第8話 ~ダダンダウンなう~

 R1-M1より僕達に下されたファースト・ミッションは、「トリオの高校生芸人、志國三ここさんのネタ見せライブにて、ダダンダウンが前説を買って出るべし」であった。


「なはは、おっ魂消たまげやなー。これがまだプロでもあらへん、一介の高校生芸人のネタ見せ会場なんかいや。仮設やけど、収容人数約三千人のテントまでこさえてもろうてからに。どこぞの人気サーカス団の公演が来たんかと勘違いしてもうたで」

「ふん。志國三には既に複数のスポンサーがついているらしいからな。案ずるな圭助よ。いずれは目の前に広がるこの光景を、僕達が自らの力で築き上げる事となるのだからな。未来のシミュレーション映像だと思って、気楽に行こうや」

「なはは、その割りには自分、緊張からか動きが鈍いで? 一昔前のラジコンロボットみたいにガチガチやないか。目ぇかて泳いでますしおすし」

「ふん。僕の切迫したたたずまいなんぞ、何処吹どこふく風で良いのだ圭助よ。それよりもだ、貴様に委任しておいた、志國三へのアポイントメントの取得は大丈夫なのだろうな?」

「なはは、其方そちら側に関しましてはバッチリやで。志國三の公式ホームページから、ダダンダウンの新堂圭助の名前をつこてメールしたってん。「諸事情が有りまして、是非とも志國三様の前座をやらせて頂きたいのです」っちゅうてな。ほしたらや、「何ですって!? マジにあのダダンダウン様なのですか?」ってな具合に、矢庭やにわに返事が来たってなもんやで」

「ふん。流石はダダンダウンの高い知名度と、強いブランド力と言った所だな」

「なはは、この程度でおごりなさんなや。んまあ、取り敢えず関係者全員に話を通しときますっちゅう御達おたっしやで。「当日は現場ホール裏口から、志國三の控え室にまでお越し下さい」との事ですわ」

「ふん。上出来だぞ圭助。褒美として僕の相方になれる権利を寄贈きぞうしよう」

「えぇ……(困惑)。っちゅうか、既に俺ってばお前のツッコミで相方です! ったく、今まで俺は何やってんや!」


 そんな軽口を叩きつつ、僕らは志國三の待つ楽屋へと向かう事にした。


 ふん。なるほどな。先程の圭助が言った通り、全てに置いての関係筋に折り合いが付いている模様で、出入口の警備員はおろか中のスタッフに至るまで、僕達の行く手を阻む者は一人として居なかったのである。しかもこいつらと来たら揃いも揃って、僕達二人に微笑んでの挨拶付きである。


「ふん。事実上の顔パスと言う訳だな。たまにはこう言うのも悪くは無いな」

「なはは、せやな。「俺らは部外者とはちゃいまっせ」っちゅう、特別扱いされとる感じが、何とも言えず心地ええよな。おおっと、どうやらここが、志國三の待機所みたいやで」

「ふん。それでは僕がノックをするから、打ち合わせ通りに圭助は挨拶を頼むぞ」

「なはは、心得とるがな。ほな行こか」


 僕はゆっくり、「コン、コン、コン」と一定間隔で扉を軽く叩く。すると房室ぼうしつの中から、「どうぞ、お入り下さい」との声がする。

 僕はノブを回してドアを開き、圭助と二人揃って部屋の中へと飛込んだ。


「なはは、ダダンダウンの焔煜と新堂圭助が到着や。邪魔するでー」

「邪魔するんやったら帰ってー」

「なはは、はいよー」


 僕と圭助はきびすを返して退室しようとするのだが、圭助だけが透かさず振り返り、「なんでやねん!」のツッコミを炸裂させたのであった。

 だが、僕だけは引き続き、そのままスタスタとその場から立ち去ろうとするのである。


「なはは、おいおい、煜! 何をホンマにこの場から離れようとしとんねん!」

「ふん。帰れと言われましたからな。素直に応じてカッチリと引返しませんと」

「なはは、志國三に翻弄ほんろうされておおせのままにってか! ボケやったらツッコミの俺より強い意志の持ち主であれ! もうええわ!」


 ふん。僕達ダダンダウンと志國三メンバーは初対面の握手を交わしつつ、これにて、つかみはOK! 的な吉○新喜劇は閉店ガラガラ、パァ、出た! ウワオ! である。ふむ。もしも次にチャンスが有るのであれば、「乳首ドリルすんのかいせんのかい」、ないしは何に対してもだくした隙に発する、「いーよー」等のパフォーマンスも、完全コピーして御披露目おひろめしようじゃあ~りませんか。


 ふん。しかし今のやり取りで把握した事だが、やはり注視するべきは志國三だと確信したぞ。何せここの土地は関東で有るにも関わらず、関西の鉄板ギャグを即座に理解し、受け入れ、しかも物ともせずに乗っかって来やがったのである。それも想像の域を遥かに超えたクオリティでだ。


 ふん。聞きしに勝るアビリティじゃないか、志國三めが。


「フッ、挨拶代わりに予告無しの即興コントとは、流石は噂に名高いダダンダウンさんと言った所ですね。フフッ、初めまして。ボクが志國三のツッコミ兼イリュージョン担当の、優輝誾ゆうきぎんと申します。いやはや、あの高名な焔煜さんと新堂圭助さんに、斯様かような形でお会い出来るとは思っても見ませんでしたよ。フッ、身に余る光栄に存じます」

「オー、同じくワタシは志國三のボケ担当で、台湾からの留学生の愛瑠璃あいるり言いますネ。よろしくヨ。それから奥でポテトチップスを貪り食うのに余念が無い巨漢が、リーダー兼ボケ担当の山田漢やまだかんネ。よろしくヨ」

「なはは、こちらこそ、あんじょうよろしゅう頼んまっさ。えろうすんまへんなぁ~、急な申し出にも関わらず、せわしない最中に無理を聞いてもろうて」

「フッ、それは全く支障ありませんよ。ですが、本日は我々のオープニング・アクトをやって頂くとの事ですが、あのダダンダウンさんがそんな御粗末おそまつな扱いで本当によろしいのでしょうか?」

「ふん。この師匠から託された人工知能搭載ロボ、R1-M1のお告げなのだ。子細しさいあって、このの命令を遵守じゅんしゅせねばならぬのだよ。なので一向に差し支えない」

「フッ、何だか複雑な事情がある様ですので、ここは深く立ち入らないでおきましょう。とまれかくまれ、ダダンダウンさんが志國三の盛り上げ役を行って頂くなんて、当方としましては、願ったり叶ったりの好条件ですからね」

「ふん。では交渉成立と言う事で問題無いな。お互いがウィンウィンの関係に祝福を」

「フッ、その様ですね。優しい世界の天地創造に乾杯です」

「なはは、なんやこれ。よう分からんけど自分ら仲ええな。もう結婚を前提に交際せぇや」

「オー、と言うかワタシ、エキシビジョンS.O.B.と称して、ダダンダウンと勝負してみたいネ。小手調べにやってみよーヨ?」

「フッ、駄目ですよ瑠璃さん。まったく好戦的な人だ。とは言うものの、ダダンダウンさんとS.O.B.をしたい気持ちは、瑠璃さんよりも遥かにボクの方が勝っていると思われますがね。フフッ、焔煜さんと新堂圭助さんのお二人は如何いかがなのでしょうかね?」

