第232話 リズディアのイルルミューラン
リズディアは、イスカミューレンに、自分の恋愛について、口を滑らされて、モカリナとイルーミクに知られてしまう事になった。
そして、リズディアとしては、結婚が決まるまで、自分の思いを、周りが知らないと思っていたのだが、自分の恋心が、10歳当時だった頃を言い当てられて、恥ずかしそうにしていた。
(何よ、義父様ったら、モカリナとイルーミクの前で、私とイルルの事を話す事ないでしょ。 それに、何よ。 わ、私が、イルルが気になった時期まで、なんで知っているのよ)
すると、イルーミクと、モカリナは、興味深そうにイスカミューレンを、ジーッと、穴が開く程見ていた。
2人は、リズディアの詳しい恋愛について知らなかったので、10歳の時からイルルミューランを思っていた、具体的な内容まで知らない。
イスカミューレンの一言が、非常に気になっているのだ。
イスカミューレンは、モカリナとイルーミクの、その視線に負けたようだ。
「ああ、陛下のお話相手で、皇城に行く時、イルルを連れて行くと、リズディアは、とても嬉しそうだったからな。 連れて行くと、直ぐに近くに寄って、頬とかを突っついたり、頭を撫でたり、自分の膝の上に乗せたりしていたからな。 ひと目見た時から、気になっていたようだぞ」
それを聞いて、モカリナも、イルーミクも、10歳程度の時だと、好きな男の子に対して、恥ずかしいと思うより、自分の気持ちを優先していた事を思い出していたので、なんとなく、リズディアが、どんなことをしていたのか、2人は納得したような表情をした。
その2人の表情を見て、イスカミューレンは、面白くなったようだ。
「ああ、それから、イヨリオン殿下の家庭教師をした時、イルルも一緒に、リズディアの住む後宮に入ることになってな。 もう、その頃には、リズディアが、イルルの事が好きだと分かっていて、イルルが後宮で一緒に暮らすようになったら、ミュナディア奥様も、執事達もメイド達も、2人をくっつけようとして、あの手この手で、常に2人の距離を縮めようと必死だったみたいなんだ」
イスカミューレンは、リズディアが、その時の事を思い出して恥ずかしがっているのだが、その事に気付いていても、気にせず、モカリナとイルーミクに話していた。
「そうそう、最初に部屋を用意された時なんて、リズディアの隣にイルルの部屋を用意したと思ったら、部屋の壁にドアを取り付けて、どちらからも行き来ができるようにしていたのに、夜になっても、お互いにそのドアを使わなかったって、メイド達が嘆いたみたいだったぞ。 それが、メイド達には、不満で、それで、強硬手段に出たらしいんだ」
モカリナも、イルーミクも、イスカミューレンの話を、食い入るように聞いていおり、そして、リズディアは、膝の上に置いた手は、自分のスカートを握りしめて、恥ずかしそうに黙って聞いていた。
その様子が、イスカミューレンには、面白く思えたようだ。
「あの手この手で、2人をくっつけようしていたらしい。 ああ、それも、ミュナディア奥様公認だったらしいぞ。 そのこともあって、メイド達も執事達も、どんどんエスカレートして、最後は、風呂での、裸のバッティングまで、セッティングしたら、流石に、リズディアも怒って、ミュナディア奥様に、裸で抗議に行ったらしいぞ」
それを、イスカミューレンは、面白そうにニヤけて話すと、流石に、リズディアも限界になったようだ。
「義父様、2人の前で、その話は、やめて下さい。 あれは、本当に、お母様達が、悪いのです。 それに、いくらなんでも、後宮のような、人の多いところで、私が、イルルのベットに行くわけないですわ」
それを聞いて、モカリナもイルーミクも聞いた事があるような表情をした。
後宮内では、寝ずの番がいて、皇族達の護衛を、常に行なっているので、夜の営みが行われたことも、使用人達は、全て、知っていると言うのだ。
リズディアかイルルミューランの、どちらが先に相手のベットに行くか、若い2人が、青い恋愛を終わらせるのか、メイド達や執事達の密かな話題にもなっていたのだ。
どんな声を出したとか、そんな話が、家人に隠れた場所で囁かれているので、当時、10代の女子だった、リズディアには、とても恥ずかしい事だったのだ。
そんな噂話の、ネタにされる事が、嫌だったのだ。
「あんな、人の目の多い後宮のような場所で、未婚の皇族が、男の部屋になんて、行くことはできませんわ。 私は、第1皇女でしたから、変な噂がたっても困ります」
その言葉を聞いて、イスカミューレンは、何かに気がついたようだ。
「おや、リズディア。 後宮じゃなかったら、人の目が無いから、それなら、夜這いをかけられたのか?」
すると、リズディアは、恥ずかしそうに軽く握った右手を口元に当てて、視線をイスカミューレンの右下の方を見た。
「え、ええ。 ジュエルイアンの家の別荘なら、人の目も無かったので、チェルエールに、上手くジュエルイアンを連れ出させて、……。 しました」
リズディアは、自分の初めての体験を、話してしまった。
周りは、最初、何の話なのか、理解できていたかった様子で、ボーッと、リズディアの話を聞いていた。
だが、話の内容が理解できると、周囲の表情が一変した。
リズディアの両脇にいた、モカリナとイルーミクは、かなり、不味いことを聞いてしまったと思って、リズディアから、離れるようにするが、3人掛けのソファーの端に腰を付けて、体を後ろに逸らしつつ、中央に座っているリズディアを見た。
その2人の視線の先のリズディアは、恥じらうような表情で、その時のことを思い出しているようだった。
「その時の、イルルったら、体が、震えていたのよ。 服だって、私が脱がせてあげたんだから。 ……。 イルルの服を一枚脱がせると、私も自分の服を一枚脱ぐの。 最後の1枚を脱がすのは、流石に、イルルも抵抗したのよ。 だから、軽く抱きしめてあげて、キスをしながら、脱がせてあげたのよ。 それで、私が、イルルの服を全部脱がすと、強く抱きしめてくれて、それから、抱き上げてくれて、ベットに連れて行ってくれたの」
リズディアは、とても幸せそうな表情をして、周りにいる人達のことを気にすることもなかった。
「ベットに入ったら、イルルったら、キスをしながら、私の体をいっぱい触ってくれたのよ。 それが、とても丁寧だったり、激しかったり、すごかったわ。 とても、イルルは、素敵だったわ。 ……。 ふふーん。 あの時は、すごく激しいだけだったけど、今は、私の好きなところを分かってくれているから、とても、し、あ、わ、せ」
リズディアは、両手を頬に当てて、モジモジしながら、幸せそうにしていた。
ただ、その様子を両隣のモカリナとイルーミクは、引き気味になり、そして固まっていた。
流石に、正面にいたイスカミューレンも、初めて聞く、リズディアとイルルミューランの初めての話に、引き気味になっていた。
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