第3話 月

あぁ…陽火…!


「ふははは!どうだ?なぁ?今どんな気持ちだ?辛いか?悲しいか??」

「………クズが……」

「…あ?なんつった?」

「このクズが……!」


俺は力を入れる。だが腹が痛すぎて力を上手く入れれない。


「兄妹揃って俺を馬鹿にするとは…それに、無能君から言われると更に苛つくよ。お前が俺を苛つかせた分、妹にきっちりぶつけてやんよ。」

「なに!?陽火は関係ないだろ!!」

「関係ないわけがないだろ?お前の妹なんだし?それじゃいっきま〜す。」


そして武中は笑いながら、陽火の事を蹴りだした。何度も何度も…陽火が気を失っても…


「辞めろぉぉぉ!」

ドスドス!と蹴る音と武中の笑い声だけと俺の虚しい叫び声が響く。


ああぁ…陽火ぁ…


「くっそぉぉ!陽火ぁ!」

「お前が無能なのが悪いんだよ!」



無能…今までに幾度となく聞いてきた言葉…

無能…今まで自分で自覚していた…自分を表していた言葉…

そして目の前にいるこいつは俺のことだけじゃなく…陽火に無脳なんて言いやがった…そして………俺の中で何かが切れた。


「…ふざけるな…ふざけるなぁぁ!」

「なんだ?そんなに恐い形相しても無能が出来ることなんて無いでしょ?」


ぎゃははは、と笑う武中

俺は自分の無力さに自分を失望仕掛けた瞬間…頭に無機質な声が流れた。


『覚醒条件を満たしました。能力【封】の覚醒を開始します。』


「…なん…だと……?」


『能力の覚醒が完了しました。【封】→【月火(げっか)】に覚醒しました。脳にインプットします。』


「月、火…?」

そして突然に何かが流れ込んでくるように頭痛が起きた。

「あぁぁあぁ…」

「あ?どうした?狂ったか?」

そして頭痛が収まる頃には…全てが理解出来た。


「【吹きとばせ】…」

俺がそう“命ずる”と、俺の近くに立っていた武中の取り巻きが吹っ飛んだ。

「カハっ!?」

そして壁にぶち当たり意識を散らした。


「な!?何をした!」

「…能力を使っただけだ。」

「馬鹿な!お前は無能なはず!能力なんて使えるわけがない!!」

「そうだな…さっきまで…ならな。」

俺は、続けてこう言った

「お前のお陰で覚醒したみたいだ。」

「な、なんだと!?覚醒なんて聞いたことないぞ!?」

「どうでもいい……まずは…」


地面を蹴り一瞬で陽火の元へ。

陽火を抱き抱え、

「大丈夫か?陽火」

と、話をかけた。

「…兄さん…?」

「ああ、そうだ。すぐ終わらせる。待っていてくれ。」

陽火を地面に置き、武中に向き直る。

「よくもやってくれたな…?」

殺気を込めて睨みつける。

「!?」

武中はそれだけでびびった。

なんで俺は今までこんなやつの言いなりになってたんだ…俺は馬鹿だな。俺は自分を罵倒し、武中を睨みながら叫ぶ。

「俺の大切な物を傷つけるやつだけは絶対に許さない…!来い!【月華】!」

そう唱えると後ろから幻想的な色をした華が姿を現した。これは【月華】だ。俺の能力の【月火】を行使するときに、威力増強などのバフがかかる能力…らしい。

「行くぞ!!応えろ!【月華】!放て!【月の華弾】!」

月華が光り月のように綺麗な弾が大量に放たれた。月華の放った月の弾が、腰を抜かしている武中を貫く……はずだったのだが…

「【焦がせ】」

声が聞こえ。




俺の【月華】ごと世界が燃えた。

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どうも!懺悔です!今回は月火君の能力覚醒でしたがどうでしたでしょうか!!改善点などあった場合はコメントください!それではまた会いましょう!!

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