今度こそ、キラキラ計画とは!
「いや、だから姉ちゃんは自分が俺に相応しくないと、自分をヒロインじゃないと思ってる訳じゃん?だったら姉ちゃんをキラキラさせて、俺にとっては姉ちゃんこそがヒロインなんだって、分からせようと思ってさ」
俺がそう言うと、姉ちゃんは頭を抱えソファーへ顔を押し付けた。ちらりと見える耳が赤くなっているのは怒りからか羞恥からか分からないものの、恐らくいつものだろうと思ったのでお茶を飲んで反応を待つ。
そうしていると姉ちゃんがすうっと息を吸い込む音が聞こえ、
「うな~~~~~~!!!!!!」
ソファへ顔を押し付けたまま、叫び声を上げた。昔から興奮したときに良くやっていたので、特に慌てたりもせず姉ちゃんが落ち着くのを待つ。
暫くして落ち着いたのか、姉ちゃんは顔を上げるとこちらをジト目でにらんできた。……ジト目の姉ちゃんも可愛いなぁ。
「それで、概要は分かったけどキラキラさせるって何させる気?」
「お、それはこの計画に乗ってくれる、延いては俺と結婚してくれるって事で良い「それとこれとは話が別!」あ、はい」
姉ちゃんが可愛かったのでつい本音を出してしまったが、これ以上は怒られそうなのでしっかりと説明をすることにした。
「姉ちゃんの自分がヒロインじゃないって思いは、周りの人からきてると思うんだけど、合ってるよね?」
姉ちゃんはそれに頷くとそのまま俯いてしまう。
まあそうだろうという確信はあった。3人で一緒にいる時でさえ、
「七花ちゃんと良太君はお似合いね~、優子ちゃんはあんまり邪魔しちゃ駄目よ」
だの
「まるで絵本の王子様とお姫様みたい、優子ちゃんは召使さんだね!」
だのと、まるで姉ちゃんが邪魔ものみたいに言われたことがある。これが1人の時にも似たような事を言われてたとしたら、幼かった姉ちゃんが自分を邪魔者だと思ってしまっても仕方ない。
「それなら、周囲の人からの評価があれば姉ちゃんも自分を認められるかなと思ったので、姉ちゃんのイメチェンをしようと思った次第です!」
そこまで言い切って、我ながらあまりにも自分勝手な言い分に、ただの駄々っ子だなと心の中で自嘲する。
色々言ってるが要するに、
「俺が姉ちゃんと付き合えないのは嫌だから、姉ちゃん努力してよ!」
と駄々をこねているにすぎないのだから。
そんな事を思いながら姉ちゃんの反応を伺っていると、ふいに姉ちゃんが話始めた。
「昔からそうだったよね。アタシが召使とか邪魔とか言われてる時にリョー君は、僕にとっては姉ちゃんこそヒロインなんだ、あんなの気にしないでって言ってくれてた。でもアタシは弱くて、ずっと言われてそれに耐えられなくて、アタシは邪魔者なんだ、リョー君と七花こそが主役何だって思っちゃったんだ」
姉ちゃんは俯いたまま、独白を続ける。
「リョー君はさ、本当に、心の底から思ってる?アタシがキラキラ出来るって、アタシがヒロインなんだって、……アタシがリョー君の恋人に相応しいって」
顔を上げた姉ちゃんは真面目な、でもどこか縋るような視線で俺に問いかけてくる。もし適当なことを言えば、姉ちゃんはもう俺を見てはくれないだろう。だからと言って俺が怯むことはない。
「ああ、ずっと変わらない、心の底から言えるよ。姉ちゃんこそが俺のヒロインで、姉ちゃん以外に俺の恋人に相応しい人なんていないって。」
姉ちゃんの目を見つめ言い切る。
暫く見つめ合っていると唐突に姉ちゃんがへにゃっと笑って、
「仕方ないな、リョー君は。分かった、アタシ頑張るよ。そのキラキラ計画ってやつで、絶対にみんなに認めさせてやるんだ。……そしたら、また告白してくれる?」
なんてあまりにも可愛い事を言ってきたせいで、それまでの空気からの落差に俺の理性が追い付かず、
「好きーーーーーー!!!!!」
と叫んで姉ちゃんを抱きしめてしまった。
姉ちゃんはしばらく固まっていたが、徐々に顔を赤くすると、
「そういうのはまだ早い!!!!!」
と怒鳴り、俺を引きはがし家から追い出した。
顔は怒っていたが、口元はにやけていた姉ちゃんはとても可愛かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます