第2話 驚愕の現代文明①

「うっ……ここは」

「お!起きましたか」

「あ、貴方は……」

「私は佐々木というものでこの家の家主でございます」

「……ササキ?」


 ササキ……そういえば先程神様がササキを頼るようにと言っていらしたな。

 この方がササキ殿か、見たところ普通の人のように見えるが神様と通じているあたりきっと神官の方なのだろう。

 

「神様からすでにお話は伺っております、さぁこちらへ朝食の支度ができております」

「あ、ありがとうございます」


 な、なんと食事の準備ができているのか。

 なんて周到な方なのだろう、これは失礼があってはいかんな。




「こ、これは一体なんなんだ!」


 私は驚きのあまり後ろに飛び退いてしまった。

 しかしこの鏡のように人を写す黒い板は一体……。


「それはテレビです、遠くの映像を映す板のようなものです」

「な、なんとそれは凄いですね」

「別に普通です、さぁこちらの席へ着いてください」

「え、ええわかりました」


 な、なんなんだここは遠くのものを写す板が普通だと。

 冷静に考えてそんなもの国家機密級の類だろ。

 一体どれほど進んだ文明なんだ現代とは。


「さぁどうぞ!ユウゴさん」


 私が席に着くと、若い娘がパンとスープ、そしてサラダを持ってきた。


「あ、ありがとうございます……失礼ですが貴方は?」

「娘の佐々木千歳です、よろしくユウゴさん!」

「これはご丁寧にありがとうございます、私名をムラクモ・ユウゴと申します、職業は勇者を約45年間やっておりました、戦績としましては魔王討伐3回、内乱平定4回、反乱鎮圧9回でございます、これからはこのササキ殿にお世話になる故どうぞよろしくお願いします」

「う、うんよろしく」


 うむ、挨拶は完璧であったな。

 さて朝食をいただくとしよう。


「お、お父さん」

「なんだ?」

「こ、この人なんか変じゃない?」

「異世界人はだいたいみんなこんなもんだ」

「ん?何か言いましたか?」

「い、いえ何でもないです〜」


 にしても水が綺麗だな。

 こんな綺麗な飲水を見るのは初めてだ。


「ササキ殿、この水はとても綺麗ですねどこの山で取れたものですか?」

「水道水です」

「……はは、おもしろいご冗談ですね」


 そうだよな、こんな綺麗な水のある場所をほいほい人に教えたら水を巡る無用な争いを生むからな、黙っておくのが正解だよな。


「ユウゴさん、朝食が済んだらこの近くを案内するので散歩にでも行きましょうか」

「おお、それは興味深い!是非ともお供させてください!」


 見知らぬ土地の探索はいつでも胸が躍るな。

 さて早く朝食を済ませるとしようか。


「ありがとうチトセ、美味しかったです」

「うん、凄いね飾りのパセリも食べちゃったんだ」

「パセリ?」

「ううんいいの、食べれるし問題ないよ」


 飾りの野菜か、さすがは神官の家族だ食べてるものが庶民とは違うな。


「さぁユウゴさん行きますよ」

「ええよろしくお願いします」


 この扉を開ければ未知の世界が広がっているのか、いやはや楽しみだ。

 



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