恋未文

恋未文

拝啓 春という終わりが近づいて来ました。


 君と出会ったのは二年前、まだ寒さが残る冬の日でしたね。

 ドアを開けると君は窓際の席で一人雪を見ていましたね。

 私は凛とした君に一目で引かれてしまいました。

 それから君との過ごした一年はまさに順風満帆でした。

 君と一緒に帰路についたり、一緒に花火を見に行きましたね。

 私はこの時自惚れていたのかもしれません。

 ここまで引き延ばして申し訳ございません。

 率直に申しまして私は君を諦めさせていただきます。

 君に非の打ちどころなんてありません。

 君が私を好いてはいない事、君が男を愛してはいない事。

 これはただの事実なのです。

 君の新しい門出を願っています。

                                    敬具

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

恋未文 @CITRON0724

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

恋悩

★3 詩・童話・その他 完結済 1話