第19話 二度目の着替え
フィルランカを連れて、自分の店に戻ったミルミヨルは、奥のテーブルの前に行く。
そのテーブルには、新しい下着が何着か置いてあった。
ミルミヨルは、その中から、11歳のフィルランカに相応しく、サイズも良さそうな下着を探すと、それを持って、更衣室に行く。
「フィルランカちゃん、一旦、服を脱いで、それと下着は、これに着替えるのよ」
そう言って、下着の下だけ渡す。
「えっ! 下着も着替えるの?」
フィルランカは、下着まで着替えろと言われて、驚いている。
「それと、下着を着けたら、呼んでね。 上はつけ方も有るから、それも教えるから、ちゃんと言うのよ」
下着の下だけを着けたら呼べと言われて、フィルランカは、嫌そうな顔をする。
しかし、これも第1区画で食事をする為だと、フィルランカは自分を納得させるのだった。
「ああ、靴下はそのままでいいわよ」
微妙な物だけ、つけていても構わないと言われたと、フィルランカは思ったようだ。
フィルランカは、服を脱いで、下着も脱ぐと、渡された下着を着ける。
自分の姿を見ると、裸に下の下着とニーハイソックスだけだが、太ももの部分が少し下がっていた。
下着を着けると、ミルミヨルに声をかける。
「あのー、用意できました」
「ああ、じゃあ、私も入るね」
そう言うと、カーテンを小さく開けて、ミルミヨルが入ってくる。
フィルランカは、肩を前に出すようにして、両手をクロスするようにしながら、手を合わせていた。
胸と下着が少しでも隠れるようにしながら、顔は斜め下を向いて、頬を赤くしていた。
同性相手でも、下着1枚の姿を見せるのは恥ずかしいのだ。
「じゃあ、ちょっと向こうを向いて、両手を上に上げてくれるかな」
フィルランカは、言われた通りにミルミヨルの反対を向くと、両手を肘から上に上げる。
「そうじゃなくて、肩から上に伸びるように上げてね」
言われて、肘を上にあげ、肩から真っ直ぐ腕を上げる。
「うん。 よし。 じゃあ、コルセット当てるからね」
ミルミヨルは、脇から持ってきたコルセットを当てる。
「うん。 この位ね。 それじゃあ、紐を付けるね」
ミルミヨルは、コルセットの背中にある、紐を通す穴に、締め付け用の紐を通していく。
「フィルランカちゃん。 あなた、いくつ?」
「11歳です」
「成長期よね。 だから、胸も小さいでしょ。 コルセットは、その胸を大きく見せるためにあるのよ」
「そうなんですか」
ミルミヨルは、手際良く紐を通していく。
「よし、じゃあ、締めるわね」
「ふみゅっ!」
コルセットで脇腹を締め付けられた。
初めて着けるコルセットに、フィルランカはびっくりした。
ミルミヨルは、肩越しにフィルランカの前を見ると、直ぐに背中の紐を結んだ。
「フィルランカちゃん。 自分の胸を見てごらん」
「何だか、少し大きくなったみたいです」
「でしょ。 脇を締め付けたことで、余っている脂肪を上に上げたのよ。 それに脇を締めるから、胸が強調できるのよ」
フィルランカは、嬉しそうにする。
すると、コルセットから紐が2本垂れているのを見つける。
「あのー、紐が垂れているんですけど」
「ああ、それ、ソックスを止める紐よ。 それ、下着の中に入れてから垂らして、ソックスの裾にある穴にボタンを付けるのよ。 そうすると、トイレの時、下着を下ろす時、ソックスのボタンを外さなくて済むでしょ。 後ろもそうするのよ。 大人は、もっと違う事の為にそうするんだけど、今は、トイレの為だと思っていて」
そう言われて、お尻の辺りに、紐が触れている事に気がついた様子で、体を捻ってコルセットから出ている紐を確認した。
フィルランカは、前と後ろのコルセットから出ている紐を、下着の中に入れて、太ももに垂らすと、紐に付いているボタンをソックスの穴に通す。
前と後ろ、右足と左足、4箇所にボタンを止める。
「うん。 いい感じね」
ミルミヨルは、フィルランカの胸から脇腹までのコルセットに、下の下着とニーハイソックスの姿を一通り確認する。
コルセットから出た紐が太もものソックスを引き上げるように止めているのを確認する。
一通りの確認が取れた。
「それが、正しい下着の付け方ね。 覚えておいてね。 じゃあ、ドレスを着ていいわよ」
それだけ言うと、試着室から、ミルミヨルは出ていった。
フィルランカは、ドレスを着けると、試着室を出る。
試着室の前にいたミルミヨルは、フィルランカを見て、笑顔を向けた。
「うん。 さっきより、もっと、良くなったわ」
そう言うと、姿見をフィルランカの前に出す。
フィルランカは、下着を着ける前との違いを実感している。
「さっきより、胸が大きくなったみたいです」
「そうでしょ。 コルセットは脇腹を締め付けるでしょ。 でも、フィルランカちゃんは、若いから贅肉が少ないけど、それでも少し違うでしょ。 脇が締まって胸が強調されるでしょ。 だから、とてもスタイルが良く見えるのよ」
フィルランカは、ミルミヨルの話を聞きつつ、姿見の中の自分を見てうっとりとするのだった。
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