第2話

 ひょええ〜。

 外装は割とちゃんとしてたと思ったけど、やっぱり中は廃墟ですねぇ。床板は所々抜けてるし、壁も崩れてるところがある。

 でもびっくりしたのが、今ね、リビングらしきところまで来たんですが、なんと、当時の家具がそのまま残ってるの!!テーブルも、テレビも、棚も、全部。埃まみれで蜘蛛の巣なんか張っちゃって、その蜘蛛の巣にも古い埃がつもっちゃったりしてるのに、家具はそのまま残ってるの!!もう、生活感有り有り!!

 数十年前、僕がまだ30代の頃かな?なんとなく家具に見覚えがあるぞ。とても懐かしい感じがする。

 僕は、手元のライトで部屋の中を照らしながら、松永さんに「ここには幽霊はいますか?」と聞いたんだけど、松永さんは冷静な口調で「この部屋にはいませんね。家の中にはいるみたいですが」と言ったんだよね。

 そうかあ、まあ、そんなに簡単に出てこられても面白くない。少しくらい勿体ぶってもらわなきゃね。

 それにしても、松永さんは美人だなあ。やっぱり一緒に着いてきて貰って大正解!花丸大吉だね!僕もどんどんやる気が出てきちゃう。


 そんなことを思っていた時、突然、部屋のどこかでパキンと何かが割れる音がしたの。

 僕は思わず、辺りを照らすけど、何も変わりがない。

 そして、またパキンと。

 僕は怖くなっちゃって、松永さんを見たのね。いや〜、やっぱりダメだね〜。僕自覚がいままでなかったんだけど、ちょっと怖がりだったみたい。

 松永さんは、また冷静な声で

「霊が私たちを威嚇してますね」

「それはラップ音と言うやつですかね」

「まあ、所謂そう呼ばれているやつです」


 き、来た〜〜〜〜っっっ!!!!!


 ラップ音!!!さすがにこれは僕でも聞いたことがある!!!幽霊が出す怪音。まあ、ただの家鳴りと言われれば、そういう風にも聞こえるんだけど、松永さんが言うのだから、きっとそうに違いない。

 僕の生まれて初めての霊現象。霊現象処女はこの家に捧げました!!

「大丈夫ですかね」

 と僕が訊くと

「おそらく。ただ私たちを怖がってるだけでしょう。そこまでの力もないかと思います」

 また冷静に言う。くぅ〜、かっこいい。

 でも、この部屋には結局なにもなくて(ラップ音はあったけどね)、僕らは次の部屋に移動することにしたの。次の部屋は、もちろん一番幽霊が出そうな部屋。数十年前に老人が自殺したと言う部屋!


 さあレッツラゴー!!

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