星を生む少女

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 真空の海の中、自分の事も何も分からず漂う少女がいた。

 彼女の名前はカティサ。


 真っ暗な宇宙の中で、たった独りの孤独を味わっていた。

 ずっと長い間一人ぼっちだった彼女は、しかしある時、遠くに小さな星明かりがあるを見つける。


 それに触れたいと思ったカティサだが、長い間移動していなかった彼女には、どこかへと向かう力がなかった。


 カティサは非力で弱い少女だった。


 ならば、とそう考えた彼女は自分で星を生み出す事にした。


 しばらくすると、遠くの星が増えていた。

 カティサは孤独から逃れるために交流をとりたいと考えて、もっとたくさんの光を生み出した。


 そうして、どれだけの時間が過ぎたか分からない頃、あたりは星でいっぱいになった。


 しかし今度は、遠くの星明かりが消えてしまう。

 カティサは、その遠くを照らすために、自分が作った星を移動させることにした。


 しばらくの間、自分は孤独になってしまうけれども。


 星達はカティサの願いをうけて、ゆっくりと移動し始めた。


 自ら動く事ができないカティサは、星達を見送る事しかできない。


 だから、


 いずれ、ここも遠くも満天の星に包まれる。


 そんな宇宙を夢に見ながら、カティサはずっと星の行方を見守り続けるしかなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星を生む少女 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