第8話 ~ダダンダウンなう~
R1-M1より僕達に下されたファースト・ミッションは、「トリオの高校生芸人、
「なはは、おっ
「ふん。志國三には既に複数のスポンサーがついているらしいからな。案ずるな圭助よ。
「なはは、その割りには自分、緊張からか動きが鈍いで? 一昔前のラジコンロボットみたいにガチガチやないか。目ぇかて泳いでますしおすし」
「ふん。僕の切迫した
「なはは、
「ふん。流石はダダンダウンの高い知名度と、強いブランド力と言った所だな」
「なはは、この程度で
「ふん。上出来だぞ圭助。褒美として僕の相方になれる権利を
「えぇ……(困惑)。っちゅうか、既に俺ってばお前のツッコミで相方です! ったく、今まで俺は何やってんや!」
そんな軽口を叩きつつ、僕らは志國三の待つ楽屋へと向かう事にした。
ふん。なるほどな。先程の圭助が言った通り、全てに置いての関係筋に折り合いが付いている模様で、出入口の警備員はおろか中のスタッフに至るまで、僕達の行く手を阻む者は一人として居なかったのである。しかもこいつらと来たら揃いも揃って、僕達二人に微笑んでの挨拶付きである。
「ふん。事実上の顔パスと言う訳だな。たまにはこう言うのも悪くは無いな」
「なはは、せやな。「俺らは部外者とはちゃいまっせ」っちゅう、特別扱いされとる感じが、何とも言えず心地ええよな。おおっと、どうやらここが、志國三の待機所みたいやで」
「ふん。それでは僕がノックをするから、打ち合わせ通りに圭助は挨拶を頼むぞ」
「なはは、心得とるがな。ほな行こか」
僕はゆっくり、「コン、コン、コン」と一定間隔で扉を軽く叩く。すると
僕はノブを回してドアを開き、圭助と二人揃って部屋の中へと飛込んだ。
「なはは、ダダンダウンの焔煜と新堂圭助が到着や。邪魔するでー」
「邪魔するんやったら帰ってー」
「なはは、はいよー」
僕と圭助は
だが、僕だけは引き続き、そのままスタスタとその場から立ち去ろうとするのである。
「なはは、おいおい、煜! 何をホンマにこの場から離れようとしとんねん!」
「ふん。帰れと言われましたからな。素直に応じてカッチリと引返しませんと」
「なはは、志國三に
ふん。僕達ダダンダウンと志國三メンバーは初対面の握手を交わしつつ、これにて、つかみはOK! 的な吉○新喜劇は閉店ガラガラ、パァ、出た! ウワオ! である。ふむ。もしも次にチャンスが有るのであれば、「乳首ドリルすんのかいせんのかい」、ないしは何に対しても
ふん。しかし今のやり取りで把握した事だが、やはり注視するべきは志國三だと確信したぞ。何せここの土地は関東で有るにも関わらず、関西の鉄板ギャグを即座に理解し、受け入れ、しかも物ともせずに乗っかって来やがったのである。それも想像の域を遥かに超えたクオリティでだ。
ふん。聞きしに勝るアビリティじゃないか、志國三めが。
「フッ、挨拶代わりに予告無しの即興コントとは、流石は噂に名高いダダンダウンさんと言った所ですね。フフッ、初めまして。ボクが志國三のツッコミ兼イリュージョン担当の、
「オー、同じくワタシは志國三のボケ担当で、台湾からの留学生の
