異世界転移出来たのはいいが、こんな過酷な異世界なんて聞いてないッ!!

ゆずどりんこ

第1話隼人の元に届いた1通の新着メール

全ての学生に必ず訪れる夏休み。

そんななんの変哲もない普通の夏休みをクーラーの効いた自室で峯岸隼人は自堕落な日常を送っていた。


「ああぁぁぁ……クーラーの効いた空間は何て素晴らしいんだ…。これぞ自室で夏休みを満喫する学生だなぁ………一部を除いて……。」


ベッドの上をゴロゴロと転がりながら漫画本を両手に持ちダラダラと読む。

何故転がるのかって?

それは布団が冷んやりしてて気持ちいいからだ。


「…今頃、漫画やアニメでいうリア充共はこんなクソ熱い炎天下のもとで手を繋ぎながらイチャイチャデートしてるんだろうな……。うん、やっぱりアホだな、リア充共は。こんな炎天下の夏休みにイチャイチャデートとか熱中症の危険しかないではないか。命を賭けてまでそんなにイチャイチャデートしたいのか!?そーなのか!?ふん、夏の天気は変わりやすいからな、奴らの場所だけ集中豪雨が発生すればいいんだ。これで熱中症の心配もないな!うん、俺って優しい!!」


ベッドの上で更に速度を上げながらゴロゴロ転がり、内に秘めた鬱憤を晴らすかの様に声を上げる。

これが家族のいる時間帯なら光の速さでそれはそれはおモテになる1つ歳上の姉貴が怒鳴りこんでくること間違い無し。

だが、奴は俺とは真逆の住人。

言わば、選ばれた側という訳だ。

今頃、学年上位に位置するサッカー部のエースである男子同級生とイチャイチャ炎天下デートをしている最中だろう。うん、取り敢えず滅びろ。


「いや、別に羨ましがってるんじゃない。俺はただ熱中症になってしまったら命に関わるからあえて体温を下げる為に奴らの元に集中豪雨を願っているだけだ。嫌がらせを願っているんじゃ決してないんだからねッ!!……って、俺は1人で何を言っているんだ…。側から見たらただの頭のおかしい変人じゃないか……。アホらしい……喉も渇いたし下に降りて水でも飲むか…」


何の意味もなさない独り言に隼人自身、体力の無駄遣いだと思い始める。

そんな事をしているからか無性に喉が乾いてしまい、身体が水分を要求する。

クーラーの効いている部屋から蒸し暑い廊下へと出るのは億劫だが、喉の乾きには抗えない。

仕方なく隼人はベッドから起き上がり、のそのそと歩き出し、部屋の外からリビングへと向かう。



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