第9節【泣くもんか】
「ヤーマンッ!」
ラスタとガゼルが拳を突き合わせると、音楽が再び流れ出す。
「くよくよすんなよ、
ゴンフィンガーを天高く突き上げると、ラスタは不敵な笑みを浮かべてあとを続けた。
「BUN BUN BUN 撃ち落とす
手を上下に振り上げながら、ラガを続ける。
「揺らす
わたしの視線も心も、ラスタに釘付けになっている。
「ブーイング は
「やるな、グルービーヴォイスッ!」
間髪入れずに、音を割り込ませるガゼルの眼には、何故か涙が浮かんでいた。
「だけど 俺にゃフローはねぇ から 上げてかますぜ ヴァイブス頼みの ぶっ飛んだ ラガッ! ぶっ放す言葉 愛の矢 なりふり構わず ぶち込み 上げてく I love U から 俺のHEARTを あげます 捧げます」
叫びという名のラガが、わたしの心にゆっくりと染み渡って響いていく。
「でも でも でも ふられちまったぁ~ッ!」
頭を抱えてガゼルは、首を大げさに振る。
「だって だって だって あの子には 旦那が居たッ!」
ガゼルのその声は、とても澄んでいる。
「で ラスタは俺を 慰める そんで 俺はラスタに心を
涙を拭いて、ガゼルがシャウトする。
「こい、ラスタッ!」
ガゼルのラガに、わたしは心のそこから共感していた。大好きな人が、手の届かないところに居るのは辛い。
本当に、辛いんだよ。
そんなことには構わずに、ラスタが切り込んでいく。
「駄目、駄目、駄目! 人妻は駄目 だぜ ガゼル! だから この ラガ のリディムで 心 癒されちゃいな そんで 女のことなんか 忘れちまいな おいらは上げて沸かす音の信者。 UPなboilerは 奏でて
いつの間にか、ガゼルが笑っている。その笑顔が、なんだか輝いて見えた。
わたしも、笑わないといけない。
楽しむって、決めたんだ。
「次は だれ だれ 誰? 殺す? ガゼル だぜ へい Rude boy!」
身体を揺らしながら、ラスタへと近づいていく。
わたしは、笑うんだ。
――泣くもんか。笑ってやる。
「君は 誰? 何故 俺を見るの? 何故 おれ 君を見るの? だって だって だって 君が 気になるんだ!」
ラスタが、わたしにラガを送ってきた。
だから、
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