崩壊

やりたいことは出来なかったが、学校の仲間はみな気さくで楽しかった。


田舎の学校だったが、近所を散歩したり、寮で屯して騒ぐのが楽しかった。


楽しかったが、が、今の私の記憶にはあまり残っていない。


専門学校2年生の冬、母が飛び降り自殺をした。


母の動機は、私の知り憚ることなので割愛する。


とにもかくにも、大好きだった母が頭蓋骨も骨折し、両手足も骨折し、見るに堪えない状態となり、病院に運ばれ、私の精神はこの日、完全に崩壊した。


一瞬で崩壊したが、すぐに立て直した。


何故ならテスト前日2日前だったからである。


今、ここで留年すれば、両親が支払ってくれた学費が無駄になる。


そう思って私は、携帯の持ち込み許可だけもらい、テストを全教科受けるのだ。


私のこの痛ましい状況を知っているのは先生方と私とクラスメイト数人である。


今はやはり母親が自殺するような人間と関わり合いたくもないのだろう。


めっきり連絡を取らなくなってしまった。


きっと私が同じ立場でもそうしたに違いないから、そのクラスメイトにとやかく言うつもりはない。


私自身、性格面にも問題があるから愛想をつかされただけの可能性もある。


問題は、あんなことがあったのにも関わらず、平然とテストをやってのけた私に問題があるのだ。


そこから、私の表面上だけ何一つなく不自由生活が始まってしまったのだ。

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