第10話  少し間に合わなかった

 土下座し続けている院長の醜い太った身体を起こして、椅子に座らせた。


 大病院の最上階なので、景色が良い。街を見下ろして、自分自身が偉くなったような錯覚を誘う。


「こちらの要求は、簡単です。すでに治療が無駄な患者で、出来るだけ金持ちを紹介してほしい。それでこのレコーダーは、再生しないと誓いましょう」


「なぜだ?」


「企業秘密です。患者さんに対して守秘義務もありますしね」


「分かった。その時は、連絡しよう」


「分かった?分かりましたでは、ありませんか?」


「分かった。いや、分かりました。さきほどの発言は、無かった事にしてください」


「では、そのように。おっと2人共に解放しないといけない」


 しかし、秘書は助かったが、柄の悪そうな男は、間に合わなかったなかった。


「しまったな。この男は、一生廃人だ。この男は、何故ここに?」


「その方の所属する組織の方が、入院されていまして」


「もしかして、ながくないのかな?」


「はい。すでに手遅れです」


「それは、良い。病室を教えてくれ」


 僕は、廃人になった男の髪を持って特別室まで、引きずっていった。


 部屋の前にも笑ってしまうほど、柄の悪い男が座っていた。


 こちらを見つけると怪訝な顔をしたが、廃人になった男を投げつけやった。


 まともに受け止めた間抜けな男は、青い炎に包まれた。


 騒ぎに、病室から出てきた3人を全て炎に包む。


 ドアの前に詰めていた間抜けな男を掴むと病室のドアを開け、投げ込んだ。


 銃声からまだ2人ほどいるようなので、

青い炎を手に灯して病室に入った。


 銃を持った男たちが、狙いをつけようと炎を見た瞬間、心が跳んでしまった。


 予想通り2人が、銃を構えたまま硬直している。一瞬視界に入った青い炎に脳が、彼らの過去を再生したのだろう。


 もちろん炎に完全に包み、廃人にする。


「さて、親分さん。僕は、ビジネスの話をしたいのですが、よろしいですか?」




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