「ふん。なんつー不穏な空気を、一切合切いっさいがっさい包み隠さずに漂わせていやがるんだ。僕的には、今日は穏便に済ませたいと思っていたのだがな。ふん。自らの口で擬音を発してやろうかい。ドドドドドドドド……」

「オー、じゃあワタシもぎんと共に、負けじと双璧そうへきをなすオノマトペで張り合ってやるネ。ゴゴゴゴゴゴゴゴ……」

「フッ、お供しますよ瑠璃さん。ゴゴゴゴゴゴゴゴ……」

「なはは、お三人さんストップや。ちょいと一旦冷静になって、俺の話を聞ぃたってや。連載が再開するたびにニュースにまでなりよる超人気作の、H○NTER×HU○TERっちゅう漫画を例えに説明しまっせよ」

「フッ、ハ○ター×ハン○ーならば、当然ボクも存じ上げておりますよ。現時点では、世界一面白いとの呼び声が高い漫画ですよね?」

「なはは、せやせやせやで。よう分かってはりますやんか優輝はん。そんであの漫画の高度なテクニックの一つですけどな、えて登場人物の強さランキングを明確にせず、そこん所を若干ぼかしてバトル描写をする所にありまんねや。そうする事により、読者が各々勝手に想像してくれはりまっさかいにな」

「オー、ワタシもハンタは好きだから良く分かるネ。要するにこのは何が言いたいかと言うとヨ? 今日ここでダダンダウンと志國三がS.O.B.を勃発ぼっぱつさせ、優劣を決めるのは得策ではないと言う事ネ?」

「なはは、オンドレスンドレ男て。しやけどでっせよ愛はん。いやあ、流暢りゅうちょうな日本語を話せる外国の人が相手ですと、会話もスムーズに進んでホンマ助かりますわ。おおきにね」

「フッ、なるほどですね。新堂圭助さんの言う理屈は理解出来ました。フフッ、さあれども、ボクは生粋の○NE PIECE派でしてね。手放しで賛同はしかねますよ」

「オー、それだったらワタシも強いて言えば富樫より尾田信者ネ。休載の多過ぎる富樫の怠け者に対して、働き者の尾田っちは毎週欠かさず、ワタシ達にドキドキワクワクの冒険譚を届けてくれるヨ。別に何でも良いから、とまれ富樫仕事しろネ! ドン!!」

「フッ、富樫義博と言った不精者ぶしょうものなんぞ、漫画家の風上に置けないとボクは考えます。あれなる漫画家を支持する層が存在する事自体、ボクには到底信じられない事象なのですよ。いい年こいて何たら坂フォーティーシックスに発情ってる場合ですかね? おやおや? もしや休載理由の腰痛は、やり過ぎた自家発電が原因だったりするのでは? おおっと、これは不適切な発言をば失敬。フフッ、いくら相手があの富樫義博とは言えども、少々御下劣おげれつでしたね! ドドン!!!」

「なはは、志國三のお二人さんや? さっきから黙って聞いとったら、仰山ぎょうさん好き放題な事を言うてくれてるやんけ。こらちょっとばかし聞き捨てならん暴言でっせよ? ええか? まず冨樫先生の、「四十六崇拝」は作品のインスピレーションに必要不可欠な物やねん。その証拠に近作中の方方ほうぼうには、「けやきネタ」がようさん仕込まれとんねや。ほんでホンマもんの冨樫信者っちゅうのんはな、最早漫画の定期連載とかどうでもええねや。冨樫○博先生御本人ごほんにんがこの地球上で生きとってくれさえしたら、もうそれだけで幸せやっちゅうねん。それと一番重要な冨樫義○先生の呼び方やけどな、「富樫」やのうて「冨樫」やから。それやと魁!!○塾の驚き役兼解説役である富樫○次みたいやんけ。あないな破帽はぼうのおっさんと一緒にせんといてんか。なはは、理解してくれはりましたやろかお二人さん? 分かったんやったらの、次に御祖師様おそしさま御名前おなまへを間違えよったら承知せえへんぞ! 二度とをやらかさしなはんなや、だ阿呆あほ共が! どべ~~ん!!」

「オ、オッフー、コイツついに富がし……冨樫を教祖呼ばわりし始めたネ! 正真正銘の宗教じゃねえかヨ! 正気の沙汰じゃないネ!」

「クッ、瑠璃さんの仰る通りですね。率直に言っていますよ。あの程度の駄作漫画に酔わされるとは、何とも哀れな御方おかたですね。おっと、「さてはアンチだなオメー」は無しですよ。それはもう聞き飽きましたので悪しからず」

「なはは、前言撤回やわ。やっぱおどれらとS.O.B.で白黒決めてもええんやぞコラ? 漫画視野の狭い約二名のがクラァ?」

「フッ、芸人にも品格が求められているこの御時世に、何と口の悪い事でしょうか。それに漫画ソムリエの異名を持つこのボクに対して、全く失礼な御方です。フフッ、良いでしょう。相手になって差し上げますよ」

「オー、望む所ネ! S.O.B.上等やったるヨ! ブチ殺したるネ、ダダンダウン!」

「ふん。待て待て。漫画雑誌が週刊少年ジャ○プしか見えていない、固定観念にとらわれている白痴者はくちしゃ共よ。猛省せり」

「なはは、なんや煜? もしかして週刊少年マ○ジンか週刊少年サ○デー派なんか? もしくは週刊少年チャ○ピオン派か? あっ、ないしは裏の裏をいって少女向けコミック誌派か?」

「オー、ワタシはそれ以外の月刊雑誌か、ヤング何某なにがし系の男性向けコミック誌を引き合いに出すとみたネ」

「フッ、甘いですね瑠璃さん。青年コミックは良い線ですが、ボクは更に意表をついて、成人向け漫画雑誌……所謂成年コミック雑誌を例に出すとみています」


 ふん。此奴こやつらめ分かっているのか? お笑いのネタ振りにしてもだな、ってたかって仕掛けちまえば、そいつが「ボケ殺し」になると言う事を。


 ……ああっ! ひょっとしてわざとか!


