第9話 ドライブ

次の日朝から天空カフェへやって来た。

「おはよう新くん」

「おはよう……」キーボードを打つ手が止まらない。

「忙しそうだねえ」

「綾乃パパの会社を経営診断してるんだ、だからちょっとややこしいんだ」

「そうなんだ、大変だねえ」

「どうやら、俺が綾乃ちゃんと付き合う価値のある人間か試されてるっぽい」

「御愁傷様です……」

「……………」

「今日軽トラを借りたいんだけどいいかな?」

「いいよ、はい鍵」新くんはポケットから鍵を出してくれた。

「ありがとう」


そこへ希和がやって来る。

「おはようございます、新さん、友希さん」

「おはよう、今から軽トラでホームセンターに行くけど、希和ちゃん来る?」

「えっ、行きまーす」ニコニコと微笑む。

新くんは「ありがとうね」そう言った。

おそらく忙しいので希和を引き受けてくれたんだと思ったようだ。

「どういたしまして」とりあえずそれで良しにしておく事にする。


「やったー!ドライブ、ドライブ♪」希和はご機嫌だ。

「スマホで見たら児玉にはホームセンターが二つもあるよなあ」

「えっ……あるけど……本庄にはもっと大きいのが有るよ」

「そう、でも児玉で大丈夫だと思うよ」

「でも………」

おそらく不良と出会す事を心配してるんだと思う。


ホームセンターに到着すると、工具やケースなどを物色する。

希和はキョロキョロしながら不安そうな顔で後をついてきた。

一通り買い物が済むと、近くでハンバーガーを食べる事にした。

希和はバーガーショップに行くことをかなり嫌がった。


「友希さん、ここは不良たちの溜まり場だから………」

「大丈夫だよ、心配ないって」

「でも…………そうだ!テイクアウトにしようよ」

「いや、中でゆっくり食べよう」

「でも……」


食べ終わって外に出ると、ニヤニヤしながら不良が近づいてきた。

希和は俺の後ろにスッと隠れた。

「オッサン、オレその子に用事があるから、少しどっか行っててくれないかなあ」

「オッサン?、俺はまだそんな歳じゃあないけどなあ」

「いいからあっち行ってろよ!」凄んできた。

「友希さん、少し話すだけだからあっちに行ってて」

希和は俺の前にゆっくりと出てくる。

「嫌だね!」俺はニヤリと口角を上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る