時間を捧げよ
シヨゥ
第1話
「時間さえ捧げていれば案外クビにならないものだよ。
時間通りに出勤して、時間まで席を温めて帰ったところで、翌日に君たちの席に新人がすわっていることはない。
不真面目な奴。そうレッテルがはられたところで別に問題はない。
まぁ度が過ぎればクビが飛ぶ可能性はあるけども。
会社が求める最低限をこなしさえすればいい
仕事に励むな新人。生きることに励め。以上終わり」
壇上からうす暗いフロアを見ると新人たちが口を開けてこちらを見ている。夢と希望だけを持って入社式にやってきて早々に先輩から言外に頑張るなと言われれば当然だろう。
フロアの隅ではぼくを壇上に蹴り上げた上司が蒼い顔をしている。その横では重役たちが顔を真っ赤にして手を震わせていた。
「言い忘れていたことがある。ぼくが君たちの指導員になることはない。なぜなら本日付で退職することになるからだ」
「当然だ! お前なんかクビだ! クビ! 出ていけ!」
「ほらなっ。どこかでまた会ったらこの会社の愚痴でも話し合おう。それじゃあ」
一礼して壇上を、そして会社を後にする。後悔はない。
この会社は勤めるべきに値しない。潰れるほうが日本社会にいい影響を与えるまである。そんな思いを強くした1年だった。最後に仕返しできてすっとした思い。それだけを胸にぼくは再び自由な世界へ羽ばたくのだ。
時間を捧げよ シヨゥ @Shiyoxu
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