「ふん。まあ良い。特別に愚かで惨めったらしい貴様らに答えてやるとしよう。史上最強の漫画雑誌……そいつは、た○しい幼稚園、て○びくん、め○えに決まっておろう。以上の三連星誌の読者である僕に死角なし。僕、高みの見物だ。ふははん」

「なはは、あほう。それ全部児童・幼年雑誌やないか。せめて月刊コ○コロコミックを読める位には成長~、ゆ・う・く・ん~。おっと、大人向け雑誌である、コロ○ロアニキは除外やで」

「オー、そう来たか。やるネ焔煜。しかしふと思ったけどヨ、面白くて人気の漫画って、どうしてこうも休載仕勝しがちになるネ? ベ○セルクに、BLACK LAG○○Nに、ドリ○ターズ……何でなのヨ! ワタシメッチャ楽しみにしてるんネ!」

「フッ、瑠璃さんは好みの漫画まで血気盛んな御方だ。フフッ、そうですね。同じ様な休載率高めの漫画なら、よ○ばと! の様な気軽に読めるほのぼの漫画もお薦めですよ」

「オー、誾が推す漫画なら読んでみるのもやぶさかではないネ。今度ワタシの本国で手に入れてみるヨ。安価な海賊版もあるかどうか探ってみるネ」

「ふん。その辺は近年にとても規制が強化され、台湾市場でも正規版しか出回っていないみたいだぞ。なので後顧こうこうれいなく、それでいてなり振り構わず買い漁るが良いぞ。僕が許す」

「なはは、日本の漫画は台湾でも大人気らしいしな。ちゅうか台湾と言えば、えずこれだけは言うとかんと、俺は悔やんでも悔やみ切れへんさかい行かしてもらうで。かめへんよな?」

「ふん。どうせ「台湾に行きたいわん」ってな駄洒落をぬかす気だろ。何たる低水準な。貴様に告ぐ。もう芸人なんか辞めちまえ!」

「なはは、アタイ……やめへんでっ!! やめへんで……アタイ……ッ!!」

「ふん。又してもポプ○ピピックのパクリネタか。もう見た。もう見た。もう飽きた。もう良いわ」

「フッ、先程からの御二人の掛け合いを拝見しておりますと、流石は噂に違わぬ手腕の持ち主であると言わざるを得ませんよ。フフッ、こうなってくれば益々もって、ダダンダウンさんとのS.O.B.を激しく所望しますね」

「ふん。火に油を注いだだけであったか。なればし。志國三の二人もほこおさめる気は無さそうだし、僕は相手になってやっても構わんぞ」

「なはは、煜もとうとうやる気になったみたいやし、一丁いっちょうかましたろやないかい!」


 ふん。バチバチと火花を散らし、威嚇し合う両陣営である。緊張感が一気に高まり、一触即発の状態となった次の瞬間、志國三のリーダーである山田漢が間に割って入って来たのだ。

 オイオイオイ、そしてなんだ隣のオスブタオイ!! この様な中であろうとも、当たり前の様にポテチを、文字通り豚の様にがっつく事は止めていないだと? マジかよこいつ……。

 直後、「双方待たれよ」と言わんばかりに、怒号を放つだ。


「ブヒブヒブッヒー、ブヒブッヒー!!!」

「ああ!? 何て?! なはは、なんやら山田はんが、しながら奇声を張り上げましたけども、大凡おおよそ人間の言語とちゃいましたで! 何て言うたんか、誰ぞ!」

「フッ、それはこのボクにお任せあれ。「ダダウンダウンの御二方、わざわざお越し頂いたのにも関わらず、当方のメンバーが大変失礼致しました。御二人の出演者控え室も、別途用意して御座います。ですので、何か希望する物でもあれば、何なりと御遠慮無く御申し付け下さい。直ちに御用意致しますので。本日は宜しく御願い致します」……と、我らがかんリーダーはこの様に申しております」

「なはは、あの短い発声でそないに喋っとったんかいな。ちゅうか山田はんが強烈な見た目とちごうて、意外とまともな人やったんに驚きを隠せへんわ」

「フッ、ボクとした事が大人気ない真似をしたものです。ついついダダンダウンさんと言う強者を目の前にし、気持ちがほとばしり、冷静さを失ってしまいました。焔煜さんに新堂圭助さん。御二人には大変御迷惑をお掛けしました事、深くお詫び申し上げます。フフッ、さぁほら、瑠璃さんも頭を下げましょうか」

「オー、悪かったネ。許せヨ、ノータリン。ホレ、卒なく詫びを入れたから聞入れろネ、の二匹ヨ」

「なはは、愛はんの方はいさかいを終わらす気が皆無やん。外国人が片言で喋りさえしたら、何でも許されるとおもたら大間違いやぞ!」

「ふん。まあ、もう良いではないか圭助よ。又候またぞろ話が停滞気味スパイラルにまり込んでいやがるんだよ。所であんたらの山田リーダーだが、食している馬鈴薯ばれいしょチップスがゆうに数十袋は越え、依然として記録更新中じゃないか。こっちが不安になる度合いで心配なのだよ」

「フッ、今仰った点は案ずることなかれです。うちの漢リーダーは食いしん坊がアピールポイントでして、最早脳味噌もと化してしているのです。併せてそのキャラクターを維持する涙ぐましい努力で、基本的に「ブヒ」と発する言葉でしか喋れない体となってしまったのですよ。フフッ、ですが誤解なさらないで下さいね。漢リーダーは至って健康なのですから」

「ふん。元気溌剌げんきはつらつならばなんら問題は無いな。山田リーダー元気ですかーっ!」

「なはは、元気が一番、元気があれば何でも出来るやね! ほんなら皆さん、ご唱和しょうわ下さい! いくぞーっ! 一! 二! 三! 駄ァーッ目やろそれ!!」

「ブヒャブヒャブッヒャー、ブッヒャッヒャー♪」

「フッ、漢リーダーは只今のダダンダウンさん式ボケとツッコミに、いたく感銘を受けられた御様子ですね」

「オー、漢が途轍とてつもない不細工な顔を伴って、手を叩いて抱腹絶倒ほうふくぜっとうしているネ。因みに漢のイチ押し漫画はヨ、「私がモテない○はどう考えてもお前らが悪い! と言うギャグ漫画ですね」、とも言っているネ。略して愛称「わたモテ」ヨな。ワタシも大好きネ。オーっと、私がモ○てどうすんだって漫画とは全くの別物ヨ」

「ふん。その原作のアニメ版ならば、僕も視聴した事はあるぞ。確か主人公の黒○智子こと、愛称も○っちの一人ぼっちオタクJKが、毎度目を覆いたくなる様な醜態を晒しまくる内容だったよな。ふん。まだ漫画版の方は連載していたのだな」

「なはは、アニメ視聴だけで終わったコンテンツ扱いしとったとは、したたか浅はかなりやったのう煜。TV未放送の第十三話OVAとか知りもせぇへんやろ? ほいでそのわたモテやけどな、そないな幾多の地獄をようやっと乗り越えるのがコミックスの第八巻なんですわ。この巻に収録されとる修学旅行編から劇的な大転換期を迎えよんねん。ここからのエピソードを皮切りに、もこ○ちから振り撒かれる蠱惑こわく的な魅力に取り憑かれた女子友達による、もこっ○争奪戦が日々行われる様になってまうねん。なはは、今じゃ友達に恵まれまくりの、リア充街道まっしぐら状態ですわ。んまあ、どっちかと言うと女子に好かれてもうてて、「私が(男に)モテないの○どう考えてもお前ら(○こっち大好き軍団)が悪い!」な有様やねんけどな。しやけど如何いかなる状況に置かれたとしてもやね、やっぱ悩み事は尽きへんもんなんよね。そんなも○っちや彼女に関与した友人達との成長過程を、繊細つ丁寧な描写でつづっとる感動巨編青春群像劇に変貌せしめとりますねや。アニメ版放送終了の数年後に再ブレイクを果たした、俺も一目置く漫画の一つなんですわ」

「ふん。随分と出鱈目でたらめにうわずった早口で喋るじゃないか圭助よ。切羽詰せっぱつまり、暴走するキモオタか貴様は」

「なはは、おあいにく様や。わたモテの話題の時に、そのツッコミは褒め言葉にしかなりまへんで」

「フッ、無料ウェブコミック配信サイト・ガンガン○NLINEにて定期連載されておりまして、わたモテ更新日となればSNSツール・釣りッター(インターネット上で、不特定多数の人に向け、言葉と言うエサで人を釣る(レスをもらう)事が出来るサービス)でトレンド入りする程の人気を得ていますよ。当然二次創作物も異常な程の盛り上がりを見せておりまして、ボクもそれらを毎日追い掛けるのが大変な位ですね」

「オー、誾もやってたか。実はワタシもネ。釣りッターやqixivチークシブやニゴニゴ関連の観覧で手一杯になるヨな。と言うかネ、ワタシはこの漫画の主要キャラであるがヨ、多分卒業式を迎える最終回迄ネ、是が非でも死ぬ訳にはいかないと誓ったくらい尊い漫画ヨ」

「ふん。いびつな程にベタめ過ぎだろう貴様ら。そこで提案だ。小手調べに非公式ファンクラブでも立ち上げて、不当利益でも得て御覧よ。貴様らの話が本当だとすれば、相当数の物好きが引っ掛かるだろうさ」

「なはは、ホンマにそれだけの威勢がありまっせよ。そいつが如実に現れたんが、毎度お馴染みネット炎上ですわ。わたモテは正式に百合漫画をうとうてへんのに、公式がそれを煽る様な人気投票を開催しくさりよったんよ。ほんだら大変どうしまひょや。途端に賛否両論に分かれてのお祭り騒ぎに発展しましてん。なはは、こないな風にてのひらで踊らされるのが大好物な連中やし、ホンマに俺が旗揚げしたろかしら」

「ふん。真に受けるな。冗談だよめ。それと選手権云々の話だがな、本家が調子に乗ってしゃしゃり出て来やがると、往々にしてろくな事が無いのだよ。急激な人気失速とならぬ事を祈るばかりである」

「フッ、その問題は結局杞憂きゆうに終わりましたけどね。わたモテファンである某商業漫画家が不手際をやらかした、取るに足らぬ事故等はありましたけれども、元より不安がる要素は無かったのですよ。そんな次元で御釈迦おしゃかになってしまう程、柔な物件では有りませんから。フフッ、わたモテ自体も読者もね」

「ふん。余りにも苛烈な持ち上げっぷりに辟易へきえきするわ。しかし貴様ら四者が口を揃え、そこまで称賛する漫画と言うのは逆に興味深くもある。僕も帰りに本屋で注文してみるか」

「なはは、それやったら今夜にでも俺んち来いや。当たり前やけど全巻買い揃えてるし、十日五割トゴの利息で貸したるで」

「ふん。闇金ウ○ジマくんのカ○カウファイナンスかよ。お金を貸すならいざ知らず、漫画での加算ってどんなだよ。保存用・観賞用・布教用に三冊買え的なか?」

「なはは、煜の方こそ鵜呑みにしなさんなや。友達やし漫画くらいで貸したるわ。ちな、俺はあの漫画での、「金が全てじゃねぇが、全てに金が必要だ」っちゅう名台詞は、狂おしい程好きやけどな」

「フッ、途中からギスギスとした険悪なムードとなりましたが、それこそわたモテ本編さながらに、良い路線変更・方向転換となったみたいですね。誠にもって、わたモテ様様の御陰ですと言った所ですか。フフッ、今日の所は仲良くやりましょうよ」

「オー、興が削がれたって奴ネ。いがみ合いは中止だ中止ヨ。この「中止だ中止」で思い出されるのが、往年の名作アニメのAK○RAネ。このAKI○Aの劇中で、東京オリンピック会場の建設現場に書かれた落書きが「中止だ中止」なのヨ。作中と現実の2020年東京オリンピックとがぴったりリンクしててネ、ワタシウッキウキなんヨ」

「ふん。もう沢山だ。折角話がまとまりかけていたのに、もう漫画の話は良いだろうがよ。ふんぬ。ア○ラだと貴様? 今も尚愛され続けている、漫画・アニメ業界の金字塔的作品であるぞ。そんな秀作の題名を差し出されたのであれば、延々と話題が尽きず、愈々いよいよもって切りが無いわ。どれだけ進行を間延びさせれば気が済むのだ」

「なはは、んまあ、具体的なタイトル名は挙げんけども、丸で落とし所を見失ってグダグダになってもうたカス漫画みたいやね。なはは、例えば○○○○○やら○○○○○○○○○○とかやな←(※大問題となりますので、全ての文字を伏せ字とさせて頂きます)」

「ふん。今の状況はまさしくそれだな。だがここは、高校生芸人らしくお笑い芸人で例えさせてもらうとだな、何だか若かりし頃の千原ジュ○アを彷彿とさせるのだよ。あやつがフリートークを披露する際には、何時いつも二転三転と話が脱線していたからな」

「フッ、それは尖っていたジャックナイフ時代の話ですよね。しかし今や彼は、その本筋から逸脱する話を事前に前置く形で話術を改善させています。そして、仮に話が横道に逸れた場合でも、非常にコンパクトに納める術を習得しており、聞き手にストレスの無い様に配慮しています。素晴らしい向上っぷりですよ。フフッ、いえ、っぷりと言うべきですか」

「なはは、俗に言う「腕上げたな~」言うやっちゃな。ほな、この流れを変える感じで、代わりに映画の話でもしまひょか。俺は洋画より好きやな」

「ふん。圭助よ。反吐が出る語呂合せも含めて、大真面目に貴様をほふってやりたい気分だよ」

「なはは、ちょっとしたおふざけで言うてみただけですやんか。そない見開いた眼ぇで、じろりと睨みなさんなや。しかも完全に光のない眼球しおってからに。その形相ってば、わたモテのネ○か、きー○ゃんか、ゆ○ちゃんか、加○ママ(原作の初登場順で、ニックネームにて列挙)がむくれとる時みたいやっちゅうねん。怖や怖や」

「オーオー、全面的にワタシが悪うござんしたネ。ケッ、オマエらで勝手に軽く打ち合わせでもしてるが良いヨ。ワタシはで漫画でも読んでるネ」

「ふん。何やら愛瑠璃が部屋の隅っこで、体育座りをしてねてしまったな」

「なはは、せやけど、ちっこくなってむくれとる愛はん、ちょいと可愛らしいやんかいさ」

「フッ、これは意図して狙ってやっているのですよ。フフッ、これぞ瑠璃さんの必殺技、「あざと可愛い系女子擬態」と言うやつです。「童貞を殺す服」ならぬ、「チェリーボーイを暴く策」ですね」

「ふん。ギクリとする」

「なはは、ドキリとする」


 ふん。ここで一人の運営スタッフが血相を変えて入室してきた。……ふむ。どうやら時間が押しているとの事である。きましては、僕達ダダンダウンがぐにでも出られる様、スタンバイして欲しいと仰っておられる。