「なはは、こちらこそ、あんじょうよろしゅう頼んまっさ。えろうすんまへんなぁ~、急な申し出にも関わらず、せわしない最中に無理を聞いてもろうて」
「フッ、それは全く支障ありませんよ。ですが、本日は我々のオープニング・アクトをやって頂くとの事ですが、あのダダンダウンさんがそんな
「ふん。この師匠から託された人工知能搭載ロボ、R1-M1のお告げなのだ。
「フッ、何だか複雑な事情がある様ですので、ここは深く立ち入らないでおきましょう。とまれかくまれ、ダダンダウンさんが志國三の盛り上げ役を行って頂くなんて、当方としましては、願ったり叶ったりの好条件ですからね」
「ふん。では交渉成立と言う事で問題無いな。お互いがウィンウィンの関係に祝福を」
「フッ、その様ですね。優しい世界の天地創造に乾杯です」
「なはは、なんやこれ。よう分からんけど自分ら仲ええな。もう結婚を前提に交際せぇや」
「オー、と言うかワタシ、エキシビジョンS.O.B.と称して、ダダンダウンと勝負してみたいネ。小手調べにやってみよーヨ?」
「フッ、駄目ですよ瑠璃さん。まったく好戦的な人だ。とは言うものの、ダダンダウンさんとS.O.B.をしたい気持ちは、瑠璃さんよりも遥かにボクの方が勝っていると思われますがね。フフッ、焔煜さんと新堂圭助さんのお二人は
「ふん。
「オー、じゃあワタシも
「フッ、お供しますよ瑠璃さん。ゴゴゴゴゴゴゴゴ……」
「なはは、お三人さんストップや。ちょいと一旦冷静になって、俺の話を聞ぃたってや。連載が再開する
「フッ、ハ○ター×ハン○ーならば、当然ボクも存じ上げておりますよ。現時点では、世界一面白いとの呼び声が高い漫画ですよね?」
「なはは、せやせやせやで。よう分かってはりますやんか優輝はん。そんであの漫画の高度なテクニックの一つですけどな、
「オー、ワタシもハンタは好きだから良く分かるネ。要するにこの
「なはは、オンドレスンドレ男て。しやけど
「フッ、なるほどですね。新堂圭助さんの言う理屈は理解出来ました。フフッ、さあれども、ボクは生粋の○NE PIECE派でしてね。手放しで賛同はしかねますよ」
「オー、それだったらワタシも強いて言えば富樫より尾田信者ネ。休載の多過ぎる富樫の怠け者に対して、働き者の尾田っちは毎週欠かさず、ワタシ達にドキドキワクワクの冒険譚を届けてくれるヨ。別に何でも良いから、とまれ富樫仕事しろネ! ドン!!」
「フッ、富樫義博と言った
「なはは、志國三のお二人さんや? さっきから黙って聞いとったら、
「オ、オッフー、コイツ
「クッ、瑠璃さんの仰る通りですね。率直に言って
「なはは、前言撤回やわ。やっぱおどれらとS.O.B.で白黒決めてもええんやぞコラ? 漫画視野の狭い約二名の
「フッ、芸人にも品格が求められているこの御時世に、何と口の悪い事でしょうか。それに漫画ソムリエの異名を持つこのボクに対して、全く失礼な御方です。フフッ、良いでしょう。相手になって差し上げますよ」
「オー、望む所ネ! S.O.B.上等やったるヨ! ブチ殺したるネ、ダダンダウン!」
「ふん。待て待て。漫画雑誌が週刊少年ジャ○プしか見えていない、固定観念にとらわれている
「なはは、なんや煜?
