お笑いの国ジパング ~フリースタイルで、一億総ストリートコメディバトル~
とほかみエミタメ
第1話 ~序章と言う名の掴みでOK~
~※ハルウッド産大ヒット映画、SFアクション超大作、「スカー・ウソォーズ」。そのシリーズ最新作、「スシネタの最後ダジェイ」が、いよいよ今年のゴールデンウィークにロードショー公開される。主演米俳優/ハンチョウ・ゾロメ役/ハリセン・ドォーツクド氏の雑誌インタビューより抜粋~
――初来日との事ですが、今や老若男女、一億総芸人とまで言われる様になった、お笑い大国・日本の印象はどうですか?
イヤーヤー、ビックリしたね。何せ、あちらこちらで一般の人々が、路上でコメディ勝負を楽しんでいるんだもの。
――ストリートお笑いバトル、通称、S.O.B.の事ですね。
イエスイエス、それだよ、S.O.B.。お笑いであればジャンルは問わずのガチンコ対決。面識がない者同士でも、お互いの承諾でスピーディに開始されるデュエル。実にクールだ。
――基本はシングルマッチ。まずはじゃんけんで勝利した側が、先攻か後攻を選びます。そして、順次にお笑いネタを披露。双方のネタ見せ終了後、その場に居たギャラリーが面白いと思った方に拍手を送り、より数の多かった演者が勝者となります。現在では日本国民のほとんどが、このルールを把握していますよ。
イイネ! エクセレント! シンプルで分かり易いし、良質のエンターテインメントだよ。
――しかし問題もありまして、「ピン芸人とコンビやトリオを同一で扱うのは不公平」などと言う議論が、ごく一部で白熱している現状です。
ハッハッハ、相変わらず日本人は
――因みに、このS.O.B.の判定方法ですけれど、ヒップホップ文化が発祥で、ラッパー同士がお互いに言葉をぶつけ合う勝負の、フリースタイル・MCバトルを参考にしたらしいです。
ヤー、なるほどね。ラップバトルの場合は言葉の即興性が重要度を占める訳だけど、お笑いのネタならば予め準備ができるし、誰しもが参加しやすい訳だ。考えたね。
――いやはや、それにしても我が国が、これほどまでにお笑い色に染まってしまうだなんて、日本建国史上初めてですし、我々日本人が一番驚いちゃっていますよ。
グレイト、だって2680余年以上もの長きに渡る歴史が続いてりゃ、そう言う事もあるだろうさ。
――なにわろとんねん(怒)。ファッキンジャップくらい分かるよ、バッキャロー、コンニャロー!
ハッハー、イエー! ナイス! それって今現在、日本で大人気の若手お笑い芸人、ジャイロたけしのハルウッド進出第一弾
――その通りです。そう言えばハリセン・ドォーツクド氏とジャイロたけし氏は、大変仲がよろしいと聞き及んで居りますが?
オーイヤー、事実さ。舞台や映画で幾度も競演するうちにね。今では心の友であり、盟友だよ。まあ、言わずもがな、俳優としても評価が高い彼は、プロフェッショナルの芸人としても最高だよ。だけどね、アマチュアの芸人も侮っちゃいけないよ。特に熱いのは、
――そうですね。彼ら高校生芸人は大いに注目されていますので、読者の方々も良くご存知の事かと存じます。
ハハッ、そりゃ知ってて当然か。そう、彼等が動画投稿サイトの
――ほほう。やけに高評価ですな。
ハハ、ファンだから余計にね。後は
――高校生芸人が、相当お気に召された様ですね。
フフン、一流のコンテンツは全て抑えておかないと。ショービジネスの世界は、常にアンテナを張り巡らせていないと駄目なのさ。おおっと、忘れちゃいけない注目株が居たんだったよ。金髪美少女JKコンビの
――ちょちょっ、ちょっと待って下さい。も、もう充分で御座いますですよ。ハリセン・ドォーツクド氏の、高校生芸人達に対する愛が本物なのは、存分に伝わりましたので。それでは、そろそろ本題である、スカー・ウソォーズの話に戻りましょうか。
オーライ、ソーリー。ついつい高校生芸人の事となると、熱く語ってしまうんだ。
――では、日本でも取分け人気があり、今作でも共演俳優である、ノビ=タン・ノビータ役/ユリアン・マクレィバァー氏と、マイクロ・ウィンドウズ役/サムネイル・Ero・ハックション氏。そして、イチゴ・ラズベリー・ブルーベリー役/女優のマッタリー・ポテトナン氏との、面白エピソードなどがあれば、お聞かせ頂けませんか?
イエス、その三人も数々の作品で苦楽を共にした戦友達だね。実を言うと自分を含め、全員コメディアン出身で、全く売れていない頃からの付き合いなんだよ。
――そうだったのですか。そして米国だけに、
イエーイ! イッツジャパニーズすべり芸ー! ……っと、それはさておき、すまないが、そのクエスチョンには答えられないんだ。
――と、言いますと? は……はうあ! そ、それはもしかして、著しく滑り倒してしまった、当方の寒い発言の
ノーノー、そうじゃないんだ。あのね、ジャイロたけしの冠番組である、「たけしのニッポンのワロタ!」ってネタ披露番組があるだろう? その生放送スペシャル特番で、自分と、前述のスカー・ウソォーズ出演俳優三名とが、揃ってゲスト参加をする事になっているのさ。その際のフリートークのコーナーで、たっぷりと話す予定だから、その質問はノーグッドの方向で御願いしたいって意味なんだよ。だから何はともあれ、オンエアの方を楽しみにしていてくれって事だね。「みんな観て観て観ーティア」。
――なるほど、承知致しました。そう言う事情であるならば仕方が無いですよね。では代わりに、映画のピーアールをお願い致します。
ハッハッハ、コメディ部門では、かなりヤバい所まで日本に追い着かれちゃったけれど、ムービー部門では、まだまだアメリカも負けないよ? 本作スカー・ウソォーズをご覧になったお客様は、空前絶後の感動を味わう事となるだろうね。日本よ、これが映画だ。「みんな観て観て観ーティア」。
――あはは、その「みんな観て観て観ーティア」ってアメリカン・ダジャレは、何だか声に出して言いたくなるフレーズですね。日本で流行っちゃうかもですよ。
○ァックユー! フ○ックオフ! マザーファ○カー!
――えええっ!? ど、どうしたんですか、ハリセン・ドォーツクド氏!? 急にブチ切れ&英語圏における卑俗で下品な単語を連呼しちゃって!
ヘイユー!
――いやいや、そんな分かりにくいフリとか察知出来ませんって。お言葉ですが、お笑いの国の国民と言えど、皆が皆、お笑いが好きだったり、お笑いの上手な人ばかりでは無いのです。貴男の国にしたって、ハンバーガーが嫌いなアメリカ人もおりますでしょう? それと同じ事ですよ。
シャラップ! ウッセェ、口答えするんじゃねぇ! このイエローモンキー・クソメガネが!
――はぁ? どこに眼鏡なんか掛けてんだよボンクラが! こちとらコンタクトレンズだっつうの! ったく、人が大人しくしてると思って調子に乗りやがってよ! 大概にしろや、この高校生芸人マニアのき〇がい
ヘイヘイヘイ! ふざけるなよ、ちんちくりん
――先に
サンキューソーマッチ! しかし気分はファッキューベリーマッチ! からの~怒り頂点なり! 最早言葉は無粋! ブチ殺してやんよ!
両者立ち上がり、激しい睨み合いの末、詰め寄った者同士の唇が触れて仲直りになると言う、某有名トリオ芸人発の鉄板キス芸ギャグが炸裂です。
更にこれで終わりかと思いきや、二人はがっちりと抱き合いますと、ぐるぐると回転をし始め、絡まりまくり、バターとなってしまいます。そして、その材料でパンケーキを焼きまして、この後スタッフが美味しく頂きましたとさ。
……って、そんな訳ねーだろ、このダボが! つーか、ちびくろサ○ボって作品はな、面白い上に非常に優れた絵本なんだぞ! 人種差別? 動物虐待? 言われるまで思いもしなかったわ! 何勝手に絶版させとん! ……なぬ? あっ、復刊していましたか、そうですか。
はい、日米関係は本日も良好です。
尚、こちらでも紹介した高校生芸人達のネタ及びS.O.B.の模様は、ミーチューブを初めとした有名無料動画共有サービスサイトにて観覧出来ます。さてさて、アナタのジャッジは如何でしょうか? 是非アクセスしてみて下さい。
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