第25話 バカみたいに愛してた
エイダ「へっ!こうなっちゃお貴族様もお終いだな」
ーーー王宮の長い廊下に蠢く骸骨を蹴散らして赤髪の少女が言った。
『それ』は冬の早朝、水桶に張った薄氷の様に、パキリという音を立て
赤黒い泥の奥に辛うじて見て取れる金糸の装飾は、何かの勲章であったろうか。
大柄で華美な儀礼服から察するに、生前は恰幅の良い御仁であったのだろう。
「どんな人間でも骨の太さは平等なのさ」
「後はその皮の内に何を詰め込むかの差でしかない」
旧友の言葉を思い出す。
この御仁が骨と煌びやかな儀礼服の間に詰め込んだモノとは一体何だったんだろうか。
アプール「この奥の大広間を抜ければ王宮の裏口です!」
「烏瓜殿は王宮の裏山なのでもうすぐのはずです!」
ロベルト「…妙だ」
ヘルマン「どうしたのだ?」
ロベルト「…レヴァナントが少なすぎる」
ランマル「そう言えばそうですね」
ヘルマン「その答えはすぐ出そうじゃよ」
ーーーかつて天上世界に迷い込んだのかと錯誤した大広間。
そこかしこが煌びやかに彩られ、ただの窓にでさえ、写る己の鮮明さに驚かされたものだ。
それが今。
王国の歴史を描いたであろう
豪奢な廻り階段には割れた窓からだろうか。枯れ果てた
クロスやタペストリーは千々に乱れ見る影もないが、唯一シャンデリアだけは煌々と灯りが灯されその責を果たしていたーーー
「お早いお戻りで」
「ご用件は…伺うまでもなさそうですね」
ランマル「出たでゴザル!」
ヘルマン「これがレヴァナントであるか」
「出来る…の」
「主はこの先の烏瓜殿にてお客様方をお待ちです」
「お通ししたいのは山々ですが…」
「招待状のご芳名承りたく存じます」
ロベルト「…グダグダ抜かすなよ」
「…押し通れって事だろう?」
「如何様にも」
ーーーこの大広間の何処にいたのだろう。
三十を超える屍人が襲い来るーーー
ランマル「外道め!二刀の不動を以て引導渡して進ぜ候!」
ヘルマン「友よ!鉄斧よ!力を貸してくれぃ!」
アプール「我が鉄血は不倒にして不屈!祖父よ!父よ!我が剣に御力を!」
ジジ「平原の誇り高き白鳳よ!三つの
エイダ「けっ!みんな格好つけやがって!ぶっ刺してやるから掛かってこいや!」
次回 『サーカスナイト』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます