第3話 美奈はファザコン
「冷えたね。
お風呂に入ったらどう?」
「どうぞ、お先に^_^;。」
ソファにコートを脱ぎながら
美奈が応えると
「いや、僕は仕事が有るから
君はユックリ暖まると良いよ。
少し出てくるからね。」
彼はそう言うとまた車の鍵を握り
ながら、彼の上下の白の
ジャージを美奈に着替えと言って
手渡した。
「ありがとう…ございます。」
彼が出ていった後、部屋を見渡し
たが几帳面な感じで黒と茶色で
統一されている部屋は、なぜか美奈を四角く歩かせた。
彼の書斎を覗くとキチンと固唾蹴
られ、小学校の時どこそこに書かれて
いた
整理整頓!
の文字が浮かんだ。
『こりゃ一緒に暮らすのは
無理!!訳を話して明日、出て行こう。』
彼女でも一緒に住んでいるなら話は
別だがキンキラキン
に整理整頓された部屋は凄く気を
使いそうだ。
美奈はねころんで
ポテチを""""> ポリポリしながら
本を読むのが大好き。
せんべい食べながら
寝転んでTVをみるのが好き。
そんな性格の美奈が、上手くいく
訳がない。
だらしがない!と叱られる。
気を使う。
無理だ。
その内どちらかが、おかしく
なるだろう。
「ウワア、パパと話が合いそう。
本も凄く難しそう、まるでパパだ
な。」
並べられた書棚は、各部屋に
ド━━━━━━ンと立っていた。
お風呂を貰って、濡れた髪を
乾かした。お湯は溜めたが中に
は入っていない。
何か色々ボタンがあって
「エイッ」スイッチオン
「ヴワワヮワヤベ」
お湯が。՞。゚՞ブクブク
慌てて元に戻す。
女子高の風呂にはこんなん
無かった。
家ではシャワーオンリー
パパも自分の事務所で風呂を
済ませるからこんな
スイッチあるか無いか知らない。
綺麗なお湯は彼のために細心の
注意を払って身体を洗った。
特注なのかシャワーは三つ
並んでいるけど届かない。
確かに彼は背が高い
髪を乾かして外に出ると彼は
台所で食事を用意していた。
美奈に気がついて
「ン?暖まらなかった?」
と聞いてきた。
「いえ!! 充分温まりましたよ。」
「ダメ!ダメ! 冷えてるじゃない
か?
温まらないと風邪をひくぞ!!」
「キャーっとゆうまもなく、
浴室に連れ込まれた。」
「ゆっくり入りなさい。」
「あ、あのう、なれてます!?」
「ああ、僕は医者でもあるし
なれてるっちゃ慣れてるよ。
兎に角 温まって出なさい!」
意外と肉ついてるね。
意味深なセリフを吐いて彼は
出て行った。
「セクハラじゃね?」
「ああ、気持ちいい。!
ン‥肉?ついてる!!って
やっぱりセクハラじゃーん。」
でも、さっきとは違い足から暖まっ
ていく、一瞬ゾワンと寒気が走っ
たが、暫くすると、汗が出て来た。
風邪を引く一歩手前だったようだ。
浴室から出ると先生は、キムチ鍋を
用意してくれていた。
彼は手招きをして、
「遠慮なんかしてたら持たないぞ!!
さあ、食べよう。」
可愛らしい赤いウサギの箸を差し
出して今コンビニで買って来た。
明日君の物を買いに行こう。
下着なんか、僕が買うと変態に
みられそうだよ。いいね。」
しばらく目と目が合った間があり‥
「ン?どうした?」
美奈は気まずそうに口を開いた。「いえ、先生私、明日出て
行きます。
二、三日の下着と着替えは
リュックに 真空パックにして、
はいってますし・・・
見ず知らずの先生に、ご迷惑
かけたくないんです。」
「・・・・・・」
先生は、少しションボリして
「そう・・・か。」
そう言っただけで食事を、止めて
しまった。
「せ、先生、…。」
「ああ、君はしっかりと
食べなさい」
また先生は寂しそうな顔をして
写真たての中の黒いプードルを
眺めていた。
「先生?」
「ああ、出て行くんだな!!」
後ろ姿が寂しそうで、辛そうで
初めて合った時も目が
離せなかったが、美奈は彼が
嫌で出て行くのでは無いと
伝えなくては行けない気も
あった。
「食べながら、話ませんか?
私の話も聞いて下さい。」
先生はネクタイを外しながらまた
美奈の前に座った。
母親の話から父親の話、今まで
の生い立ちを全部話した。
先生は黙って聞いてくれてた。
「で、ですからね!!
私散らかし魔なんで
先生のこの綺麗な部屋、
メチャクチャ散らかしますよ!
それにお部屋カラフルになりま
すし女の子、女の子になりま
すし、先生疲れちゃうと
思います。」
「それが出て行く理由?」
コクコクと、大きく首を縦にふる。
「はじめは良くても余りのだらし
なさに嫌気がさすばず
でーすョ。」
美奈はキムチ鍋にぶっ込まれた
高そうな肉をバシッと掴むと
デカく口を開けてアーングリ
モグモグたべた。
品も何も無い
彼はそんな美奈を見つめて
言った。
「大丈夫だから。」
「え〜えっ、そ、それに先生
メッチャメチャタ イプ
なんで、なれた頃、先生と別れられ
ないと思います。だから…辛くなる
のは嫌なんです。」
先生は、ハア~ツと深いため息を
吐き出して、美奈の頭をなでなで。
「俺も、君が好きになってしまっ
た。
一目惚れ、なんて都合のいい、
言い訳と思っていたが、キミに
一目惚れした。
だから君の父親にも了解を貰っ
た。
告白大会みたいになって
しまったが一郎太も嘘は
つきたくない!!
「だって!!そんな…本当?」
美奈は信じられ無かった。
彼も私が好きなの?ほんの二時間
前に会ったばかりなのに…
「君が散らかし魔なら、
僕はかたずけ魔
良くできてるダロ。」
HAHAHA
ついて来た時から縁が繋がり
気を許していたのかも
知れない。
じゃないと、ついてはこない。
だって、ファザコンの美奈には
一郎太は、めちゃくちゃタイプ
見てるだけでフワフワしてくる。
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