「オー、ワタシはそれ以外の月刊雑誌か、ヤング
「フッ、甘いですね瑠璃さん。青年コミックは良い線ですが、ボクは更に意表をついて、成人向け漫画雑誌……所謂成年コミック雑誌を例に出すとみています」
ふん。
……ああっ! ひょっとして
「ふん。まあ良い。特別に愚かで惨めったらしい貴様らに答えてやるとしよう。史上最強の漫画雑誌……そいつは、た○しい幼稚園、て○びくん、め○えに決まっておろう。以上の三連星誌の読者である僕に死角なし。僕、高みの見物だ。ふははん」
「なはは、あほう。それ全部児童・幼年雑誌やないか。せめて月刊コ○コロコミックを読める位には成長
「オー、そう来たか。やるネ焔煜。しかしふと思ったけどヨ、面白くて人気の漫画って、どうしてこうも休載
「フッ、瑠璃さんは好みの漫画まで血気盛んな御方だ。フフッ、そうですね。同じ様な休載率高めの漫画なら、よ○ばと! の様な気軽に読めるほのぼの漫画もお薦めですよ」
「オー、誾が推す漫画なら読んでみるのも
「ふん。その辺は近年にとても規制が強化され、台湾市場でも正規版しか出回っていないみたいだぞ。なので
「なはは、日本の漫画は台湾でも大人気らしいしな。ちゅうか台湾と言えば、
「ふん。どうせ「台湾に行きたいわん」ってな駄洒落をぬかす気だろ。何たる低水準な。貴様に告ぐ。もう芸人なんか辞めちまえ!」
「なはは、アタイ……やめへんでっ!! やめへんで……アタイ……ッ!!」
「ふん。又してもポプ○ピピックのパクリネタか。もう見た。もう見た。もう飽きた。もう良いわ」
「フッ、先程からの御二人の掛け合いを拝見しておりますと、流石は噂に違わぬ手腕の持ち主であると言わざるを得ませんよ。フフッ、こうなってくれば益々もって、ダダンダウンさんとのS.O.B.を激しく所望しますね」
「ふん。火に油を注いだだけであったか。なれば
「なはは、煜もとうとうやる気になったみたいやし、
ふん。バチバチと火花を散らし、威嚇し合う両陣営である。緊張感が一気に高まり、一触即発の状態となった次の瞬間、志國三のリーダーである山田漢が
オイオイオイ、そしてなんだ隣のオスブタオイ!! この様な中であろうとも、当たり前の様にポテチを、文字通り豚の様にがっつく事は止めていないだと? マジかよこいつ……。
直後、「双方待たれよ」と言わんばかりに、怒号を放つ
「ブヒブヒブッヒー、ブヒブッヒー!!!」
「ああ!? 何て?! なはは、なんやら山田はんが、
「フッ、それはこのボクにお任せあれ。「ダダウンダウンの御二方、わざわざお越し頂いたのにも関わらず、当方のメンバーが大変失礼致しました。御二人の出演者控え室も、別途用意して御座います。ですので、何か希望する物でもあれば、何なりと御遠慮無く御申し付け下さい。直ちに御用意致しますので。本日は宜しく御願い致します」……と、我らが
「なはは、あの短い発声でそないに喋っとったんかいな。ちゅうか山田はんが強烈な見た目と
「フッ、ボクとした事が大人気ない真似をしたものです。ついついダダンダウンさんと言う強者を目の前にし、気持ちがほとばしり、冷静さを失ってしまいました。焔煜さんに新堂圭助さん。御二人には大変御迷惑をお掛けしました事、深くお詫び申し上げます。フフッ、さぁほら、瑠璃さんも頭を下げましょうか」
「オー、悪かったネ。許せヨ、ノータリン。ホレ、卒なく詫びを入れたから聞入れろネ、
「なはは、愛はんの方は
「ふん。まあ、もう良いではないか圭助よ。
「フッ、今仰った点は案ずることなかれです。うちの漢リーダーは食いしん坊がアピールポイントでして、最早脳味噌も
「ふん。
「なはは、元気が一番、元気があれば何でも出来るやね! ほんなら皆さん、ご
「ブヒャブヒャブッヒャー、ブッヒャッヒャー♪」
「フッ、漢リーダーは只今のダダンダウンさん式ボケとツッコミに、
「オー、漢が
「ふん。その原作のアニメ版ならば、僕も視聴した事はあるぞ。確か主人公の黒○智子こと、愛称も○っちの一人ぼっちオタクJKが、毎度目を覆いたくなる様な醜態を晒しまくる内容だったよな。ふん。まだ漫画版の方は連載していたのだな」
「なはは、アニメ視聴だけで終わったコンテンツ扱いしとったとは、
「ふん。随分と
「なはは、おあいにく様や。わたモテの話題の時に、そのツッコミは褒め言葉にしかなりまへんで」
「フッ、無料ウェブコミック配信サイト・ガンガン○NLINEにて定期連載されておりまして、わたモテ更新日となればSNSツール・釣りッター(インターネット上で、不特定多数の人に向け、言葉と言うエサで人を釣る(レスをもらう)事が出来るサービス)でトレンド入りする程の人気を得ていますよ。当然二次創作物も異常な程の盛り上がりを見せておりまして、ボクもそれらを毎日追い掛けるのが大変な位ですね」
「オー、誾も
「ふん。
「なはは、ホンマにそれだけの威勢がありまっせよ。そいつが如実に現れたんが、毎度お馴染みネット炎上ですわ。わたモテは正式に百合漫画を
「ふん。真に受けるな。冗談だよ
「フッ、その問題は結局
「ふん。余りにも苛烈な持ち上げっぷりに
「なはは、それやったら今夜にでも俺んち来いや。当たり前やけど全巻買い揃えてるし、
「ふん。闇金ウ○ジマくんのカ○カウファイナンスかよ。お金を貸すならいざ知らず、漫画での加算ってどんなだよ。保存用・観賞用・布教用に三冊買え的な
「なはは、煜の方こそ鵜呑みにしなさんなや。友達やし漫画くらい
「フッ、途中からギスギスとした険悪なムードとなりましたが、それこそわたモテ本編さながらに、良い路線変更・方向転換となったみたいですね。誠にもって、わたモテ様様の御陰ですと言った所ですか。フフッ、今日の所は仲良くやりましょうよ」
「オー、興が削がれたって奴ネ。いがみ合いは中止だ中止ヨ。この「中止だ中止」で思い出されるのが、往年の名作アニメのAK○RAネ。このAKI○Aの劇中で、東京オリンピック会場の建設現場に書かれた落書きが「中止だ中止」なのヨ。作中と現実の2020年東京オリンピックとがぴったりリンクしててネ、ワタシウッキウキなんヨ」
「ふん。もう沢山だ。折角話が
「なはは、んまあ、具体的なタイトル名は挙げんけども、丸で落とし所を見失ってグダグダになってもうたカス漫画みたいやね。なはは、例えば○○○○○やら○○○○○○○○○○とかやな←(※大問題となりますので、全ての文字を伏せ字とさせて頂きます)」
「ふん。今の状況は
「フッ、それは尖っていたジャックナイフ時代の話ですよね。しかし今や彼は、その本筋から逸脱する話を事前に前置く形で話術を改善させています。そして、仮に話が横道に逸れた場合でも、非常にコンパクトに納める術を習得しており、聞き手にストレスの無い様に配慮しています。素晴らしい向上っぷりですよ。フフッ、いえ、
「なはは、俗に言う「腕上げたな~」言うやっちゃな。ほな、この流れを変える感じで、代わりに映画の話でもしまひょか。俺は洋画より
「ふん。圭助よ。反吐が出る語呂合せも含めて、大真面目に貴様を
「なはは、ちょっとしたおふざけで言うてみただけですやんか。そない見開いた眼ぇで、じろりと睨みなさんなや。しかも完全に光のない眼球しおってからに。その形相ってば、わたモテのネ○か、きー○ゃんか、ゆ○ちゃんか、加○ママ(原作の初登場順で、ニックネームにて列挙)が
「オーオー、全面的にワタシが悪うござんしたネ。ケッ、オマエらで勝手に軽く打ち合わせでもしてるが良いヨ。ワタシは
「ふん。何やら愛瑠璃が部屋の隅っこで、体育座りをして
「なはは、せやけど、ちっこくなって
「フッ、これは意図して狙ってやっているのですよ。フフッ、これぞ瑠璃さんの必殺技、「あざと可愛い系女子擬態」と言うやつです。「童貞を殺す服」ならぬ、「チェリーボーイを暴く策」ですね」
「ふん。ギクリとする」
「なはは、ドキリとする」
ふん。ここで一人の運営スタッフが血相を変えて入室してきた。……ふむ。どうやら時間が押しているとの事である。
ふん。それ見たことか。漫画談義が
「フッ、聞いての通りですね。ミーティングも全くの無しで、いきなりのぶっつけ本番となってしまいますが、ダダンダウンさんの御二人は大丈夫なのでしょうか?」
「ふん。僕を、僕達を、誰だと思ってやがる!!」
「フッ、いや、ダダンダウンですよね。それの元ネタが天元突破グレ○ラガンの名言と言うのも理解はしていますが、今は緊急事態にてスルーしますよ」
「ふん。冷静にツッコまれてしまった。と言うかそれ以前に、今は真面目な話だったな。正直、スマンカッタ」
「なはは、せやけどダダンダウンが、
「ふん。
「フッ、敵に回すと厄介でしょうが、味方だとこれほど頼もしい人達は他にいませんよ。フフッ、信じていますからね」
「オー、最後の焔煜はド直球中のド下ネタで、ド下品ド最低だったけどネ!」
ふん。
ふん。よもやダダンダウンの登場を予想だにしていなかったお客さんの反応は上々である。そして、披露した漫才のネタであるが、僕達ダダンダウンの初期鉄板漫才、「長靴を吐いた猫」で望んだのだ。いやー、今回も受けに受けたぞ。
ふん。このネタの内容が気になった者は、動画サイトのミーチューブにアップロードされているので、是非共チェックしてほしい。ついでにチャンネル登録なんぞしてくれちゃったりしたら嬉しいぞい☆
そうして、約10分のネタ見せライブを終え、観客席から大歓声を受けながらその場を後にし、僕達に用意された楽屋へと戻って来た訳である。
「ふん。運営スタッフは今も慌ただしく動いているし、こりゃ完全にプロの現場だな。時に圭助よ。この部屋に備え付けられているモニターにて、志國三のショー内容を確認出来るみたいだぞ。ふむ。先程まで僕らが湧かせていた客席であるが、あっさりと志國三の掴みネタにて
「なはは、
「ふん。全くもってその通りだぞ圭助。それに十中八九だが、世間の目はこう捉えるだろう。「あのダダンダウンが志國三の前座を買って出たのだぞ」と。つまりは僕達の方が格下なのだと判断するのだ。ふん。事実上、僕らは負けたのさ」
「なはは、やっぱそうなってまうよな。こら個々の優劣をはっきりさせん為にも、今まで意図して有名高校生芸人とのS.O.B.を避けとった報いかもしれへんな。……しやけど、何やら悔しいの」
「ふん。案ずるな圭助よ。なあに、
「なはは、俺の事を気遣って仕事をあてごうてくれるとか、あんまり泣かせんなや煜。せやけど、おおきに。かしこまりやで。えーと、志國三メンバーの氏名と担当はもうええよな。ほいでこのトリオの特徴やけどな、やっぱなんちゅうても
「ふん。優輝誾は僕とクールイケメン枠が被るのがちょっくり気になるが、この際そこは置いておこう。
「なはは、言わはる通りやで。台湾からの留学生っちゅう売りも、
「ふん。だがしかし、この二人に優輝誾の手品が
「なはは、
「ふん。そして逆に山田漢は相変わらず大食らいで何も変化が無いと。にも関わらず、その状態であるからこそ、そこに笑いの要素が生まれているのか。ふん。全く大した物だよ」
「なはは、それとこれは志國三のオフィシャルなキャラクター設定なんやけどな、優輝はんにしても愛はんにしても、
「ふん。あの現象は単なるバグだったらしいがな。しかし、こりゃ
「なはは、勿論存じ上げておりまっせよ。しやけどその後は
「ふん。僕は責任なぞ取らんからな。もうどうなっても知らんぞ。話を戻すが、志國三のこう言った笑いの壺を刺激するテクニックは感嘆に値する出来栄えだな。しかもこのマジックショー形態のノリならば、客いじりも違和感なく成立してしまう。……いや、この場合は御客の参加ってな
「なはは、お笑い界隈の客イジリは、もしかしたら不快感を与えてしまうリスキーさをはらんどるさかいな。その点イリュージョンショーならプラスに転じる場合が殆どや。ほいで志國三人気の極め付けはやね、ショーのクライマックスにありよんねんよ。何と優輝はんは無類の変態露出狂で、ラストには必ずスッポンポンになりまんねや」
「ふん。ならば同じ美男子カテゴリーであるこの僕も、漫才の落ちでまっ
「なはは、そうやろうけども、これにて女性ファンはがっちりゲットやで。そないな事よりも問題なんはな! 何でその属性が愛はんとちゃうねんと! この点を俺は声を大にして言いたいねや!」
「ふん。そう改めて言われたら、全くもって悔しいな。しかし、それは観ている側(主に男連中)の、「もしかすると次は脱いでくれるかもしれない」と言う期待に繋がっているのだ。ふん。絶対に顧客を逃さないってな執念を感じるぞ。恐るべしだぜ志國三」
「なはは、因みに俺は志國三の掴みギャグで、愛はんがむっちゃ流暢な日本語を喋るのに対して、逆に優輝はんがおもっくそ片言で喋るやつが好きやわ。……うーん、こりゃ完全に
「ふん。これからが地獄だぞ圭助。きっとこんな感じが
「なはは、
「ふん。何で唐突にその世界的ベストセラーを持ち出してマウントを取ろうと思ったのか。ここは他の何かと比較する場面では無かろうに。ふん。「魔法ってか
「なはは、すんまへん。それこそ水木先生が産み出した名脇役で、彼の有名な半妖怪で有らせられるビビビのね○み男先生も、「けんかはよせ。腹がへるぞ」て仰ってるしな。無意味に煽り立てる行為はあきまへんわな」
「ふん。全くだぞ。まあ、僕だってハリポ○シリーズの本なんぞ手に取った事も無いし、映画版も四作目でリタイアした人なので
「なはは、ほんでや、そのお化け学校シリーズは全十二巻なんやけど、そいつの第三巻に当たるんが、ブルートレインお○け号っちゅうタイトルの巻なんよね」
「ふん。どうして説明をする側の僕と貴様の立場が、
「なはは、まあ、ええんちゃうの。話的に
「ふん。あすこは児童書等の出版がメインの会社なのだ。さればお子様には寛容であろうし、言っても僕みたいな青二才の
「なはは、出よったの。都合のええ時にだけ突起する、自分は未成年なのでお咎め無しでっしゃろの訴え掛けっちゅうやつですわ。さすが煜! 俺にはでけへん事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる! あこがれるゥ!」
「ズキュウウウン(別に深い意味は有りません。キスシーンでも無いのです)。ふん。問題はな、この作品に置いてストーリーは
「ほーん、そうなんや。せやけど、それの
「ふん。まだ気が付かないのか圭助よ。僕達がこれから物語を進めるに連れ、ほぼキャラ紹介と解説で終わらせる事になるのではないかと危惧しているのだよ。そう
「うへぇ、マジかいな。そら、ちぃとしんどいかもやな。なはは、ちゅうか例えがマニアック過ぎやわ。さては、ゲゲゲ○鬼太郎ファンだなオメー」
「ふん。それらの関連出版物は全て所持しておりますが、何か? ふん。しかもゲゲゲの○太郎だけに留まらず、僕は水木先生の作品全てを愛しているからな。伝承や文字の記録のみであった世界中の怪異をだ、初めて絵として数多く描き起こした功績の偉大さは計り知れんぞ」
「なはは、確かにそこはもっと評価されて
「ふん。水木作品では原作やアニメにしても、昔から可愛いヒロインは登場しているのだよ。だが○娘の容姿変貌問題は少々目に余るかもしれんな。特に鬼○郎アニメの第六作目での彼女だが、八等身のモデル体型美女となり、ハイヒールを常用する等々、大人の女性の外見となっているのだ。最早原作の面影すら、皆無に等しい御姿となっているからな」
「なはは、その
「ふん。……と~ってもかあいらしい! 戦闘シーンもと~ってもかっくいい!
