Al-mi'raj -ぼくらのかえるばしょ-

王子とツバメ

『あの人』とのはじめての出会い

 ああ、良かった。生きていたんだね。

 君が魔獣に食われてかけていた時はどうなるかと思った。……助けてよかったよ。


 安心していい、ここまでの道は狭いし淡水もこんなにある。魔獣は近付けないだろう。

 それで、小さなネズミの君。君はどこの子なんだい?


 ――。


 ……そう。故郷が魔獣に襲われて、帰る場所が……。

 …………。


 なら君はここで少し休んでいるといい。ここは私が倉庫代わりに使っていた穴ぐらだ。しばらく暮らしていけるだけの糧は蓄えてある。体力と気力が戻るまでここで過ごしたら、必要なモノを持って行きたい場所に行きなさい。


 私かい? 私は、またしばらくでかけなくちゃいけないんだ。探し物をしたり、蓄えを補充したり……色々あるからね。


 一人でここに残るのは心配かな? 大丈夫、しばらくしたら戻ってくるよ。その時を待ってから行動を決めてもいい。


 今はただ、ここで心と身体を休めるのに専念してほしい。いいね?

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