第5話 月火VS火織(1)
「無駄な逃走を図るのはやめないさい。と言うより、もう逃げることすらできないけどね。」
俺の目の前では火織が俺を見て嘲笑していた。
「なんだ…これは…」
「見たらわかるでしょ?炎の壁よ。」
なんて規模のデカさなんだ…!
この現状を打破するには一つの方法しかないのか…!
「くっ…!【月華】…!」
月火の後ろから幻想的な華が咲いた。
「咲き乱れろ!【月鞭】!」
月華の幹から鞭のようなものが出てき、火織を襲う。だが、
火織に近づいただけで燃え尽きた。
「…!?」
(何が起きた?あいつに近づくだけで燃えるのか?勝ち目なんてないじゃねえかよ……)
「貴方の実力の程はわかったわ。」
それだけ言うと火織は手を縦に振った。
それだけで熱風が俺の肌を撫で、そして……
──病院──
俺は、目を覚ました。
ここは…?病院?
そして、俺はベッドに寝ているのか?
なぜ俺は病院に居るのか検討もつかなかった。
そして、ベッドの隣を見ると、
「…陽火!?」
陽火が眠っていた。
傷も完全に治っていた。
(傷を治せる能力を持っている人が居るのか?病院だし当たり前か?)
そして扉がノックされた。
「はい。どうぞ」
と応えると火織と知らない白衣を纏った女の人が入ってきた。
「…俺はなんでここにいる?」
俺が火織に問うと、代わりに横にいた女の人が答えた。
「君は火織に意識を刈り取られたんだ。火織の飛ばした熱風で意識を飛ばし、気絶させた。」
「そんなことが出来るのか…」
「当たり前でしょ?私は最強なのよ。」
ムカつく言い方だな。
「ムカつく言い方だな、って言いたげな顔ね。」
こいつは心が読めるのか?
「さてと、私は帰ります。先生、あとはよろしくお願いします。」
「ん、わかった。」
それだけ言うと火織は病室を出ていった。
「もう君も帰っていいよ。全快してるし。」
「そんなんですね。ありがとうございます。」
帰っていいのか。陽火を起こそうか。
「…君の妹君か?」
「そうですけど?」
「そうか。だからずっと離れないのか。」
「へ?」
何を言ってるんだこの人は…
「その子は君が眠っている間トイレにすら行かずにずっと離れなかったんだよ。君から。」
「陽火…」
「さあ早く帰りたまえ。外は暗いよ。」
「…はい。」
その後、俺は陽火を起こし帰路についた。
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