第21話 現世では

「ほう?テツト殿が昨日から帰って来ない?」


「そうなんです。依頼を受けたっきり帰って来なくて…」


「どんな依頼なんですか?」


「トレントを5体討伐と言う簡単な依頼なんですが…」


「ふむ。テツト殿からしたらBランクの魔獣にやられると言うことはないと思うが…」


ギルドでそんな話をしているのは、銀色の兜を被り全身が鎧のリュウトと受付嬢だった。


「僕が東の森に行ってみるよ。」


「いえ。王様から依頼が来ております。」


「ほう。そちらを優先しろと?」


「はい。出来れば。」


「ふむ…王様からの依頼なら致し方ない。」


「ありがとうございます。依頼の内容なのですが不可解なことが起こってるんです。」


「不可解なことですか?」


「そうです。近頃王国内の『東』、『西』、『南』の3方向から徐々に村が攻撃されていまして。それの原因調査を頼みたいんです。」


「それはいいですが僕一人じゃ3方向は無理ですよ。」


「ああ、それは…」


受付嬢の人が言おうとした瞬間。


「私よ。」


若い魔法使いの女の人が入ってきた。

赤色の髪に赤い目を持つ美少女。


「まさか君に会えるとはね。」


「私からすると吐き気がするわ。」


「あはは。酷いな。それでこの間の件は考えてくれた?」


「馬鹿じゃないの?」


と言った感じでリュウトとその美少女は話す。


「リュウトさんとアキナさんはSランク冒険者と言うことで顔見知りですね。よろしくお願いします。リュウトさんは『南』に、アキナさんは『西』に向かってください。」


「「御意」」




リュウトとアキナは王都の前で向き合っていた。


「生きて帰ってこれたら僕と結婚してくれる??」


「嫌よ。」


「釣れないなぁ。」


ヘラヘラとリュウトは言う。


「話は終わった?行くわね。」


アキナは姿を消した。


「……気をつけてアキナちゃん。嫌な予感がする。」


そうしてリュウトもその場を後にした。

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