 ふん。それ見たことか。漫画談義が散々さんざんっぱら長過ぎたのだよ。


「フッ、聞いての通りですね。ミーティングも全くの無しで、いきなりのぶっつけ本番となってしまいますが、ダダンダウンさんの御二人は大丈夫なのでしょうか?」

「ふん。僕を、僕達を、誰だと思ってやがる!!」

「フッ、いや、ダダンダウンですよね。それの元ネタが天元突破グレ○ラガンの名言と言うのも理解はしていますが、今は緊急事態にてスルーしますよ」

「ふん。冷静にツッコまれてしまった。と言うかそれ以前に、今は真面目な話だったな。正直、スマンカッタ」

「なはは、せやけどダダンダウンが、何時いつでも本番モードに切り換えられるんはホンマの事でっせ。俺らは台本無しのフリートークが一番の得意ジャンルやさかいに。ほな煜、とっとと行きまひょか」

「ふん。精々せいぜい会場を温めといてやるから、大船に乗ったつもりで千擦せんずりでも……じゃなくて余裕でもこいとけ。では、行って参る」

「フッ、敵に回すと厄介でしょうが、味方だとこれほど頼もしい人達は他にいませんよ。フフッ、信じていますからね」

「オー、最後の焔煜はド直球中のド下ネタで、ド下品ド最低だったけどネ!」


 ふん。くして、志國三スタッフ共からホールのド真ん中ステージにまで案内され、僕らはスムーズにフリートーク&漫才を敢行する流れだ。


 ふん。よもやダダンダウンの登場を予想だにしていなかったお客さんの反応は上々である。そして、披露した漫才のネタであるが、僕達ダダンダウンの初期鉄板漫才、「長靴を吐いた猫」で望んだのだ。いやー、今回も受けに受けたぞ。


 ふん。このネタの内容が気になった者は、動画サイトのミーチューブにアップロードされているので、是非共チェックしてほしい。ついでにチャンネル登録なんぞしてくれちゃったりしたら嬉しいぞい☆


 そうして、約10分のネタ見せライブを終え、観客席から大歓声を受けながらその場を後にし、僕達に用意された楽屋へと戻って来た訳である。

 

「ふん。運営スタッフは今も慌ただしく動いているし、こりゃ完全にプロの現場だな。時に圭助よ。この部屋に備え付けられているモニターにて、志國三のショー内容を確認出来るみたいだぞ。ふむ。先程まで僕らが湧かせていた客席であるが、あっさりと志國三の掴みネタにてさらわれてんじゃねーか」

「なはは、もうたわな。それに、このイリュージョンをふんだんに取り入れた圧巻のネタを見てみぃな。さっきは勢いに任せてあないな啖呵を切ってもうた俺やけど、果たしてこのトリオにS.O.B.で勝てたんやろうか? なはは、正直今の実力やったら、俺らに勝ち目は無かったんちゃうかな」

「ふん。全くもってその通りだぞ圭助。それに十中八九だが、世間の目はこう捉えるだろう。「あのダダンダウンが志國三の前座を買って出たのだぞ」と。つまりは僕達の方が格下なのだと判断するのだ。ふん。事実上、僕らは負けたのさ」

「なはは、やっぱそうなってまうよな。こら個々の優劣をはっきりさせん為にも、今まで意図して有名高校生芸人とのS.O.B.を避けとった報いかもしれへんな。……しやけど、何やら悔しいの」

「ふん。案ずるな圭助よ。なあに、何時いつかリベンジを仕掛け、その時にこそをコテンパンにしてやれば良いだけの話だ。……おい、データベース。R1-M1を使わないでおいてやるから、貴様が代わりに志國三の説明をする事を命ずる。きたるべきとのS.O.B.の為に、事前戦略と洒落込しゃれこもうや」

「なはは、俺の事を気遣って仕事をあてごうてくれるとか、あんまり泣かせんなや煜。せやけど、おおきに。かしこまりやで。えーと、志國三メンバーの氏名と担当はもうええよな。ほいでこのトリオの特徴やけどな、やっぱなんちゅうてもっとこ前な優輝はんより繰り出されるマジックが、っきいウェートを占めとるっちゅうても過言やないねんな」

「ふん。優輝誾は僕とクールイケメン枠が被るのがちょっくり気になるが、この際そこは置いておこう。せんずる所それは、新選組の羽織を羽織り、作り物の竜に乗っている愛瑠璃と、肥満体で大食漢&典型的な鹿の山田漢だけでは役不足だと言うのだな?」

「なはは、言わはる通りやで。台湾からの留学生っちゅう売りも、はあんまし珍しくないしの。確かに愛はんの青龍刀とかの武器を用いた大道芸は神憑かみがかり的なんやけど、お笑い的にて言われたら、そのこじらせがらかっとる出落ち感だけじゃ弱いねや。加えて山田はんは言わずもがなやで。只管ひたすらようさん食うとるだけやし、口を開いても「ブヒ」しか喋らんのやったらおもんないやろ」

「ふん。だがしかし、この二人に優輝誾の手品が付随ふずいされた途端、水を得た魚の如く、俄然がぜん本領を発揮させると言う訳なのだな?」

「なはは、如何いかにもや。例えば愛はんが股がっとる竜かてな、丸でホンマに生きとるかの様に動き出しよるさかいに。時には空中も飛び回って、火ぃまでも吐きよんねんで」

「ふん。そして逆に山田漢は相変わらず大食らいで何も変化が無いと。にも関わらず、その状態であるからこそ、そこに笑いの要素が生まれているのか。ふん。全く大した物だよ」

「なはは、それとこれは志國三のオフィシャルなキャラクター設定なんやけどな、優輝はんにしても愛はんにしても、健啖家けんたんかだけが取り柄の山田はんに心酔しとるんやとさ。例えるんやったらアレやね。S○K CORPORATION制作の3on3対戦型格闘ゲーム、THE KING ○F FIGHTERSシリーズですわ。それに登場するブラジルチームのレオナ・ハイ○ルンが、どう言う訳か縁の薄い、韓国チームのチャン・○ーハンに敬礼する謎の行為とおんなじ匂いがしよりまんな」

「ふん。あの現象は単なるバグだったらしいがな。しかし、こりゃ小気味好こきみよいと感じた会社側も、こいつは渡りに舟とばかりに、その後の作品群でも正式設定として採用したのだよ。……と言うか圭助よ。それら固有名詞の安易な使用は御控え下さい。「おい止めろ、あの企業に関わるのだけは、おい止めろ」だぞ。泥沼の著作権侵害事件に巻き込まれ、とんだ目に遭いくさったハイス○アガールと言う悲劇の漫画を知らないのかね?」

「なはは、勿論存じ上げておりまっせよ。しやけどその後は両雄りょうゆう和解して、あわやお蔵入りになりかけとったアニメ化やって、無事に再始動まで漕ぎ着けたやないか。こないなもん、ふわっと伏字で誤魔化しときゃへっちゃらやろ。なはは、心配御無用やって」

「ふん。僕は責任なぞ取らんからな。もうどうなっても知らんぞ。話を戻すが、志國三のこう言った笑いの壺を刺激するテクニックは感嘆に値する出来栄えだな。しかもこのマジックショー形態のノリならば、客いじりも違和感なく成立してしまう。……いや、この場合は御客の参加ってな言様いいようが正しいか」

「なはは、お笑い界隈の客イジリは、もしかしたら不快感を与えてしまうリスキーさをはらんどるさかいな。その点イリュージョンショーならプラスに転じる場合が殆どや。ほいで志國三人気の極め付けはやね、ショーのクライマックスにありよんねんよ。何と優輝はんは無類の変態露出狂で、ラストには必ずスッポンポンになりまんねや」

「ふん。ならば同じ美男子カテゴリーであるこの僕も、漫才の落ちでまっぱだかになるべく善処ぜんしょしよう……って、馬鹿! そんなもん、紛うことなき異常者だし、ハイパー逮捕案件じゃねーかよ!」

「なはは、そうやろうけども、これにて女性ファンはがっちりゲットやで。そないな事よりも問題なんはな! 何でその属性が愛はんとちゃうねんと! この点を俺は声を大にして言いたいねや!」

「ふん。そう改めて言われたら、全くもって悔しいな。しかし、それは観ている側(主に男連中)の、「もしかすると次は脱いでくれるかもしれない」と言う期待に繋がっているのだ。ふん。絶対に顧客を逃さないってな執念を感じるぞ。恐るべしだぜ志國三」

「なはは、因みに俺は志國三の掴みギャグで、愛はんがむっちゃ流暢な日本語を喋るのに対して、逆に優輝はんがおもっくそ片言で喋るやつが好きやわ。……うーん、こりゃ完全にただのキャラ紹介でしたな。なはは、ホンマにこないなんでよろしかったんやろか?」

「ふん。これからが地獄だぞ圭助。きっとこんな感じがしばらく続いて行くのだ。例えると、児童図書用としてポ○ラ社から刊行されている、水木し○るのお化け学校シリーズと言う著書の様にな」

「なはは、朧気おぼろげやけども、その書籍は知っとんで。なんや小学校の時に、図書室で見掛けた気ぃするわ。しやけど俺はハリー・○ッター派やさかい読んだ事が無いけども」

「ふん。何で唐突にその世界的ベストセラーを持ち出してマウントを取ろうと思ったのか。ここは他の何かと比較する場面では無かろうに。ふん。「魔法ってか阿呆あほうだろ」みたく、しょーもない言葉遊びで怒鳴りつけて欲しいのか貴様は」

「なはは、すんまへん。それこそ水木先生が産み出した名脇役で、彼の有名な半妖怪で有らせられるビビビのね○み男先生も、「けんかはよせ。腹がへるぞ」て仰ってるしな。無意味に煽り立てる行為はあきまへんわな」

「ふん。全くだぞ。まあ、僕だってハリポ○シリーズの本なんぞ手に取った事も無いし、映画版も四作目でリタイアした人なので御互おたがい様っつー事で」

「なはは、ほんでや、そのお化け学校シリーズは全十二巻なんやけど、そいつの第三巻に当たるんが、ブルートレインお○け号っちゅうタイトルの巻なんよね」

「ふん。どうして説明をする側の僕と貴様の立場が、何時いつの間にやら入れ替わっているのだ。まあ良い。その内容と言うのを、ポプ○社HPのあらすじより、まんま朗読してやろうぞ。しかと聞け。――山の奥深くへ迷いこんだゲンとアッコの前に、ふしぎなブルートレインがあらわれた。乗客はおばけ! 走る電車の中で自己紹介が始まった。――ふん。以上である」

「なはは、まあ、ええんちゃうの。話的にな所はあらへんように思うが? それよか梗概こうがいを丸々掲載の方が明らかにアカンやろ。さっきのSN○云々の話が危険とか、よう言えたな自分。君が俺よりも圧倒的にえげつない行為をしとるっちゅう自覚はありますやろか?」

「ふん。あすこは児童書等の出版がメインの会社なのだ。さればお子様には寛容であろうし、言っても僕みたいな青二才のだぞ。これしきの事は笑って許してくれるだろうさ」

「なはは、出よったの。都合のええ時にだけ突起する、自分は未成年なのでお咎め無しでっしゃろの訴え掛けっちゅうやつですわ。さすが煜! 俺にはでけへん事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる! あこがれるゥ!」

「ズキュウウウン(別に深い意味は有りません。キスシーンでも無いのです)。ふん。問題はな、この作品に置いてストーリーはまさしく本のオマケ程度であり、大半が汽車の中に居た妖怪達の紹介となっているのだ。ふん。分かり易くまとめるとだな、他の巻ではちゃんとした物語になっているのに対し、この第三巻だけが単なる妖怪辞典と成果なりはてておるのだよ」

「ほーん、そうなんや。せやけど、それの何所どこがいけまへんのん?」

「ふん。まだ気が付かないのか圭助よ。僕達がこれから物語を進めるに連れ、ほぼキャラ紹介と解説で終わらせる事になるのではないかと危惧しているのだよ。そうれこそ、このブルートレインおば○号の本筋の様にな」

「うへぇ、マジかいな。そら、ちぃとしんどいかもやな。なはは、ちゅうか例えがマニアック過ぎやわ。さては、ゲゲゲ○鬼太郎ファンだなオメー」

「ふん。それらの関連出版物は全て所持しておりますが、何か? ふん。しかもゲゲゲの○太郎だけに留まらず、僕は水木先生の作品全てを愛しているからな。伝承や文字の記録のみであった世界中の怪異をだ、初めて絵として数多く描き起こした功績の偉大さは計り知れんぞ」

「なはは、確かにそこはもっと評価されてしかるべきやんな。せやけど、昨今の鬼○郎のアニメ化に際して、著しい萌え化現象が止まらんらしいやないの。特に鬼太○のガールフレンドである猫○とかな。原作ファンの煜からしたら、「こんなの○太郎じゃない」とか言うて、憤慨しとるんとちゃうんけ?」

「ふん。水木作品では原作やアニメにしても、昔から可愛いヒロインは登場しているのだよ。だが○娘の容姿変貌問題は少々目に余るかもしれんな。特に鬼○郎アニメの第六作目での彼女だが、八等身のモデル体型美女となり、ハイヒールを常用する等々、大人の女性の外見となっているのだ。最早原作の面影すら、皆無に等しい御姿となっているからな」

「なはは、そのいい振りやと、煜も相当はらわたえくり返っとる御様子ですかな?」

「ふん。……と~ってもかあいらしい! 戦闘シーンもと~ってもかっくいい! ! だいしゅきホールド!! ……むん? 誰だ? とかほざきやがった不埒者は? そこに直れ! 叩っ斬ってやる!!!」

「なはは、まあ、落ち着きや。いやはや、まさかの全肯定やったか。ったく、アニメ如きに頬を染めまくり、鼻の下を伸ばした顔をしよってからに、気色悪い」

「ふん。その言霊のブーメランは確実に貴様の首を切り裂いて、僕の手元に戻ってくるぞ。参考文献、by FREESTYLE DUNGE○N in 男性ラッパー・呂●カルマ大師範也」

「なはは、辛辣やなぁ~。や、期待通りの返しをあんがとさんやで。んまあ、煜が原作にこだわり過ぎる害悪、俗に言う原作厨げんさくちゅうやのうて何よりやったわ」

「ふん。因みに、ゲゲゲの鬼太○以前の原点的作品で、少年誌で連載される前の、所謂「貸本版」と言われる墓場○太郎にて登場する猫○的キャラクターの寝○さんは、至りて大人びた見た目であったがな。驚くなかれ、彼女は出版社の違いによって、死亡と生存ルートに別れると言う特異性を持っているのだよ。ふん。正直、○子さんがの刊行コミックスを初めて読んだ時は、感動で体が震えたのを覚えているぞ」

「なはは、それって例えるならアレやんけ。バッドエンドが多めのマルチエンディング形式のコンピュータゲームで、ようやっとハッピーエンドかトゥルーエンドに辿り着いた時の爽快感やんな?」

「ふん。再びゲーマーしか分からぬ、伝わりにくいあるあるを引き合いに出しやがって。……いや、まあ、別に構わんのか。どうせこんな小説なんぞ、デュフフとしか笑わぬ、漫画とアニメとゲームしか興味の無いキモヲタしか読んでいないだろうからな」

「なはは、ホンマやね~……って、こらこら失礼が過ぎるど! 煜の偏見のクセがスゴい! しやけどお前が水木先生崇拝者っちゅうのは充分伝わったわ。それに、その寝○さんの結末が仕様はごっさ興味あるで。なはは、俺も読んでみようかな。今度貸してくれや」

「ふん。水木先生ファンが増えるのは大歓迎だが断る! あっうん、今度Ki●dleキ●ドルとかで手に入れたら?」

「なんでやねん! わたモテの名トリックスター小宮○琴美さんこと(笑)こみちゃんが、漫画を貸して欲しいっぽい態度を取ったのに対して、一切いっさい貸す気があらへん言葉を放ちたるもこ○ちみたいなリアクションしよってからに! ホンマはわたモテの続き知っとるやろ!」

「ふん。又もわたモテかよ。どんだけ好きなんだ。しかも皆目かいもくピンと来ねぇんだよそのたとえ。ふん。僕もアニメは視聴済だったが、未だに連載が続いていたって事は、先程初めて知ったと言ったろうに。数行前を読み返して来たまえよ」

「なはは、アニメが終わった途端にオワコン扱いしとったミーハー野郎に発言権は無いで。ちゅうか、どっちにせよここまで聞かされたら、○子さんのすえが気になってしゃーないっちゅうねん! 俺の方かてわたモテを全巻融通ゆうずうしたるんやさかい、ギブアンドテイクしてちょーよ!」

「ふん。大多数の人間が理解出来ない話を引っ張り過ぎたな。こんな与太話を展開している内に見ろよ。志國三のショーがいよいよ大詰めを迎えるみたいだぞ。ふんっと! 何と最後はにより、会場内に突然、で、優輝誾のイリュージョンによる全弾殲滅演出にて幕を閉じるのか」

「なはは、まさに驚きの連続やったな。せやけど、仰山ぎょうさんな水風船を割りくさったにも関わらず、客席に飛ぶ水飛沫みずしぶきを全て防護するとはの。流石は優輝はんの手品やで。演芸のサプライズとしても最高やったんちゃうかな? まあ、煜と雑談しとったもんで、上演自体は半分も観てへんかったのが真実やけどね」

「ふん。悔しいがエクストリームなショーであったな。ふむ。あと、雑談で云々ミートゥー。それから圭助の言った通り、〆で優輝誾がバッチリまっぱだかになりやがったぞ。どうかしてるぜ!」

「竿っが。玉でっか。なはは、男の体に興味無いし、ツッコミもこの程度で充分やろ。ほなら、公演も終わった事やし、志國三の楽屋にお疲れさんの挨拶でもしに行きひょや」

「ふん。そうだな。あれだけ御立派なもん(意味深長)を見せ付けられて少々けったるいが、一応礼儀だけは通さないとな」


 そう言う訳で僕達は志國三の控え室へと向かう。只、普通に行くのはしゃくだったので、僕と圭助も優輝誾の変態性に見習い、一糸纏いっしまとわぬ姿で赴く事にしたのである。


「ふん。勘づいているか圭助よ。何やらスタッフの動向が並大抵ではない事に」

「なはは、普通ちゃうんは図抜ずばぬけてフルヌードの俺らの方やのにな。制止もツッコミも、誰もがせえへんってどう言うこっちゃねや」

「ふん。駄目だな。こいつら忙し過ぎて、僕らの姿が目に入っていないらしいぞ。……いいや、この様子はそれだけでは無いな」

「なはは、せやな。なんちゅうか、慌ただしいのは始めからずっと変わらんのやけど、緊迫した雰囲気とでも言うんやろか。何やそう言う感じのやつやんな?」

「ふん。まあ、あれだけの見世物をって退けた後なのだ。彼らも人の子である。殺気立つのも無理からぬ話なのかもしれんな。……おっと、そうこう言っている内に、もう控え室前に御到着してしまったぞ」

「なはは、今回はあの吉本新○劇の鉄板芸コピー及び天丼はやらんとこうで。今の俺らやったら、この見た目だけでインパクト大やさかいな。ボケに重ねる更なるボケにより、笑いが中和されてまいよる可能性が高いからの」

「ふん。そうだな。それに「あいよー」と言ってきびすかえす際にだね、僕の巨大な一物がと揺れて恥ずかしいんだわさ」

「理由しょうもな! ちゅうか、さり気に自分のサイズ自慢してんなや! なはは、んまあ、っちゅう訳でして、ドアノックからの改めましてお邪魔しますからの部屋に突入しまっさでっせー!」


 ふん。騒々しく入室した僕達とは丸で正反対で、志國三の三名は何やら神妙な面持ちで静かに佇んで居る。ふむ。しかも優輝誾は被服を着ぬままかよ。ウフンッ! いい体……。


「ふん。興行の成功を喜ぶには相応しくない面構えじゃないか。一体どうしたよ、三人衆」

「フッ、まずはお疲れ様でした、ダダンダウンのご両人。素晴らしきショーのイントロダクションを有り難う御座いました。お客様の側も十二分にボルテージが上がり、ボク達としてもやり易い事この上無かったですよ」

「なはは、それよりもこの場のムードやと、そないにお祝いモードではありまへんな。一体どないしましてん? 何ぞあったんでっか?」

「フッ、こいつを見て下さい。運営スタッフの一人が発見したのですが、舞台袖にて捨てられていた、の残骸です」

「オー、ワタシ達は何食わぬ顔で、「これはショーの演出の一環です」と片付けたがネ、実際には「バックステージからウォーターバルーンが投じられる」みたいなプログラムは無かったのヨ」

「ふん。するってぇと、おめぇさん方何かい? そりゃどこぞの第三者による、放火事件ならぬだとでも言いてぇのかい?」

「フッ、突然のべらんめえ調になった焔煜さんの真意は分かりかねますが、その通りですね。疑う余地のない根拠として、つい先程この封書が郵便で届けられたのです。フフッ、差出人は例によって不明ですがね。中身は犯行声明及び犯罪予告が書かれた物でしたよ」


