第12話 生放送

テレビカメラが洋子を追う。


「ーー長沢さん、今後の事を決めるというのはどういう事ですか?」


詳しく知らされていないのだろう。

テレビカメラで追いながらの質問だ。


「簡単な事ですよ。これから生涯を共に生きる相手をこのゲームで決めようと思っています」  


「ゲームで将来を決めると言うのは、いささか問題があるようにも思いますがーーあなたのタイプの人はどんな方なんですか?」


「タイプ、、ですか?ーーそれがわからないからゲームで決めようと思ったんです」


「あなたはそれで後悔しないんですか?」


「後悔しない、とは言い切れませんね」


洋子は微かに不安の色を落とす。

しかし、余裕そうに笑って見せた。


「あなたの今の心境はーー?」


「そうですねーーワクワクしています」


「いくつか、考えているゲームで相手を決めるわけですから」


「ーーこの場だけそう言って誤魔化すような事は??」


「絶対にありません。相手さえ良ければ私は書きましょう。婚姻届をーー」


ポケットの中に折り畳まれた紙があるのを取り出し、テレビカメラに向ける。

それは婚姻届だった。


本気だからこそ、持ち歩いているものなのだろう。


取材を受けている間中にも、洋子のツイッターなどは、着実に数字を延ばしていた。

それを見て、洋子は確信する。


ーー私はもてている。

ーー勘違いなんかじゃない。


さぁ、鬼ごっこの再開だ。

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