「なはは、まあ、落ち着きや。いやはや、まさかの全肯定やったか。ったく、アニメ如きに頬を染めまくり、鼻の下を伸ばした顔をしよってからに、気色悪い」
「ふん。その言霊のブーメランは確実に貴様の首を切り裂いて、僕の手元に戻ってくるぞ。参考文献、by FREESTYLE DUNGE○N in 男性ラッパー・呂●カルマ大師範也」
「なはは、辛辣やなぁ~。や、期待通りの返しをあんがとさんやで。んまあ、煜が原作にこだわり過ぎる害悪、俗に言う
「ふん。因みに、ゲゲゲの鬼太○以前の原点的作品で、少年誌で連載される前の、所謂「貸本版」と言われる墓場○太郎にて登場する猫○的キャラクターの寝○さんは、至りて大人びた見た目であったがな。驚くなかれ、彼女は出版社の違いによって、死亡と生存ルートに別れると言う特異性を持っているのだよ。ふん。正直、○子さんが
「なはは、それって例えるならアレやんけ。バッドエンドが多めのマルチエンディング形式のコンピュータゲームで、ようやっとハッピーエンドかトゥルーエンドに辿り着いた時の爽快感やんな?」
「ふん。再びゲーマーしか分からぬ、伝わりにくいあるあるを引き合いに出しやがって。……いや、まあ、別に構わんのか。どうせこんな小説なんぞ、デュフフとしか笑わぬ、漫画とアニメとゲームしか興味の無いキモヲタしか読んでいないだろうからな」
「なはは、ホンマやね~……って、こらこら失礼が過ぎるど! 煜の偏見のクセがスゴい! しやけどお前が水木先生崇拝者っちゅうのは充分伝わったわ。それに、その寝○さんの結末が
「ふん。水木先生ファンが増えるのは大歓迎だが断る! あっうん、今度
「なんでやねん! わたモテの名トリックスター小宮○琴美さんこと(笑)こみちゃんが、漫画を貸して欲しいっぽい態度を取ったのに対して、
「ふん。又もわたモテかよ。どんだけ好きなんだ。しかも
「なはは、アニメが終わった途端にオワコン扱いしとったミーハー野郎に発言権は無いで。ちゅうか、どっちにせよここまで聞かされたら、○子さんの
「ふん。大多数の人間が理解出来ない話を引っ張り過ぎたな。こんな与太話を展開している内に見ろよ。志國三のショーがいよいよ大詰めを迎えるみたいだぞ。ふんっと! 何と最後は
「なはは、まさに驚きの連続やったな。せやけど、
「ふん。悔しいがエクストリームなショーであったな。ふむ。
「竿
「ふん。そうだな。あれだけ御立派なもん(意味深長)を見せ付けられて少々けったるいが、一応礼儀だけは通さないとな」
そう言う訳で僕達は志國三の控え室へと向かう。只、普通に行くのは
「ふん。勘づいているか圭助よ。何やらスタッフの動向が並大抵ではない事に」
「なはは、普通ちゃうんは
「ふん。駄目だな。こいつら忙し過ぎて、僕らの姿が目に入っていないらしいぞ。……いいや、この様子はそれだけでは無いな」
「なはは、せやな。なんちゅうか、慌ただしいのは始めからずっと変わらんのやけど、緊迫した雰囲気とでも言うんやろか。何やそう言う感じのやつやんな?」
「ふん。まあ、あれだけの見世物を
「なはは、今回はあの吉本新○劇の鉄板芸コピー及び天丼はやらんとこうで。今の俺らやったら、この見た目だけでインパクト大やさかいな。ボケに重ねる更なるボケにより、笑いが中和されてまいよる可能性が高いからの」
「ふん。そうだな。それに「あいよー」と言って
「理由しょうもな! ちゅうか、さり気に自分のサイズ自慢してんなや! なはは、んまあ、っちゅう訳でして、ドアノックからの改めましてお邪魔しますからの部屋に突入しまっさでっせー!」
ふん。騒々しく入室した僕達とは丸で正反対で、志國三の三名は何やら神妙な面持ちで静かに佇んで居る。ふむ。しかも優輝誾は被服を着ぬままかよ。ウフンッ! いい体……。
「ふん。興行の成功を喜ぶには相応しくない面構えじゃないか。一体どうしたよ、三人衆」
「フッ、まずはお疲れ様でした、ダダンダウンのご両人。素晴らしきショーのイントロダクションを有り難う御座いました。お客様の側も十二分にボルテージが上がり、ボク達としてもやり易い事この上無かったですよ」
