第56話 約束は嫌い

「で!!」

「で!!って?」



「私の好物思い出した?

10年経っても元カノの好物

忘れて無かったよねー

じゃあさ、間借りなりにも

今カノの好物なーんだ?」

一郎太は頭を捻って考える


美奈の好物は難しい!

なんでも「コレ大好き」とか


「うわぁ食べたかったコレ」

とか

「これ食べないとソン

だよねー」


「コレ1番好き」


「コレ最高に好き」


最高って1番より上か?


「やっぱりコレに限る」

とか、とか、とかー!!

絞れ無い。

あり過ぎるこの中から

好物を探すのは・・・




「何回も約束したよね。

 女の人とは二人で、

会わないって、」


一郎太はハッとした

何回もした約束

京香さんとは見合いとはいえ

二人きりじゃなかった。


しかし美音と会う事に

そんな約束忘れていた。


一郎太は何も言えなかった。


「帰ってよ。

彼女と付き合うなら

順序よくやろうよ。

先ず別れてから付き合わなきゃ

先生の癖に分かんなかった?

整理整頓は凄く上手いのに


ちゃんとやろうよ!

いらない女は捨てなきゃでしょ。」



そう冷たく言う美奈に何も

言い返せなかった。





美奈は喜代さんには後で

電話しようそう思った。


浮気されて別れるより

浮気前に別れた方が、

すっきりする、まだ彼は未遂だ。





一郎太は考えていた。

ただ美音と軽く食事をするだけで

寄りを戻す気なんて無いんだ。


コレを美奈に話しても理解されない

から嘘をついた。


確かに美音とは積もる話も

したかった。

俺が愛していた女性でもあるし

どんな人生を歩んだか

知りたくもあった。


美奈の投げた俺と美奈の指輪を見て、

指輪をはずしっぱなしな

事にきずいた。


いや、俺は‥・・・

美音を求めていたのか?


あのまま美奈が現れなかったら

俺はもしかして


まさか俺が浮気?



俺…浮気するつもりだったのか

…そうなのか?

美音と・・・まさか!!


多分美音への気持ちが

昔に戻った気になっていたんだ。


美音が好きなのか?

違う、好きな気持ちは、…

違う違う


美奈への気持ちとは違う。

自問自答する。



しかし…誤解されても仕方がない。

ただ懐かしいだけだ。

あの時しっかり終わって

無かったから




このままじゃ今度こそ、

本当に美奈を失って終う。

美奈を追いかける


美奈は屈んで泣いていた。


「ゴメン!ゴメン美奈。

 もう二度とこんな事はしないよ。

 約束する。」


一郎太の声に俯いたまま美奈は

「何回も約束して何回も

嘘付かれた。

約束なんかあんたには

破る快楽なのよ。


 もう会いたくないし

 大嫌いだから!

 もう、来ないで、タヒネ。」


パシパシ一朗太を

見上げ文句を言う。


 いっまでも、騙されたりしない。

 あんたは !! 大嘘つき野郎だよ。


 もう他人だから帰れ


 サヨナラ。 

     シーネ。 四寝‼

























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