恋する判断

シヨゥ

第1話

 生きることは判断の連続だ。

 何時に寝るか。どちらの服を着るか。なにを食べるかなどなど。

 生きているということは判断を迫られる瞬間の連続なのだ。

 その中には人の好き嫌いも含まれる。


「君の声が好きだ」

 彼女の声が耳心地が良いと判断している。

「君の話題選びが好きだ」

 彼女との会話が心地良いと判断している。

「君の大きな瞳が好きだ。長い髪が好きだ」

 彼女の容姿が好ましいと判断している。

「ぼくは君が大好きだ。どうか付き合ってください」

 以上からしてぼくは総合的に彼女を好きだと判断している。だからこうして恋人になってほしいとお願いをする判断を下した。

「ごめんなさい」

 だからといって彼女がぼくを好ましいと判断するわけではない。

「気持ちはうれしいしけど、恋人として見ることはできないの。本当にごめんなさい」

 去っていく彼女を追いかけない。それもまた判断である。


 ひとり取り残されて空を見上げて黄昏る。これも頭を冷やすというひとつの判断だ。

 そしてこれでひとつの恋が終わったとするかどうか。今まさに判断を迫られている状態だ。

「どうするかな」

 むずかしい判断になる。それでもぼくは判断しなければならない。判断しなければ次の恋はない。恋をするというの判断の連続なのだ。

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恋する判断 シヨゥ @Shiyoxu

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