リリー11 (十五歳)
スマホでね、タタタッて、押したらなんでも教えてくれる検索機能。
ないんだよね。そうだよね。
スマホ自体がないんだよね。
だから悪の家のマップを活用し、調べものといえばあそこしかないよね、の、自宅図書館に行ってみたけど…。
結論から言うと、そこでの収穫はゼロだった。
そもそも入学手続きってさ、やっぱり子供独自じゃ無理じゃない?
一応私、十五歳で成年として孤児院運営は任されたけど、入学手続きって、自分で出来るものなの?
保護者の
この件に関しては、警備員も総出で私の敵にまわっている。
(誰にもきけない。もちろん仲良しのお庭のおじちゃんにも…)
過去に迷惑をかけた人々には、絶対に相談するなと冷酷ファミリーの瞳が語っている。
しないよ、もう。
なんにも知らなかった子供じゃないしね。
「?」
とぼとぼとお部屋に帰宅すると、またも手紙が届けられていた。
たまーにじゃなくて、今回は三日後にやって来たグーさんの片道通信。
「もう来たの? 早くない?」
あれだけブロックしていたのに。
これってまさか、
マゾヒスト?
そんな疑惑を浮かべたまま、既読を開始する私。まあきっと、先日のお手紙では学生寮から通うと書かれていたので、ホームシックで寂しいのかな。
「ん…?」
だが今回の手紙は、グーさんが王族の権力を活かして、私の入学を手伝ってくれるような内容だった。
それって裏口入学?
「悪役っぽいけど、なんかしっくりこないよね…」
悪役は悪役なりに、堂々と正門から入学したいのが本音。
こそこそ裏口から入学したくはない。
この情報をくれたグーさんに、聞いてみようかな…。
(グーさんが王族で、死亡フラグかと警戒していたんだけど、グーさん、四番目なんだよね…)
四番目って、きっと脇役にも登場しない、名前だけのモブ率が高そうだよね…。
よし!
だから久しぶりにブロック解除して、返信を書いてみた。どうゆう事なのか、詳しい内容を教えてねって。
待つこと三日。
そしたらどうやら裏口ではないらしく、堂々と正門から通学してもいいみたい。しかも保護者の印鑑は必要なし。
いいじゃん……。
なので親兄弟には黙って、こっそり進学希望を出してみた。
**
ムフッ!
本決まりした、学園ライフ!
見て見て、王様の印鑑が押されてる入学許可証!
この裏工作を知ったときの、パピーとマミー、そして二人の兄の驚きようといったら、それは見物だった。
最近は、両親よりも、威圧的なブラザーズ。
無言になった超クールお兄さまに、怒りに歯をギリギリと剥き出したやんちゃな不良お兄さま。
でも今さら怖くないよ!
だってお兄さまたちは、なんだかんだいって、私にとーっても甘いんだから。
だてに長年、ゴマをすり続けてきたわけじゃない。
兄弟がどこで何にキレるのか、または何にはしゃぐのかを、冷静に観察出来るのは末っ子の特権なの。
過去世では一人っ子だった私。実は兄弟姉妹に憧れていたからね。
二人の兄は、いい観察対象であった。
ムフフッ!
これって悪役、レベルアップしたんじゃない?
あれ?
それってあまり、よくないレベルアップじゃない?
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