 ふん。優輝誾は僕に向け、こいつを読み上げて下さいと言わんばかりに、その書状を手渡してきた。

 ふん。やれやれ、文盲で無学の貴様らに変わり、頭脳明晰ずのうめいせき才学非凡さいがくひぼんの僕が代表して音読しろってか。


「ふん。良かろう。昔から国語の授業の本読みは得意だったんだ。あー、うおっほん。……えっと、こ、これは……あ、あらわれある? ……の、お、おわらい……い、いたりうえおもよし……? ……ふむ。無理だ。近頃はとんと視力が弱くなってしまってな。寄る年波には勝てんのう」

「なはは、何をぬかしとんねん若者代表が。どうせ単に漢字が読めへんのと、朗読下手のダブルコンボって所やろ。ちょい俺に貸してみぃや。……んー、何々? ――これは現在のお笑い至上主義の世の中に、怨みを募らせる全ての人間の総意と思われたし。これからもによる断罪はS.O.B.の実地じっち……特に未来が有り、注目度の高く、人気絶頂の高校生芸人を狙い撃つであろう。震えて眠れ――……やとさ」

「ふん。聞けば聞くほど、自己陶酔に浸った稚拙ちせつな文章だぜ。尻こそばゆいわ」

「なはは、それをまともにえいじる事さえでけへんかったお前は、胸を張って言える立場とちゃうけどね」

「フッ、と言う訳なのですよ。そう言えばここ数日、S.O.B.が行われたロケーションにて、何軒かの水にまつわる悪徳行為……所謂、が相次いでいると言う話を耳にしています。ともすれば一連の事件……これらは同一犯の可能性もきにしもあらずですね。フフッ、残念な事ですが、今のこのお笑い至上主義の日本に、不満を持つ者も一定数は存在していますからね」

「オー、このお笑い全盛期の明るい時代にネ、今では希少価値とまで言われる様になった犯罪行為を行うとはヨ、マジで気が触れた輩ネ」

「なはは、なるほどやね。ほならこの手紙の文面を、言葉通りまんま受け止めるとしたら、犯人は高校生芸人が参加するS.O.B.を、ピンポイントで標的にするっちゅう事になるわいな」

「ふん。そうなるな。しかも此奴こやつは犯行現場にのこのこと現れるって寸法よ。ふん。度外どはずれて胸糞悪いし、この不埒者ふらちものを僕達で捕まえてやらないか? あん? そんな事は危険だから警察を呼べだと? ふん。しゃらくせえ。「あいつらの力借りるくらいなら舌嚼んで死ぬわ!!」……と、ヒナま○りの詩○さんだって言っていたじゃないか」

「なはは、最後の最後まで漫画・アニメの話を引っ張り。せやけどそいつはあながち間違いとちゃうさかい質が悪いねん。こないな笑いの絶えへん世の中になってもうて、今や犯罪らしい犯罪は激減してもうたからな。なはは、そやさかい、お巡りさんも御役御免おやくごめんやっちゅうてね」

「オー、たまに起きた小さい事件でを呼んだとしてもネ、あの公僕こうぼくめらも何かにつけてウケを狙ってボケたがりやがるしヨ。アイツら真剣に吃驚仰天びっくりぎょうてんする位ネ、糞の役にも立たぬ存在に落ちぶれちゃっているヨ」

「フッ、全くもって瑠璃さんの仰る通りです。その様な理由ですから、ボクも焔煜さんの提案には全面的に同意致します。フフッ、お笑いの世界に弊害となる所行しょぎょうをされては、ボク達としても、見て見ぬ振りをする訳には参りませんからね」

「オー、そう言う事ネ。キ○ガイ許すまじヨ」

「なはは、ほんで大体やね、今のお笑い至上主義の日本で重罪なんが、「明確な悪意を持ってして、S.O.B.を邪魔立てする事」やさかいにな。こら「絶対○笑ってはいけないシリーズ」ならぬ、「絶対に許してはいけないシリーズ」やで!」

「ふん。貴様ら全員、憤懣ふんまんやるかたない顔付きじゃないか。まあ、それほどまでに怒り心頭と言う事だよな。ふん。無論この僕も同じ気持ちだ。プンプンおこだ。激おこぷんぷん丸出しおちんちんを、きちんと服を着たまともなお二人さんで、そろそろツッコんでは頂けないでしょうか。頼みますので。おねげえしますだ、お代官様」

「なはは、ほんなら全員一致で決まりですな。絶対に俺らで犯人をつかまえたろうで」

「ふん。所で山田漢よ。貴様はどんな事態が起ころうとも、微塵もブレる事無くポテトチップスを喰らい続けるのだな。ふむ。されどその心意気や良しだ。心ゆくまでがっつけい」

「なはは、ちゅうかショーの最中もずっとパクついとったし、ホンマどないなってんねん、この人の胃袋は」

「ブヒヒ、へっちゃらブヒ。ポテチの原材料はジャガイモブヒ。つまりはもろに野菜ブヒ。そしてベジタブルはヘルシーだから病気知らずブヒ。すなわち馬鈴薯は完全食なのですブヒ。蔬菜そさいうえーい、やったねヒーハーブヒブッヒー」

「ふん。アメリカでは「ピザは野菜」と国家が認定している事実を思い出したぞ。しかし、僕には単なるデブの苦しい言い訳にしか聞こえんのだがどうだろう」

「なはは、んまあ、そうかもしれんけど、それとこれとは別にしてやね、もうこの大食いフードファイターがるだけで笑けるからずるいよな。いや~、やっぱおもろいわ志國三~……って、ちゅうか山田はん?! 語尾に不自然な「ブヒ」は付いとるもんの、あんさん普通に喋っとるやないかい! ええ加減にせえよ!! もうええわ!!!」


 くして、降って湧いたようなダウンロードコンテンツ、「水を放ちたる悪者騒動イベント」が発生してしまいましたよ。いやあ~、今時課金ゼロで続きを楽しめるなんて、あたかもコンピュータゲームの超優良無料ガチャみたいだね、ワオ! ……てなワケで、どうぞ最後までお付き合い下さいませね。


 ふん。しかし何だな。結局僕達がはだかぼうで居る事を誰一人として触れなんだし、これにより改めて認識した事があるのだ。


 うむ。そもそも優輝誾の性癖全開剥出むきだしのケースからしてそうであったのだが、今現在この国は、色々な事が麻痺しているのだなと。


 今や海外諸国からも、「お笑いの国」、乃至は「可笑おかしい国」として認知されている日本である。けれどもこれは見方によっては、堂々と正面から揶揄やゆされているとも捉える事が出来るのだ。


 ふむ。果たしてこのまま我が国が、斯様かような不名誉呼称で呼ばれる事を、是として宜しいものなのであろうか? もしくはこの実状を日本国民は、一体全体どの様に了知りょうちしておるのでありましょうか?

 ふぬん。この様な質疑応答が行われたと仮定しまして、その返答内容如何いかんによっては、日本終了のお知らせをアナウンスせねばならぬやも知れませぬな……。


 ふう。こげな感じで、僕は少々危機感を募らせる今日此頃だったりするのでありますよ。


 ふん。柄にもなく小難しい事を思案した所為せいで、頭痛と悪寒がしよる。いあ。こいつは、ずっとあられもない姿だったから風邪でも引いちまったか?


 ……ふん。おっと、くしゃみが出そうだ。……ふん……ふん……ふんえっくしょん! うぅ……んもぅマヂ寒ぃ。ゥェァ着ょ……。

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