「なはは、それよりもこの場のムードやと、そないにお祝いモードではありまへんな。一体どないしましてん? 何ぞあったんでっか?」
「フッ、こいつを見て下さい。運営スタッフの一人が発見したのですが、舞台袖にて捨てられていた、
「オー、ワタシ達は何食わぬ顔で、「これはショーの演出の一環です」と片付けたがネ、実際には「バックステージからウォーターバルーンが投じられる」みたいなプログラムは無かったのヨ」
「ふん。するってぇと、おめぇさん方何かい? そりゃどこぞの第三者による、放火事件ならぬ
「フッ、突然のべらんめえ調になった焔煜さんの真意は分かりかねますが、その通りですね。疑う余地のない根拠として、つい先程この封書が郵便で届けられたのです。フフッ、差出人は例によって不明ですがね。中身は犯行声明及び犯罪予告が書かれた物でしたよ」
ふん。優輝誾は僕に向け、こいつを読み上げて下さいと言わんばかりに、その書状を手渡してきた。
ふん。やれやれ、文盲で無学の貴様らに変わり、
「ふん。良かろう。昔から国語の授業の本読みは得意だったんだ。あー、うおっほん。……えっと、こ、これは……あ、あらわれある? ……の、お、おわらい……い、いたりうえおもよし……? ……ふむ。無理だ。近頃はとんと視力が弱くなってしまってな。寄る年波には勝てんのう」
「なはは、何をぬかしとんねん若者代表が。どうせ単に漢字が読めへんのと、朗読下手のダブルコンボって所やろ。ちょい俺に貸してみぃや。……んー、何々? ――これは現在のお笑い至上主義の世の中に、怨みを募らせる全ての人間の総意と思われたし。これからも
「ふん。聞けば聞くほど、自己陶酔に浸った
「なはは、それをまともに
「フッ、と言う訳なのですよ。そう言えばここ数日、S.O.B.が行われたロケーションにて、何軒かの水に
「オー、このお笑い全盛期の明るい時代にネ、今では希少価値とまで言われる様になった犯罪行為を行うとはヨ、マジで気が触れた輩ネ」
「なはは、なるほどやね。ほならこの手紙の文面を、言葉通りまんま受け止めるとしたら、犯人は高校生芸人が参加するS.O.B.を、ピンポイントで標的にするっちゅう事になるわいな」
「ふん。そうなるな。しかも
「なはは、最後の最後まで漫画・アニメの話を引っ張り
「オー、
「フッ、全くもって瑠璃さんの仰る通りです。その様な理由ですから、ボクも焔煜さんの提案には全面的に同意致します。フフッ、お笑いの世界に弊害となる
「オー、そう言う事ネ。キ○ガイ
「なはは、ほんで大体やね、今のお笑い至上主義の日本で
「ふん。貴様ら全員、
「なはは、ほんなら全員一致で決まりですな。絶対に俺らで犯人を
「ふん。所で山田漢よ。貴様はどんな事態が起ころうとも、微塵もブレる事無くポテトチップスを喰らい続けるのだな。ふむ。されどその心意気や良しだ。心ゆくまでがっつけい」
「なはは、ちゅうかショーの最中もずっとパクついとったし、ホンマどないなってんねん、この人の胃袋は」
「ブヒヒ、へっちゃらブヒ。ポテチの原材料はジャガイモブヒ。つまりは
「ふん。アメリカでは「ピザは野菜」と国家が認定している事実を思い出したぞ。しかし、僕には単なるデブの苦しい言い訳にしか聞こえんのだがどうだろう」
「なはは、んまあ、そうかもしれんけど、それとこれとは別にしてやね、もうこの大食いフードファイターが
ふん。しかし何だな。結局僕達が
うむ。そもそも優輝誾の性癖全開
今や海外諸国からも、「お笑いの国」、乃至は「
ふむ。果たしてこのまま我が国が、
ふぬん。この様な質疑応答が行われたと仮定しまして、その返答内容
ふう。こげな感じで、僕は少々危機感を募らせる今日此頃だったりするのでありますよ。
ふん。柄にもなく小難しい事を思案した
……ふん。おっと、くしゃみが出そうだ。……ふん……ふん……ふんえっくしょん! うぅ……んもぅマヂ寒ぃ。ゥェァ着ょ……。
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