痕付け

みなみくん

第1話痕付け

少し寒くなった頃



繋いだ手を思い返して


泣き崩れた


独りぼっちじゃなくなった気がした


見せれない手首を隠してくれて


繋いでくれた左手



ほんの少しの間


救われた気がした


其の出会いは偶然で必然


其の別れも偶然で必然


見失うことなんてもう無い


何処にも居ないのだから



深夜2時


立ち竦む新宿南口


あの日、東口の喧騒の中僕らは居た


溢れる人の中に、周りと同じように


僅かな距離


もう今は遠く、遠く、叶わない



何も無い左手に見える


あなたが残した痕


救いと痛み


掲げた腕は何も掴むことが出来ずにいる




記憶の中の左手だけが暖かった






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痕付け みなみくん @minamikun

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