くすりのお化け

 もうくすりのやつとは長いつき合いになる。

 この丸くて小さなつぶ。口に入れるとにがい味がひろがるもんだから、ぼくはこいつがにが手だ。もはや宿てきといえるだろう。

 ぼくはこいつとはけつべつするために、数日前からこっそりとまくらの下にしまっている。今日もかくしてやった。ふふふ…もうお前とは赤のたにんだ。



 ふわふわなくもの上でひるねをしている。これほどきもちのいいゆめはないだろう。それにあま〜いにおいがする。きっとこれはわたあめぐもなんだ。

 ぱくっと一口。あま…くなーーーい!!にがいにがいにがい〜!

 ぺっぺと口の中のにがみをはき出していると、わたあめぐもがあくまみたいなかおをしてこういってきた。

「にが〜いか?苦しいか?俺達を粗末にした罰だ〜!!」



 ガバッとおき上がる。まくらの下をおそるおそるのぞくと…丸くて小さなつぶが、こちらをにやりと見ていた。


 丸くて小さなつぶとにらみ合う。やっぱり、こいつとはまだ長い付き合いになりそうだ。…やっぱりにがい。

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