壊れた歯車 III
一方、その頃のハートの城では
ダダダダダダダッ!!
武装したEdenの団員達が一斉にハートの城に突入した。
ロイド達がいるのは2階の1番奥にある部屋。
1階ではEdenの団員とハートの騎士団達の武器の打つかる音が鳴り響いていた。
Edenの団員達は容赦なくハートの騎士団達に武器を振り下ろし体を切り刻む。
1階から聞こえる大勢の声を聞いたロイド達の額に嫌な汗が流れていた。
「ちょ、ちょっと…。本当に来ちゃったの!?」
マリーシャはそう言って部屋に訪れたハートの騎士団員に話し掛けた。
「は、はい。今、丁度…。これをお持ちしました!!」
そう言って、ハートの騎士団員はロイドとマリーシャに回復薬のドリンクを渡した。
「これを飲めって事かよ。」
ロイドは眉間に皺を寄せながらドリンクを見つめた。
「は、はい。女王様がお渡ししろと…。」
「成る程…ね。」
そう言って、マリーシャはドリンクを飲み干した。
ポワポワポワ…。
マリーシャの傷口が閉じ始めた。
ロイドもマリーシャの傷口の治りを見て、ドリンクを口の中に流し込んだ。
「つまり、早く傷を治して自分達の身は自分達で守れって事でしょ。」
「その通りだ、マリーシャ。」
そう声を放ったのは、マレフィレスだった。
マレフィレスの姿を見たハートの騎士団員はその場に跪いた。
「お前は持ち場に戻れ。」
「ハッ!!」
マレフィレスの言葉を聞いたハートの騎士団員は走って1階に降りて行った。
「回復したな。ロイド、マリーシャ。」
「お蔭様で。」
「えぇ。動けるようにはなったわ。」
マレフィレスの問いにロイドとマリーシャは答えた。
「お前達も動けるな。」
そう言って、マレフィレスはマッドハッターとインディバーに視線を向けた。
「Edenとやり合うのかマレフィレス。」
マッドハッターに尋ねられたマレフィレスはゆっくりと口を開けながら銃を抜いた。
「えぇ、向こうから乗り込んで来たしね。それにこの世界はもうすぐ壊れるわ。」
マレフィレスの言葉を聞いたロイド達は驚きを隠せなかった。
「お、おい、ちょっと待て。世界が壊れる?それはどう言う意味だマレフィレス!!」
ドタドタドタドタッ!!
ロイドの言葉を掻き消すように乱暴な足音が2階に
繋がる階段から聞こえて来た。
足音を聞いたマレフィレスやマッドハッター、インディバーは戦闘モードに切り替わっていた。
カチャカチャカチャッ。
マレフィレスの3人は銃を構え、部屋の扉に集まった。
「説明は後よロイド。今はその女をアリスに殺させないように阻止するわよ。ズゥーはその女を運べるように準備を。」
マレフィレスはロイドとズゥーに的確な指示をした。
「アリスがここに来てるのか!?」
「この足音と状況で分かるでしょ!?ゼロを殺しに来たんでしょ!?ほら、さっさと銃を構える!!」
慌てるロイドに声を掛けてたのはマリーシャだった。
「ゼロちゃんは抱えたけどぉ、どうするの?女王様。」
ゼロをお姫様抱っこしたズゥーはマレフィレスに問いた。
「ハートの城から脱出するわよ。」
「その後は?」
「Night'sのアジトに連れてく。それで良いなマレフィレス。」
マレフィレスとズゥーの会話にマッドハッターが口を挟んだ。
「それで良いわ。寧ろそれしかないわね。」
ドタドタドタドタ!!!
2階の廊下に足音が鳴り響く。
「出入り口は正面にしかない。Edenの団員を押し退け正面出口から脱出するぞ。」
マレフィレスの言葉を聞いた、マッドハッターとインディバー、マリーシャは部屋を飛び出した。
「俺の役に立てよマリーシャ。」
カチャッ。
マッドハッターはそう言って銃を構えた。
「貴方の兎として役に立たなかった事なんてないわ。」
マリーシャの言葉を聞いたマッドハッターの口元が一瞬だけ緩んだ。
「ちょっと2人共!!来るわよ!!」
ドタドタドタドタドタドタ!!
インディバーの声と重なるようにEdenの団員達の足音が重なった。
「いたぞ!!」
「ギャハハ!!ターゲット発見ー!!」
Edenの団員達はマッドハッター達の姿を見つける
や否や、銃弾を放って来た。
パンパンパンッ!!!
マッドハッターが指を鳴らした。
パチンッ。
シュシュシュシュッ!!!
キンキンキンッ!!!
マッドハッターが指を鳴らすと隠し持っていたナイフが宙に浮き、放たれた銃弾を弾き飛ばした。
「なっ!?」
「ど、どうなってるだ!?」
Edenの団員達は状況を掴めないでいた。
その隙に、マリーシャとインディバーは弾き金を引いた。
パンパンパンッ!!!
「うがぁぁぁあ!!」
「ギャァァァァァ!!」
マリーシャとインディバーの放った銃弾は見事にEdenの団員達に当たった。
幸い、数人しか2階には上がって来ていなかった。
「今のうちにに下に行くわよ!!急いで!!」
インディバーはそう言って部屋の中にいるロイド達に外にでるように指示をした。
ロイドとズゥーは急いで部屋を飛び出すと、出た事を確認したマッドハッターとマリーシャは廊下を走り出した。
前方を走るマッドハッターとインディバー。
真ん中にズゥー、マレフィレス、その後ろにロイドとマリーシャと言った陣形で1階を降りた。
1階を降りると、鼻に血の匂いが届いた。
真っ白な壁は血で赤く塗られていた。
地面にはハートの騎士団員やEdenの団員達の死体が転がっていた。
「ヴッ!!嫌な匂いが立ち込めてんな…。」
ロイドはそう言って鼻を摘んだ。
「アリスの姿が見えないようだが…。」
マッドハッターはそう言って周りを見渡した。
「アハハハ!!見ぃつけた!!!」
右の曲がり角からメイドの死体を引き摺りながら現れたのはディだった。
「どこに行ってるのかと思ったらこんな所にいたんだぁ。」
ディの隣にヒョコッと現れたダムだった。
「アハハハ!!アハハハ!!アリスー!!コイツ等さ?殺しても良いんだよねぇー!?」
ダムは笑いながら後ろを振り返った。
コツコツコツ…。
静かな空間にヒールの音が鳴り響く。
「良いよ。ゼロ側にいる奴等を全員殺して構わないわ。」
そう言って現れたのは黒髪になったアリスだった。
「アハハハ!!やったぁぁ!!」
「じゃあ、殺そう!!今すぐ殺そうよ!!」
ディは掴み持っていたメイドの死体を乱暴に床に投げ捨て、剣を構え直しマッドハッターに斬りかかった。
キンッ!!
飛んで来た剣がディの剣を受け止めた。
「あれあれー?どうして剣が飛んで来たのかなぁー?あー。やっぱりお前の仕業なのぉ?」
ディはそう言ってマリーシャの方を見つめた。
マリーシャの周りにはハートの騎士団員が使ってい
た剣が数本浮いていた。
マリーシャはTrick Cardの能力を使い、ディが振りかざした剣を受け止めていた。
「マッドハッターに剣を向けるなんて生意気なのよディ。」
「お前ムカつくなぁー。ダム!!マリーシャは僕の獲物だからね!!」
「良いよー!!ディの好きなのようにしなよ。」
ダムの言葉を聞いたディは剣を構え直すと、ディの体が宙に付いた。
「なっ!?何で、アイツ浮いてんだ!?」
ダムの姿を見たロイドは驚いて声を上げた。
宙に浮いたダムは勢いよくマリーシャの方に向かった。
マリーシャは手を広げ、数本の剣をダムに振りかざした。
シュシュシュシュッ!!!
数本の剣はダムの方角に真っ直ぐ飛んで行った。
ピタッ!!
だが、数本の剣は動きを止めた。
「なっ!?何で?!?」
「アハハハ!!!」
困惑しているマリーシャに向かってダムは剣を振り翳した。
「マリーシャ!!」
ロイドはマリーシャの名前を呼び、マリーシャの体
を強く押した。
ドンッ!!
マリーシャの体は左方向に倒れ込んだ。
間一髪の所でダムが振り翳した剣は当たらなかった。
タッ…。
地面に着地したダムは足をダンダンッと音を立てていた。
「ロイドー。何で邪魔するかなぁ??僕を怒らせたいんだね?ねぇ、そうだよねぇ!?」
「邪魔してんのはお前の方だろダム。俺達の邪魔をすんな。」
そう言って、ロイドはダムに銃口を向けた。
だが、ロイドの背後にディが立っている事にロイドは気が付いていなかった。
「気を取られたら駄目なんだよ?」
「なっ!?」
ロイドは慌てて後ろを向こうとしたが、ディはロイ
ドの背中に剣を刺そうとした時だった。
ゴンッ!!!
ディの頭に花瓶が直撃した。
「ゔっ!?」
「ディ!?」
ダムは慌ててディに近寄った。
ポタッポタポタ…。
ディの仮面のしたからポタポタと血が流れた。
マリーシャが飛ばした花瓶が当たっていた。
「ロイド大丈夫!?」
「助かったマリーシャ。強く押して悪かったな。」
ロイドはそう言ってマリーシャの手を引き立たせた。
「あ、ぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「「っ!!?」」」
ダムの突然の叫び声にロイド達は体をビクッと反応していた。
アリスはニヤニヤと笑いながら口を開けた。
「あーぁ。ダムを壊しちゃったねぇ。」
そう言ってアリスは不敵に笑った。
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