、気にならなかったらしいが、最近自分たちの存在自体を疑問に持ち始めたらしい。
それなら、人間になり、逆に来世に案内される側になりたいと思いはじめた。
「もともと、死神には、来世なんてありません。永久に仕事し続けるだけです。不都合のある死神は、塵よりも小さく分解されて終わりです。人間になれば、希望の来世が、開けます」
死神は、人間と違って純粋な存在だ。人間になりたいからといって、すぐになれるものではない。
人間になるには、穢れを身に付けることが、必要らしい。
霊道の青い炎は、人の穢れその物なので、
これを回収して、死神が吸収する必要がある。
そこで僕は、霊道を走りながら、穢れを回収するタクシーと、青い炎を溜めておけるタンクを作った。
死神が人になるには、大量の穢れが、必要で、毎回の回収分を溜めている。
もちろん僕自身は、これ以上穢れは、必要ないが、霊道を走るたびに、勝手に身体に侵入される。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます